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2008年8月25日 (月)

華やかさの中に漂う昏い怨念

82324日 第6回亀治郎の会(国立劇場大劇場)
京鹿子娘道成寺
1日目はオペラグラスなしの3階席から、2日目は俊寛以上に舞台が見えず(亀ちゃんはほとんど見えなかったと言っていいくらい)、もう諦めて音楽を聴きながらところどころ心地よく寝てしまったから、感想はちゃんと書けない。でも一応自分の記憶のためにも書ける範囲で残しておこうと思う。
所化たちの場面は極力カットし(傘踊りは入っていた)、花子の怨念に焦点を当てているように感じられた。花子は花道スッポンから登場する。亀ちゃんの美しいこと。こういう姿を見ると、やっぱり亀ちゃんは女方だなあと強く思う。
道行が終わり本舞台に移ると、一面の桜の書割が左右に開き、道成寺の山門が現れ、所化6人が出てくる。問答はほとんどなく、白拍子なら舞ってもらいましょうということになり、その場で烏帽子をかぶり、花子の舞となる。山門の書割は引き上げられ、舞台には長唄連中が登場している。
はじめにスッポンから登場したことでも強調されるように、清姫(蛇)の怨念が強く感じられ、時々キッと鐘を見上げる目に昏い情念の炎がちらついているように見えた。面白いことに、引き抜きなどの派手な演出はなかったにもかかわらず、舞台には明るい華やかさが満ちている(ああ亀ちゃんはまさに華のある役者・踊り手なのだ)反面、どことなく昏さが漂っており、そういうところでも清姫の怨念が見えるようだった。
踊りは切れよく滑らか、という印象だった。とくにしゃがんだまま鞠をつく動作は滑るような、まるで花子が乗っかった板が誰かの手によって引っ張られているような、そんな滑らかさだった。
亀治郎さんの踊りにはドラマがあると、いつもは思うのだけれど、この花子からはドラマ性というよりは、舞の美しさ、その奥に込められた怨念の暗さを感じ取った。亀治郎さんは「娘道成寺」は苦手だと言っているが、俊寛同様、ここにも亀治郎バージョンのチャレンジ精神が窺えて、次回という機会があったらちゃんと見たいと思ったのでした。
<上演時間>65分。俊寛から35分の休憩を挟んでの上演だったが、俊寛でかなり時間が押し、2日とも全体で30分は延長された。食堂の方が「亀治郎さん大熱演だから、時間が遅れるかもしれません」と念押しするほど。
カーテンコール
花子が鐘の上にあがって、蛇のウロコ帯をさっと流し、所化たちが祈りを捧げる中、幕が閉まる。拍手は鳴り止まない。ややあって、定式幕が再び開かれる。亀ちゃんが出てきて、道成寺で裃後見を務めた段之さんと段一郎さん、黒衣の澤五郎さんを舞台中央に連れ出す。裏方としてここで観客の拍手を受けたのはこの3人だけだったが、3人は裏で亀治郎さんを支えた全員を代表して登場したのだと思った。そういうメッセージを亀治郎さんから受け取ったような気がした。だから、全員分の拍手を送った。
3
人が引っ込み亀ちゃん1人になってもまだ拍手は鳴り止まない。立ち上がる人たちも出てきた。私も立ち上がった。亀ちゃんは下手、上手、2階・3階席へちょっとユーモラスな表情と動作で挨拶をし、最後は舞台中央に正座して深々とお辞儀をした。2日間、大劇場がいっぱいになるほどのファンが見に行ったのだ。この重みをしっかり受け止めてますますいい舞台を見せていただきたいわ~。
なお、来年は小劇場に戻り、879日の3日公演になる、とプログラムに書いてありました。
プログラム
ピンクのハードカバー、単行本のようなイメージである。3分の2は本公演関係、3分の1は写真集というか…。ヘンな顔ばっかりcoldsweats01 中で、reckless(無鉄砲な、向こうみずな)と表現されたおかっぱ頭の女の子に変身した顔がとってもキュート。拡大して飾っておきた~いlovely
080825kokuritu
←お隣、小劇場の「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」。今回は行かれないので、とても気になっていた。満員御礼の札を見ると、やっぱり見たかったなあと残念さが増す(詳しい感想はこちらをどうぞ)。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisanさま、こんにちは。亀治郎の会、盛り上がっていたようですね~。昨日は小劇場の合同公演を見ておりました。B班⇒A班の順で通しましたが、こちらも負けずに、アツイあつ~い舞台でしたよっ!幕間に、ちょっと大劇場の方へも行って、外から覗いてみました。この週末は、隼町に歌舞伎好きが集まったでしょうね~。色々と思い出しながら、感想アップしたいです、きっと・・・。

投稿: aki | 2008年8月25日 (月) 13時27分

aki様
こんにちわ。コメント、ありがとうございます。
合同公演にいらした方のお話を拝読すると、自分がその場にいられないのがとてもとても残念です。欲張りな私は、そちらの感動も皆様と分かち合いたかったcoldsweats02
来年こそは必ずdash

ご感想、期待しております。

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月25日 (月) 14時40分

こんにちは。私の席は下手側でして、また、前方席の方が半座り&前のめりで亀治郎丈の舞踊は全然見えず(ですから私も、「囃子の会」のリベンジとばかりに、ほとんど傳次郎さんを拝見、音楽を聞いておりました)、SwingingFujisan様のブログアップを楽しみにしておりました。

SwingingFujisan様のブログのおかげで、俊寛の解釈、下手側(船)の様子がよく分かりました。亀治郎丈のファンにとっては、お祭りの二日間でしたね!

お疲れさまでした!&ありがとうございました。

投稿: はなみずき | 2008年8月25日 (月) 15時52分

はなみずき様
コメント、ありがとうございます。

前方の方にご注意をお願いするのもなかなか難しいものですし…せっかくの観劇が台無しになってしまい、本当にお気の毒でしたweep

俊寛の解釈は私の勝手なものでして、亀治郎さんが籠めたものとは違うかもしれませんし、別のメッセージを受け取った方もいらっしゃるかと思います。
はなみずき様がちゃんとご覧になれていたら、きっともっと細やかに解釈されていたに違いないと、とても残念です。

「俊寛」という演目はあまり好きとは言えないのですが、その割りになぜか熱く語ってしまいますcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月25日 (月) 16時48分

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