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2008年9月19日 (金)

2度目の岩長姫

さて、「逆櫓」では、エアコンの冷風をまともに浴びて、薄手の夏物ストールしかもっていなかった私は芯から冷え切ってしまった(ホント、翌日、ノドと頭が痛くて熱っぽくて風邪ひいたなと思った。根が丈夫なので、ほとんど治りました)。歌舞伎座の方に寒いと訴えたが、どうにもならないようで、幕間の入替えのときに、席を移った。通路を隔てた隣の席だから、見え方にそう差はなく、しかし体感温度は大いに違った。腿のあたりに冷えを感じ続けたものの、これはストールで十分カバーできた。
「日本振袖始」

この前は玉三郎さんに見とれて、稲田姫(福助)のことが記憶から飛んでいたみたい。八岐大蛇の生贄にされるために村人たちに連れてこられた稲田姫は、恐怖のあまり失神したのかと思っていたら、置いてかないでと村人に縋り逃げまどって当身を食らわされたのであった。
スッポンからの玉三郎さんの登場は実際にはほとんど見えなかったが、前回の記憶のおかげだろうか、目の前で見ているような感じがした。舞う岩長姫は憂いを含んだ表情に時々怨念が見え隠れし、美しさを哀しく凄まじいものにしている。
お酒のカメの幾つめかに顔をつっこんだ時、なんと、銀の花簪がカメに落ちてしまった(ちゃり~んという音も聞こえた)。カメから上げた頭には簪を支える細い金具が目立たずのっている。えっ、これってハプニングだよね。簪の落ちた後の玉様、動揺も見せず動きがあまりに自然なので、意図的に落としたわけじゃないよね?この前見たときはどうだったっけ?などと完全に記憶に自信がなくなってきた。客席もとくに動揺していなかったし…。華やかな簪がない長い黒髪に、岩長姫の凄みが増したような気がした。
ハプニングといえば、前回は途中で舞台上手に置かれた酒のカメが舞台装置の何かだったか霞幕だったかに触れて転がってしまい、裏方さんが起こしたのだが、何度やってもその位置が微妙にずれていたらしく、袖から別の裏方さんが「違う違う、そこじゃない」という感じで指示を出していた。しまいには客席も思わず笑ってしまった。
閑話休題。前回前半は本当に稲田姫のことが飛んじゃっていたらしく、今回見て、ああそういえば、岩長姫と絡む場面があったけなと思い出した。岩長姫に呑み込まれようとして気付いた稲田姫が抵抗する。ついに力尽きて、海老反りのまま洞窟に引っ張り込まれる。いかにも大蛇に呑まれている感じがしておどろおどろしいながら、美しくもある場面だ。
2
人が引っ込むと大薩摩が登場。こういう岩がごつごつとした物淋しい風景にはぴったりの大薩摩。好きだなあ。
そして姫はいよいよ大蛇に変身。玉様を中心として、ウロコを思わせる衣裳をつけた7人の分身は上から見ると、まさにヘビの動き。身をくねらせ、あばれ、なかなかの迫力だ。迫力はそちらにまかせ、玉様は恐ろしい大蛇ながらしなやかで女性らしさの感じられる動きである。岩長姫の怨念が悲しみとともに伝わってきて、素盞鳴尊に退治されるのが気の毒になってしまった。
岩だらけの風景、村人たちの衣裳、岩長姫の悲しい宿命――タイムスリップして古代世界を垣間見た50分間でした。

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コメント

そんなハプニングがあったのですか!三日には福助さんの簪が落ちるハプニングがあったと「ご機嫌!歌舞伎ライフ」のyukiさまのウォッチングにありましたから、玉三郎さんの岩長姫の凄まじさが生んだものかもしれませんね。

http://www5e.biglobe.ne.jp/~freddy/watching225.htm

舞台装置の荒涼たる作りは、この舞踊劇にぴったりのものでしたが、心なしか松の枝も蛇の頭のように見えました。本日幕見で三回目の観劇となった六条亭でした(^^ゞ。

投稿: 六条亭 | 2008年9月19日 (金) 21時51分

六条亭様
コメントありがとうございます。yuki様の記事、拝見しました。
月のうち2度も簪が落ちるなんて珍しいですね。おかげで、と言っては変ですが、簪って、ああいう金具で止まっていたんだ、と知りました。
舞台装置の松は、たしかに大蛇を意識したものかもしれませんね。
3度目は興奮せずにご覧になれましたかsmile

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月19日 (金) 22時51分

やっと拝見して参りました、歌舞伎座昼の部! 素晴らしかったです(o^-^o)。

4階にある空調機、かなり強力ですよね…(苦笑)。私ももの凄い勢いで冷やされたことがございます。でも、奥のほうですと熱気が全部上昇してきたようで苦しいほどの暑さだったり…。かなりムラがあるかもしれません。3階後方席のときは、首の後ろが冷やされて、慌てて大判のハンカチを首に巻いてました(おかしな恰好だったと思います…)。上のほうで見るからといって、油断できないですネ。

今日は、簪、落ちなかったです。上手の甕は、霞幕が取られる際に、黒衣さんが後方に仕舞っていました。とても工夫された舞台装置でしたよね。それもカンゲキの一つでございました。

投稿: はなみずき | 2008年9月20日 (土) 22時26分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
演舞場も素晴らしい出来ですが、歌舞伎座は歌舞伎座でまた見事、歌舞伎ファンとしては本当に幸せを感じますよね。

空調機は冷気が全体にいくように、強くしてあるのでしょうね。次からはしっかり上着をもっていくようにします。もっとも、今後冷房の季節はそう長くはありませんねcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月20日 (土) 23時17分

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