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2008年9月19日 (金)

2度目の「逆櫓」

917日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
朝イチの竜馬は断念して、とにかく「逆櫓」のリベンジを第一目標に、幕見の列に並んだ。幕見とはいえ、いや幕見だからこそ、見やすい席で見たい、だからかなり早めに行った(竜馬を途中から見るにはちょっと遅かった)。で、時間つぶしに携帯で歌舞伎モバイルを眺めていたら、<割引&お得クーポン>なんていうのを発見。面白がって先へ進むと、幕見が割引になると。対象は決められた演目のみで、昼の部は「日本振袖始」、夜の部は「盛綱陣屋」がそれぞれ200円引きになる。岩長姫も今日の目的の1つだからラッキーとばかり、クーポンを使わせていただきました。ただでさえ安い幕見料金で申し訳なく思う気持ちもあったけど、900円→700円って、ちょっと大きいでしょ。
「逆櫓」
どんな演目でも出だしというのは、まだ客席がざわついているせいか、舞台に近い席にいてもセリフが聞き取りづらい。それが4階だから、法要に集まった近所のじじばばのセリフはほとんど聞こえなかった。よく透るはずの歌六さんのセリフでさえ、はじめのうちはひどく聞こえが悪かった。1度見ている記憶を引っ張り出して、時たま聞き取れる言葉を加えて、帳尻を合わせた。
船頭松右衛門(吉右衛門)が権四郎(歌六)に梶原の物真似なんかしてみせながら、逆櫓の技術が認められたなどと語るあたりには、この人に大きな秘密があるとはいえ、慎ましく穏やかな一家の暮らしぶりが窺えて、この一家を襲った過酷な宿命を呪いたくなった。
松右衛門女房およしの東蔵さんは、前回ははじめ、「え?歌六さんの娘?どっちかっていうと夫婦じゃないの?」なんて思ってしまったが、お筆(芝雀)の来訪を誤解して嫉妬するところなんか(「ととさん、来たわいな、きれいな女子が」)とても可愛らしく、全体に若さも感じられた。
お筆の話を全部聞かないうちに、本物の槌松が帰ってきたと思いこみ、待ちきれずに外へ出ては首を伸ばしてその姿を探す父娘は、なんと気の毒なことだろう。わが子の死を知ったおよしの嘆き、悲しみが胸に迫った。権四郎は悲しみに怒りもぶつける。あまりの理不尽さに、私の胸も権四郎同様怒りに震える思いだった。しかし、芝雀さんの語りのところで、ついに睡魔に襲われた。あの独特のリズムが眠気を誘うのよ、きっと。
松右衛門実は樋口治郎兼光に戻った吉右衛門さんの熱演に私は何度も拍手しそうになったが、だ~れもしないので、前にもっていった手をどうしようという感じ。自分に忠義を立てさせてくれと何度も平伏して権四郎に頼み込み、やっと許され「ありがとうござりまする」でやっと拍手が起こった。吉右衛門さんの迫力に、拍手もできないほど息詰まるものがあったのかもしれない。
海に出ての逆櫓の稽古の場面は、やはり上から見るのがよい。海は舞台の奥側だけなのに、広大な感じがよく出ていて、歌舞伎の舞台の素晴らしさを実感する。「ヤッシッシ シシ ヤッシッシ」の掛け声が楽しい。3人の船頭(歌昇、錦之助、染五郎)が樋口に襲い掛かると浅葱幕が降りてくるが、その下半分が浪もようになっているのが、興をそがなくていいと思った。
立ち廻りでは、吉右衛門さんの櫓さばきがきれい、動きも大きくて見ごたえがある。そして3人の船頭の決めポーズは錦之助さんが美しい(染五郎さんって意外と背が高いんだなと思った。錦之助さんのほうが大きいかと思っていた)。
富十郎さんの大きさは前回の印象どおり。
この日の子役ちゃんは坂口湧久クン。最後の一言「樋口、さらば」に若君の風格を漂わせるというむずかしい役をきちんとこなしていた。
前回とは違って、かなりきちんと見たつもりで、芝居としては面白さも十分感じたものの、物語としてやはりイマイチつかみ損ねた気がする。まだまだ未熟者です。
「日本振袖始」へ続く。

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