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2008年8月15日 (金)

思い出しても1日笑えるらくだ

814日 納涼大歌舞伎第一部(歌舞伎座)
ひどく混雑していました。3階へ上がる階段も、終演後下りる階段も人人人で、歩くペースの早い私は他人様にすぐぶつかっちゃって、何度謝ったことでしょう。
08081501 「女暫」
こういうモノは理屈抜きで楽しむことにしている。ずらり勢揃い的舞台をまずは一渡り眺め、松也クンがいるのを見て、顔がほころび、それから11人を双眼鏡で追った。ん? あれは新悟クン?七之助クン? ちょっとお顔が似ていない? ああ七之助クンは一段上の上手側にいるね、で、こちらのお姫様は新悟クンと判明(目が悪い)。3部すべてに出演という巳之助クン、第1部はここね。

はなみずき様も書かれていたけれど、腹出し4人衆(5人だったっけ?)を見た途端1月国立の<メタボ>を思い出して、吹き出しそうになった。女鯰(七之助)と巴御前(福助)の楽屋落ちでも菊ちゃんの「noteお尻かじりむし~」が思い出されて、何かインパクトのあることやってくれるかな~と期待してしまったけれど、特別なことはなかった。
途中、木曽義高(高麗蔵)側ご一行が立ち上がって舞台を右へ左へと歩いて移動する場面がある。これはとくに意味はなく、ひとつには役者のしびれ防止策として入れられたのだそうだ。役者さんだって慣れているとはいえ、大変なのね。
幕が閉まってからの引っ込みに、巴は福助に戻り、舞台番の鶴吉(勘三郎)を呼んで、こんな大仰な衣裳は早く楽屋に帰って脱ぎたいから、ジャマな大刀を持って帰っておくれと頼む。六法での引っ込みをさせたい鶴吉は、なんとか福助さんを宥めるわけだが、このへんの遣り取りはアドリブを交えて2人が自在にやっているのだろう。先にご報告したとおり、今日は最高にホットな北島金メダルが福助さんの気持ちを変えるきっかけになった。

福助さん、こういう役は気持ちよく演じられるだろうなと思った。しかし、花道でただ睨むeyeだけで相手がスゴスゴと退散するという迫力は萬次郎さんのほうがあったような…(もっとも、私の席からは福助さんの睨む顔が見えなかったから)
08081502 「三人連獅子」

笛の澄み渡る音色、鼓の心地よいリズム、大薩摩の見事なバチ捌き(栄津三郎ファンとしては「女暫」に続いて聞くことができ、嬉しい)を楽しんだ。囃子の会も思い出した。国生クンの子獅子は、崖から這い上がった後に力強くなったように見えた気がしたが、どうだろうか。

08081503 「らくだ」
勘三郎さんが亀蔵さんのらくだは絶品だと言っていたそうだから、8月歌舞伎最大の楽しみであった。幕が開くと、ひどいボロ長屋に黄色い死体が横たえられている。「駱駝」と仇名されて長屋じゅうの嫌われ者だった馬太郎(亀蔵)である。ふぐに当たって死んだのだそうだ。黄色い体が顔を向こうに向けて横たわっているだけで、なんかもう怪しさふんぷん。
この死体がカンカンノウを踊ったりして大活躍。糸のない「操り三番叟」かsign02
無理矢理駱駝の死体を背負わされてしまった紙屑買の久六(勘三郎)、そのままにしていれば死体の頬が自分の頬に擦り寄って気分が悪いこと甚だしい。そこで手で防いでいたものだが、手斧目の半次(三津五郎)との遣り取りで事あるごとに動くものだから、そのたび駱駝が頬を寄せてくる。久六、ぞっとしてはまた手で駱駝の頬を向こうに向ける。その繰り返しのおかしいことと言ったら。
半次に命令されて、駱駝を背中に寄りかからせたまま、やけっぱちで大家のところに行く久六。2人の後姿を見るだけで、涙が出るほど笑い転げてしまう。カンカンノウを踊る死体に大家(市蔵)とおかみさん(弥十郎)の怖がること、尋常ではない。ドタバタのさなか、逃げ回る弥十郎さんのあのデッカイ体が勘三郎さんの上にのしかかり、客席また爆笑。
後半になると、酒が入った久六と半次の立場が逆転する。勘三郎さんの酔っ払っていく様は、魚屋宗五郎で既に見ているから期待したが、宗五郎ほどの面白みはなかったものの、やっぱり可笑しいことは可笑しい。おとなしそうな久六の変わりようにとまどい、だんだん巻き込まれてしまう半次も、ワルそうでいて案外お人よしなんだな。
しかし、一言のせりふもない、しかも自分の意志で動くこともない死体の役でこんなに笑わせるってそうそうないのではないか。亀蔵さん自身は思わず吹き出してしまうことはないのだろうか。私なんか、あの黄色い体を思い出しただけで半日分は笑える。3人の動きを思い出せばさらに半日分笑える。「らくだ」を思い出したら1日中笑っていられるということだ。今だって、笑いが込み上げている。
とにかく亀蔵、勘三郎、三津五郎の3人の息がぴったり。この演目、よほど気心の知れた同士でないと成功しないだろう。これまでの上演記録を見たら、駱駝・團蔵で久六・團十郎、半次・富十郎とか、久六・菊五郎、半次・團十郎なんていう配役もあるのね。團蔵さんの駱駝は十分アリだよね。想像したら、また可笑しくなって、ああ、笑っていられるってしあわせ~。平和で有難いと思います。
ここでナンセンスツッコミ~coldsweats01 駱駝サン、くにゃくにゃしていたけど死後硬直ってないの?(3040時間で硬直は解け始めるそうです)

落語の「らくだ」もまだ聞いたことがないので、ぜひぜひ聞きたい。
おまけ1長屋の糊売り婆役で小山三さんがお元気な姿を見せてくれます。半次の妹役で、松也クンが白塗りでない娘役。
おまけ2今月は鯛焼き屋さん、下界ですか。
おまけ3歌舞伎検定教科書、買ってしまいました。受験する気はまったくないし3000円という値段はかなりキツいけれど定式幕色の付箋が勝ったというわけ(詳細は松竹営業部長はなみずき様smileの8/10本文および8/13コメントで)。
<上演時間>「女暫」58分、幕間30分、「三人連獅子」33分、幕間20分、「らくだ」50

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コメント

SwingingFujisanさま、こんにちは。

もう、タイトルを読んだだけで、ニヤニヤしちゃいます。わたくし、大の「らくだファン」です!といっても映像でしか見たことがないのですが。その時の配役は、駱駝・團蔵さん、久六・菊五郎さん、半次・三津五郎さんでした。今回の配役もとっても楽しみですが、23日までお預けです。明日、2部&3部なので、1部も見ちゃおうかしらと思ってWEBをちらっと見ましたが、高い席(舞台からの距離的にと言う意味です。すなわち安い席♪)は売り切れですね、やっぱり。今日ほど暑くなければ幕見でもしようかと思います。ほんと楽しみ☆

そして、私も付箋を・・・いやいや歌舞伎検定テキスト(付箋つき!)を買う予定です。「松竹営業部長はなみずき様」の影響、すごいですね!

投稿: aki | 2008年8月15日 (金) 15時38分

aki様
團蔵さんの駱駝、ご覧になったとは羨ましい。菊五郎さんと三津五郎さんのコンビとともに、さぞや可笑しかったでしょうねsmile
私も、らくだだけもう一度幕見で見たいという気持ちは強いのですが、何しろ暑くて暑くてsweat01

松竹の営業部長、優秀ですね~smile きっと又クシャミをされていますよ。

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月15日 (金) 15時54分

わたしも、まだ思い出して笑えます(笑)
 まじめに考えるととんでもない話ですけれど(^^;そういうこと
を吹き飛ばしてしまう亀蔵さんの怪演でしたよね。

死体の役といえども、寝ていると息をすると多少胸のあたりが
動きそうですがビクとも動かないので、最初お人形さんかと
思いました。


投稿: kirigirisu | 2008年8月16日 (土) 00時10分

kirigirisu様
ほんと、ほんと、真面目に考えるととんでもない話ですcoldsweats01 そこが落語や歌舞伎のスゴいところだと思います。
私も時々、胸のあたりに焦点を当ててオペラグラスを覗いていましたが、少なくともその間は全然動かず、大したものだと思いました(おっしゃるように、死んだ役で舞台に横たわっていると、胸が上下に動きがちですものね)。
ああ、やっぱり、亀蔵さん、もう一度見たい~smile

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月16日 (土) 08時18分

っっっっくしゃんっ。失礼しました。おはようございます、松竹営業部長のはなみずきです(笑)(←本物さんに叱られそう…bleah。) おまけ付箋、1枚ずつはがして一色ずつ交互に並べて張り、机上定式幕を作りたいです。

SwingingFujisan様の記事を拝読して、またヒクヒク笑ってしまいました。私も、亀蔵丈@らくだが、勘三郎丈の顔に、ピタ~(まるで、チュー(^з^)せんとばかりに!)っと寄り添うところ、お腹を抱えて笑いました。大家さん宅の場面の「人形(人間)浄瑠璃」も最高でした。勘三郎丈のポカポカ叩く木魚の音も…(あぁ、もう駄目、笑いが止まりません!)。

>おとなしそうな久六の変わりようにとまどい、だんだん巻き込まれてしまう半次も、ワルそうでいて案外お人よしなんだな。

本当にそうですよね~♪ 他の方がどのようになさっているか分かりませんが、馬生師匠の「らくだ」の中では、紙屑屋さんが、酔い始めたなかではありますが、「金があっても死んだあとの始末なんざなかんか出来ないものだが、金がなくっても死人の世話をしようというアンタは余程いいお人だ。さすが、らくだの兄貴分だ。」と褒めだして(褒められてるのかな?!>笑。)ました。松也丈演じる妹とのやりとりでもそうですし、三津五郎丈は、そんな「兄貴分」の優しさが垣間見られましたよね♪

長々と失礼しました~。

投稿: はなみずき | 2008年8月16日 (土) 10時28分

はなみずき様
コメントありがとうございます。「おはようございます」の時間に頂いたのに、外出しておりまして、公開が遅れ、申し訳ありません。
付箋で机上定式幕を作りたい--同感ですが、もったいなくて…記念品として保存することになりそうですcoldsweats02

結局、落語の世界でも歌舞伎の世界でも、江戸の長屋の人たちって、みんなそれぞれにお人よしなんですねえ。「金がなくっても死人の世話をしようというアンタは余程いいお人だ」ってまったく同感です。そういうお人よしの人たちの世界だから、死人を踊らせて酒をせしめるというとんでもない話が、あれだけ笑えるんですねhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月16日 (土) 17時28分

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