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2008年9月26日 (金)

2度目の加賀見山は千穐楽

925日 新秋九月大歌舞伎夜の部千穐楽(新橋演舞場)
「加賀見山旧錦絵」
今日の席は上手寄りでもう、もろに目の前の海老ちゃんのオーラを受け、又々海老ちゃん熱が上昇してしまったheart04。序幕なんか、ほとんど海老ちゃんの横顔しか見ていなかったんじゃないかというくらいlovely。なんて非の打ちどころのないきれいな顔なんだろう、いつまで見ていても飽きない。私、何しに来てるんだ、と時々はっと気がついて、あわてて芝居も見た。海老ちゃんの岩藤から目を移すと、梅枝クンの花のかんばせshine。海老岩藤が毒を含んだ黒百合なら梅枝姫は白百合だろうか。このお姫様、木曽義仲の息子・義高と許婚だったのね(ここでもまた木曽かい。今月は木曽month?)。義高は吉右衛門樋口が命がけで守ろうとした駒若なんだろうか。でも、このお話では義高はもうこの世にいない。

海老ちゃんは、とにかく目がすごい。姫が尾上に旭の弥陀の尊像を預けると言っているときなんか、半目になった目が「もう、何おっしゃっちゃってるの~annoy、預ける相手が違うんじゃございませんこと~think」と呆れている(実際のセリフでもイヤミたらしくそんなようなことを言っていた)。そうかと思うと、くわっと見開いた目で尾上やお初を睨み倒すeye。凄みを利かせた声、でかい体、海老ちゃんのド迫力に、思わず客席が笑い出してしまう。海老ちゃんloveの笑いには聞こえるけれど、ちょっと笑いすぎじゃない?
3
幕目では今回も泣かされた。まずは、帰りの遅い主人を案じて迎えに出ようとする亀ちゃんお初がよい。部屋をきちんと整えて、外へ出る。すると重い足取りの尾上が戻ってくるのに出会う。このとき浄瑠璃が「羊の歩み、隙(ひま)の駒」と語る。これはHineMosNotariがお気づきになっていらしっゃるのがちょっと面白くて、今回は必ず聞き取ろうと思っていた。この詞章の意味はNotari様が解説なさっているので、そちらでご覧ください。
忠臣蔵を引いてお初が尾上に意見するのは、最初から意図してのことかと思っていたが、「師直の憎さよ」と言いながらブルブル震えるほど強く火箸を灰に突き立てる尾上を見て、事情を察するようにも感じられた。果たして、忠臣蔵はたまたまお初が口にしただけなのだろうか。それとも意図的に出しておいて尾上の態度で確認したのであろうか。私にはよくわからなかった。
ちょっとここで又ナンセンス突っ込みを。お初が尾上の文箱の中身を見て慌てて戻るでしょう。そうすると尾上は腹に刀を突き立てていて「遅かった遅かった」とお初に恨み言みたいに言う。自分で早く行けと使いに出しておいて、お初がもしちゃんと使いを完遂していたら、こんなに早く帰ってこれなかったのに、何言ってんの尾上さん、とこの前も今日もそうツッコミたくなったよsmile
それはさておき、お初が旭の尊像を盗まれたことを知って、岩藤の後を追おうとすると、尾上が苦しがって「あああ~~」と呻く。お初は慌てて尾上のところに戻りかけ、でもやっぱり岩藤を追わなくちゃ。そこで又尾上の「あああ~~」。ってこれを3回くらい繰り返すのね。このとき、客席が笑っちゃって。今日はよく笑いが起こる。
笑いの締めは、倒れた岩藤を腰元6人が運ぶところ。6人のタイミングが合わなかったのか、一瞬持ち上げ損ねて、危うく腰元さん1人が後ろに倒れそうになって。何とか持ち堪えて無事奥へ運び込んだからほっとしたけど、この前見たときより、持ち上げた高さが低いように思った。
時蔵さんは、この前見たときには、本来大らかなこの人がこんなに苦しんじゃって…と胸が痛んだのだが、今回は最初から辛気臭い感じがした。こっちの目が慣れてしまったのか、それとも1カ月この役をやっているうちにすっかり暗くなってしまったのかしら。だとしても、無理はない。かわいそうな時様、いえ尾上様weep 満座の中で受けた恥辱、あなたの重い気持ちを思うと、私の胸は締め付けられるようです。お初がいてくれたことが、せめてもの救いです。時様の風格はさすが。
亀ちゃん、可愛かった。旦那様を思う心持が強く感じられた。亀ちゃんという人はおりょうのような、利発で勝気、ちょっと小生意気な、という役が合っている。このお初では小生意気さは封印しているけれど、亀ちゃんらしいお役であると思う。ただ、前回見たときはいじらしさに欠けるような気がしていた(菊之助さんからはこれが滲みでるのよねheart02)。それが今回は思いがけずいじらしくて、お初ちゃんよく頑張ったねと抱きしめてあげたくなっちゃったheart04
誰かが、とくに女性がいじめられる芝居は嫌いなんだけど、「加賀見山」は岩藤のキャラのせいか、お初の奮闘のせいか、はたまた勧善懲悪的終わり方のせいか、あんまりイヤではない。
おまけ:尾上がお初に持たせる手紙を書く場面。筆運びがとてもリアルで実際に書いているのかと思ったほど。というのも、墨をつけ直して筆を進めた部分は濃く、そのままさらさらと続けた部分は薄く、文字が書かれているように見えたから。そういう細かいところまで配慮されているんだなあ、と感心した。

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コメント

お初に持たせる手紙
えええっほんとに書いてるんじゃないんですか!
海老ちゃん、目で細かく演技してましたねー(楽しそうに)。團蔵さんと目まぜするところなんかこの極悪兄妹!って嬉しくって。。。

ナンセンス突っ込みと言えば、最後二代目尾上のお墨付きが用意されてるぐらい悪事がばれてるんだったら、泳がせておくなよっ…それでは芝居になりませんね。汗
失礼しました。

投稿: urasimaru | 2008年9月27日 (土) 00時13分

urasimaru様
手紙は本当に書いていたのかどうか、わかりません…あまりにリアルだったので演技ではないようにも思えるのですが、ああいうのって、普通はすでに書かれたものが用意されているんじゃないかな、って勝手な想像でモノを言ってしまいましたcoldsweats02 

海老ちゃんは目が大きいから、眼の演技が楽しめますよねえ。團蔵さんとは知らん顔しながらその実、目と目で。って、ホントこの極悪兄妹、たまりませんsmile

そこ突っ込んじゃったらお芝居成立しません、っていうの、けっこうありますよね。そういういい加減さというか大らかさが歌舞伎のいいところかなあ、と。お初にしたって、しょっぱなどこからともなく現れて尾上の危機を救ったくせに、肝心の草履打ちの時は何してたんだ、ってちょっと心の中で突っ込みました。ハハcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月27日 (土) 00時42分

うーん、私も手紙は、あの場では書いてないと思います。
ああいう場面になると、つい双眼鏡でじっと手元を見つめてしまいますが、SwingingFujisanのおっしゃるように、あらかじめ書いてある場合がほとんどみたいですね。
役者さんが実際に書くのを見るのは、「葛の葉」の時くらいかなぁ。

それから、團蔵さんと海老蔵さんの、あの目つきの悪い(^_^;)アイコンタクト!
あそこを同じくうれしく思う方がいて、うれしいです♪

投稿: HineMosNotari | 2008年9月28日 (日) 00時08分

HineMosNotari様
ありがとうございます。私も、3階席では双眼鏡で、1階席では肉眼でじ~っと見つめました。上手に巻紙を開いて(?)いくので、書かれた後でしか文字が見えませんが、それが怪しいsmileと。となると、毎日あの部分を切り取っているので、既に文字が書かれた巻紙は公演日分用意されているというわけですね。岩藤の傘も、あんな立派なのが毎日破られるんだ~と、つい思ってしまいます(こういうのも、消え物って言うのでしょうかしら?)。
團蔵さんは舞台にいらっしゃる時間が長くなくても、とてもインパクトと存在感が強い、得難い役者さんだと思います。いかにも、といった悪役から、奥さんの尻の下に敷かれるお人よしまでこなされて、しかもどことなく胡散臭い(←團蔵さんへの賛辞です)。團蔵さんファンのNotari様ならずとも、團蔵さんが登場されるとその演技が楽しみでhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月28日 (日) 07時40分

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