2017年10月20日 (金)

大きな悪の華:「霊験亀山鉾」

1015日 「霊験亀山鉾」(国立劇場大劇場)
日曜日だからなのか、仁左様人気なのか、演目人気なのか、久々に活気のある国立劇場に身を置いた。芝居の途中途中も盛り上がり、楽しかった。観劇日から間があいてしまったので、感想へのネツが冷めかかっているかも。

序幕第一場でいきなり敵討ちがあるというので、敵討ちを巡る話らしいことしか知らないで行った私はびっくり。
仁左様水右衛門の大きな大きな悪はカッコよくて、どこまでも悪いヤツなのだけど、とても魅力的だった。ドスのきいた迫力ある声と、ぞっとするような冷たい美しさ、まさに悪の華である。一方、隠亡の八郎兵衛は仁左様のような大きな役者にとってどうかなと思ったけれど、演じ分けに違和感はなかった。2人が登場するたびに大きな拍手が起こり、場内の興奮が伝わってくるのが嬉しかった。
焼場では、取り違えられた棺桶の中に水右衛門が入っている。火をつけられた時にはさすがの水右衛門も熱くて慌てているんじゃないかと心配(?)したが、棺桶が割れて姿を現した水右衛門は悠然たるもの。おつまと腹の子の命まで奪い、石井家の命をいくつ奪ったかと指折り数える冷酷さ。でもカッコいいんだよな。この場では「おお、本雨‼」の興奮もあった。
錦之助さんの源之丞はぴったりのニンで、灯りを借りに来た飛脚に敵討ちの噂話を聞いて矢継ぎ早に問いかけるものの詳しいことは何も知らない飛脚に対するもどかしさ、下げ(号外のようなものか)で詳細を知っての無念の思いがよく伝わってきた。源之丞には2人の妻がいて、その名がお松とおつま。
お松の孝太郎さんも、機織りで暮らしを立てている生活感が出ていてぴったりだった。
おつま(雀右衛門)の登場する場面はなんだか展開が早くて忙しい気がした。ここのところの睡眠不足で、鏡で水右衛門の姿を認める場面を寝落ちしてしまったのが何とも悔やまれる。もう一度見る予定なので、次は寝ないように頑張るぞ。
又五郎さんが実直さを見せて好感度大である。無念の返り討ち(しかも毒殺)にあった石井兵介だが、もう一役の袖介がついに敵を討ち、気持ちがすっとした。こういう二役というのもこの芝居には合っていると思った。
貞林尼の秀太郎さん、大岸頼母の歌六さん、出番は短い(とくに歌六さんの捌き役)が、きちっと舞台がしまるのがさすがだ。貞林尼が孫のために自ら命を絶つ場面では思わず泣けてしまった。
南北モノにしてはどろどろ感が薄くはあるが、私はあっさり気味が好きなので、十分面白かった。いや、これだけ冷酷なら十分でしょ、という感じでもある。
仁左様、捌き役の細川勝元が断然ステキだが、仁木弾正も見たくなってきた。
<上演時間>序幕40分(12301310)、幕間35分、二幕目100分(13451525)、幕間15分、三幕目・大詰50分(15401630

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2017年10月10日 (火)

さらば、ムッシュ・マネスキエ

フランスの名優、ジャン・ロシュフォール氏が亡くなったそうだ。
映画は「髪結の亭主」、「タンゴ」、「タンデム」、「列車に乗った男」、「メルシィ人生」の5本しか見ていないが(多分)、ちょっと思い入れのある俳優さんなので、訃報が目に入って「あらぁ」と思った。87歳。ご冥福をお祈りします。
ちなみにマネスキエは「列車に乗った男」の主人公。

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2017年10月 9日 (月)

猿之助さん、骨折

公演中に左腕骨折とのこと。心配です。

追記:猿之助さん休演につき

ルフィ/ハンコック:尾上右近
サディちゃん:新悟
マルコ:隼人

となるそうです。
猿之助さんの無念を思うとなんともつらいけれど、若手の踏ん張りどころ、頑張ってくれることでしょう。猿之助さんの無事な回復をお祈りします。

追記の追記:猿之助さん、「僕は元気」だそうです。安心しました。猿之助さんのことだから、前向きに治療に専念してくださることでしょう。

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2017年10月 8日 (日)

FireFoxかExplorerか

今日は歌舞伎座11月公演のチケット発売日。
いつものように10時前にスタンバイして、順調に進んだ…はずが、途中からやたら動作が遅くなった。○がぐるぐる回るわけでもなく、画面が硬直状態。30秒から長い時で1分ほどその状態が続く。そろそろガマンの限界というところで突然動きだし、でも又硬直。
そんなことを3回ほど繰り返し、それでも無事にチケットはゲットできたからいいんだけど…。

後で思い当たったのは、「このサイトはFireFoxの動作が遅くなるプラグインを使用しています」っていうこと。いつからこうなったんだか(メッセージには気がついていたけど、気にしていなかった)、Adobe Flashの実行許可も必要だったし。そこで、Internet Explorerで試してみたらすんなり進行した。やっぱりFireFoxのせいか。
以前、Explorerをメインで使っている時に何か不具合があってFireFoxに切り替えたのだけど、Explorerじゃなくちゃ取れないチケットもあったりして、迷いつつ今もFireFoxをメインに使っている。迷いは続く。

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2017年10月 2日 (月)

十月歌舞伎座昼の部:マハーバーラタ戦記

101日 芸術祭十月大歌舞伎初日昼の部(歌舞伎座)
久々の初日はやっぱり華やかな雰囲気がいいなあと浮き立つ気分。音羽屋の奥様2人と寺島しのぶさん、3階では山川静夫さん。ミーハーは有名人に弱い…。
「マハーバーラタ戦記」
上演時間が発表になったのは前夜だっただろうか。終演1550って!! しかも序幕は1時間50!! 正直、さすがに序幕の終わりの方は集中力が途切れた。で、二幕目で汲手姫の5人の王子のうち4人が死んだと聞いて、え、そんな場面あったっけととまどったが、そうだ、火事だと思い出した。

全体として、まずは面白かった。インド歌舞伎と言いながら、無国籍歌舞伎のような気がした。インド色を強く感じたのは登場人物の名前や神々の衣裳(光背付きできんきらきんに輝く豪華な衣裳)、身分・職業制度くらいで、それ以外の衣裳は基本的に歌舞伎の衣裳、物語の舞台も日本と言えば日本、そうでないと言われればそうでない…。そして、恐らく何よりも扱っている問題がグローバル、とくに現在の東アジア情勢に重なり(力による支配か、慈愛による支配か。先に攻められるのを待っている、なんてまさに)身につまされるからであろう。
幕開きは大序みたいだった。竹本に合わせ、神々が1人ずつ顔を上げて決まる。そして神が作り上げた世界で人間どもが戦いを始めそうだとの危惧が口々に語られる。現代語とまではいかないがセリフがとてもわかりやすく、つかみはOK、ここは面白いと思った。
音楽は、竹本、長唄にパーカッション(鉄琴、木琴、太鼓等)で、パーカッションがとくに不安な状況を盛り上げた。両花道が多用されたのも効果的だった。
汲手姫(梅枝→時蔵。懐胎時は梅枝)の懐胎はマリアの処女懐胎を思わせ、生まれてきた子が世界を救うというのもキリスト教に類似しているが、世界各国の神話で同様な言い伝えがあるのだろう。汲手姫が赤ん坊が河に流す場面ではモーセを思い出した。ただ、汲手姫の場合は、未婚の女性が子供を産むことが許されないというインドにおけるやむを得ない事情があったのだということがいまひとつ伝わりにくかった。しかし、実は兄弟である迦楼奈(かるな:菊之助)と阿龍樹雷(あるじゅら:松也)王子の決戦において、倒され「とどめを」と促す迦楼奈に阿龍樹雷が「できませぬ。兄上」と絞り出すように叫んだ時は思わず泣けた。迦楼奈との対比で阿龍樹雷が憎々しげに見えることもあったが、彼もまた自分の信念に基づいて動いていたのだな、とこの時納得したのだった。
カーストについてもその厳しさを知識として知ってはいるが、それがもたらす様々な障害を呑みこむのにちょっと時間がかかった。
戦闘シーンは激しく、ベン・ハー的戦車まで出てきた。馬、象と人が乗る動物が何回か登場したが、中に入っている役者さん大活躍であった

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2017年10月 1日 (日)

十二月歌舞伎座

第一部
実盛物語 愛之助
土蜘 松緑

第二部
らくだ 中車、愛之助
蘭平物狂 松緑、愛之助

第三部
瞼の母 中車、玉三郎
楊貴妃 玉三郎、中車

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2017年9月30日 (土)

ロス

ひよっこロス。
一番好きなドラマだった。全篇の3分の2以上は涙の日々。あたたかい涙、悲しい涙、嬉しい涙。ていねいにそれぞれの人物が描かれていて、また伏線の張り方がうまく、
こんなに泣かされたドラマはない。最終回のエンドロール、谷田部じゃなくて前田みね子になっていたのに又泣かされた。

やすらぎロス。
石坂浩二が元妻と元カノと共演するという話題に乗ってミーハー的に見始めたドラマだったが、石坂浩二扮する菊村栄
を次々悩ませる<やすらげない郷>にはまった。犬山小春の死、ちのやん夫婦の死、九条摂子の死、加納英吉の死、どれもしばらくは録画を消せないでいた。石坂浩二って演技がうまいんだなあと今さらながら思った(石坂浩二の現代ドラマは「二丁目三番地」「三丁目四番地」以来かも)。とくに人の死に際した表情と、男のみっともなさがうまい。中島みゆきの主題歌がたまらなくいいだけでなく、挿入歌も効果的で、感動が高まった。中島みゆきと倉本聡が夫婦役です~っと通り過ぎるのもよかった。こちらの最終回のエンドロールにはこれまでの出演者全員の名が五十音順に流れていた。あんなにたくさんの人が出ていたのか、と驚かされたが、これも「やすらぎの郷」らしい。
珍しく、朝と昼、半年も見続けた
連ドラが明後日からはもうないんだ…

もう一つ、8回という短い連ドラだったが、「悦っちゃん」にもロスである。可愛かったなあ、楽しかったなあ、悦ちゃん。

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2017年9月28日 (木)

圧巻、運慶

925日 「運慶」展内覧会(東京国立博物館)
170928unkei トーハクの内覧会は人が多くてよく見られない…が通常なので、2時開始のところを3時過ぎに到着するように行ってみたら、今回は展示数が少ないこともあって、人もいつもほどは多くなく、ゆったり丁寧に見ることができた。

私は彫刻は可能な限り全角度から見ることにしているが、今回の展示は360度どの角度からでも見られるようになっており、大変ありがたい。表情、筋肉、躍動感が伝わってきて、仏師・彫刻家の魂に圧倒されっぱなしである。
仏師であり彫刻家であること――運慶と並び名前の挙がる快慶にはバリエーションがあまりなく、信仰に基づいた仏師として美しい像を作ることがその目指すところであった。それに対し運慶は常に独創的な像を創造してきた。日本の仏像は形やポーズが限定されているとのことで、そうした中での仏像制作の姿勢から、快慶は仏師であり、運慶は仏師としても彫刻家としても高く評価されるのだそうである。これまでそんなことを考えたことなく、運慶・快慶と並べて言ってきたけれど、なるほどそういう違いがあるのかと興味深かった(だからと言って快慶の評価が低いわけではない。要するに二人の目指すところが違うということだ)。
展示は「第1章 運慶を生んだ系譜――康慶から運慶へ」「第2章 運慶の彫刻――その独創性」「第3章 運慶風の展開――運慶の息子と周辺の仏師」というわかりやすい3章から成っている。
理論的なことはわからないが、感覚として、運慶にはやはり父・康慶の影響がみられ、さらにそれを超えて自らの独創性を追求していく姿勢があるかなあと思った。康慶は「地蔵菩薩坐像」「四天王立像」「法相六祖坐像」が展示されており、どれもよいが、とくに「法相六祖坐像」が好きである。六人の僧侶の表情が個性的で親近感を覚えるのである。
運慶の作品は12点展示されている(うち1点は1021日以降の展示。1点は運慶筆の置文)。悟りの菩薩や如来には優しさからくる迫力が、毘沙門天や怒りの表情をもつ像では激しさの迫力が、どちらにしても圧倒される。20代の作品「大日如来像」の静かな美しさ、「不動明王立像」「毘沙門天立像」の圧倒的な存在感、「八大童子像」の生き生きとした魅力、その他どの像も心を惹く。運慶の像内納入品はもちろん読めるわけではないが、現代のX線、CTの技術でそういうものの存在が明らかになっていることを興味深く思った。
素晴らしいのは康慶や運慶だけではない。作者が特定されていない像も見事。子犬や神鹿のリアルな姿を表した珍しい像もある。十二神将立像は五軀がトーハク、七軀が静嘉堂に所蔵されていて(静嘉堂、持ってるよね~)、今回42年ぶりに再会を果たしたそうだ。それだけでも必見と言いたいが、これだけの運慶、そして康慶から息子の湛慶らの作品が集まったこの展覧会は見なきゃ損。そして、点数は少ないと言ってもじっくり見られるからそれなりの時間は計算に入れておいたほうがいいと思う。

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2017年9月24日 (日)

九月歌舞伎座昼の部

922日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
今月中旬以降はなかなか予定は立たず、とりあえず昼の部は確保しておいたものの、やっぱり断念か→湯殿の長兵衛だけは見たい→見られるかも→見る→「道行」も見られそう。
ということで事情の推移があり、「毛谷村」は残念ながらパスせざるを得なかったが、何とか2番目の演目から見ることができたのはラッキー。できれば、昼の部の後、そのまま「逆櫓」を幕見したかったが…。
「道行旅路の嫁入」
松並木を背景にした置きの浄瑠璃が終わると、背景が真ん中から開き、富士山が。そして舞台中央では藤十郎さん(戸無瀬)と壱太郎クン(小浪)がセリ上がる。壱太郎クンは愛らしく、何がなんでも力弥のもとへ、という強い意志が感じられた。藤十郎さんには母親の大きな愛が溢れていた。奴・可内の隼人クンはどことなく錦之助さんに似ていた。やっぱり歌舞伎の父子って似るんだなあと改めて思った。
「極付幡随長兵衛」
何度も見ているのに、なぜか全体に新鮮な気持ちがした。
まず「公平法問諍」は劇中劇以上の迫力があって見応え十分。又五郎さんの公平が立派で客ウケもよかった。慢容上人の橘三郎さんが軽妙で
動きも軽くて楽しめた(橘三郎さんの踊りは初めて見るかも)。騒動にとまどう劇中劇の立派な公平とその役者(劇中劇の役者)とのギャップが可笑しい。
坂田金左衛門(吉之丞)が登場してからは侍と町人の身分差が強調される。理不尽でも、そういう時代だったのだと思わされた。
吉右衛門さんが通路に現れたらしく、1階席からどよめきと拍手が起こる。やがて3階からもその姿が見える。期待にわくわくして大きな拍手を送った。大きくて頼りがいがあって、カッコいい。
長兵衛が金左衛門をたしなめている間、劇中劇の舞台後方で頼義(児太郎)の家臣2人(芝喜松、中村福太郎)が本物の侍すなわち金左衛門に対して手をつきながら様子を窺うように見ているのが<らしく>てよかった。ところで、芝喜松というお名前に「あれ?」と思ったら、今年国立劇場の研修を修了して梅花さんに入門した方だったのね。三代目芝喜松さん、どんな役者になるか注目したい。
又五郎さんは、二幕目の役が子分の出尻清兵衛で、公平から一転、コミカルな味を出していた。
休演の情報が入って心配していたが、魁春さんのお時が見られてよかった(鼻血が止まらなかったとのことは未だちょっと心配)。夫の覚悟を察し黙って見送る妻の悲しみと覚悟、身支度の終わりに、袖口のしつけ糸を抜いて夫の顔を見上げるその瞬間が一番胸にぐっときた。
さて、その覚悟も、子供に行かないでくれとすがられ、苦しい表情の長兵衛、それを振り払うように唐犬に長兵衛としての意地・名誉を語る。子供への思いを断ち切るように、突き放す。ここはやはり泣ける。

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2017年9月20日 (水)

美しい黒

170920kuroageha
赤と黒

170920kurotombo
黄色と黒
スーパーの店内で発見。後を追ったら、こんなところに。

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«豊かな発想、緻密な描写:「アルチンボルド展」