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2008年9月22日 (月)

3度目の岩長姫:なぜ、何度も見たくなる?

921日 「日本振袖始」(歌舞伎座昼の部幕見)
どうしても又見たくなってしまって、夜の部を見る前に並んでしまった。日曜日ということもあって、早く行かないと立ち見になりそうだと思い、1時間近くも前から並んだ。案の定、今日は立ち見の人がた~くさんいた。
なぜ、岩長姫を何度も何度も見たくなるのか。今日その答がわかったような気がした。それはね、見るたびに新鮮だから。本当に、見るたび、初めて見るような驚きや興奮があるのだ。あまりに目を奪われすぎて、記憶に刻み込まれるヒマがないのだろうか。あるいは、自分のそのときの状態によって光の当て方が違うのだろうか。それとも玉三郎さんが舞台を重ねていくうちに、どんどん別の面が出てくるのだろうか。
初回の岩長姫は、怒り、怨念、悲しみ、そういう感情の中で悲しみが強く感じられた。2回目は怒りや怨念を感じた。3度目は悲しみがより明確に見えるような気がした。
そして、私は今日、玉三郎さんの美しさに、初めてぞくぞくするような感覚を味わった。ただ姿が美しいというだけではない。芸が美しい。すべてが美しい。なんの時だっただろう、究極の美を見たような気がして、一瞬体じゅうにふるえが走った。
とまあ、総論はここまでにして。
岩長姫が登場してまもなく、日の本の生娘を根絶やしにしてくれよう、とかそんなことを言うのね。もうその一言で、姫=大蛇の世界に入り込んでしまう。失神している稲田姫を認めたあとで、酒を飲んで少々酔いが回ったときの表情が満足気でありながらなんとも寂し気、哀し気でもあって、切ない。そういえば、岩長姫が甕から酒を飲む場面で、どこかから笑いが起こっていた。3つ目の甕からはもう誰も笑わなかったけれど。美しい姫があんな大きな甕に首をつっこむようにして豪快に飲むギャップがおかしかったのかもしれない。
この前落ちてしまった簪は、扇を金色のものから赤に取り替えた直後に、黒衣さんがすっと抜くんだったのね。今日は無事、でした。
見るたびに新鮮だと思うのは、立ち回りもそう。上から見ていると、実にうまく蛇の動きを取り入れているなあと感心する。全体の動きが大きく、ダイナミックで、美しい。今日の7つの分身は特別気合が入っていたような気がした。素盞鳴尊に討たれる大蛇は可哀想ではあるけれど、あんなにりりしく美しい尊じゃあしょうがないか、っていうくらい染五郎さんもステキだった。
「日本振袖始」は音楽も見事で、稲田姫が人身御供に差し出されるために連れてこられるあたりでは、笛が哀しげに響き、岩長姫が酒を飲んでいる間も、静かで哀切なメロディーが流れる。それが大蛇の本性を表しかける頃から、激しい鼓のリズムとともに鋭い音に変わる。これを聞いているだけでも楽しい。
今日の4階は外国人の観客がとても多かったが、玉三郎さんの細かい表情なんかがわかっただろうか。私は欲張りだから、ぜひそういうところまで見てほしい、と思ってしまうのだ。それと、今日は1列目に、思いっきり手摺に身を預けて見ている人が何人かいた。後ろの人、ちゃんと見えただろうか、と心配になった。歌舞伎座の方も携帯やカメラに加えて、座り方の注意もしてほしい(「撮影禁止」と書かれたカードを客席に向けながら、大きな声で注意を促していたが、そのカード、日本語のほかに、英語、中国語、韓国語で書かれてあり、ほう国際的やねえ、とちょっと感心した)。
岩長姫を見るのはもうこれで最後だろう。でも、もう1回でも2回でも見たいというのが本音だ。
Ken’s
珈琲店へ:夜の部の開演まで少し時間があったので、Ken’sさんに行ってみた(1人でも行けたよ~smile)。先日伺ったことを覚えていてくださって、嬉しかった。今日は銀座のマロニエから銀座の蜂が集めた蜜がたっぷりかかったハニートーストとブレンドコーヒーをいただいた。こんがり焼けたパンがあんまり美味しそうで、テーブルにのったとたんすぐに頂き始めてしまった。だから残念ながら写真はなし。生クリームやアイスクリームをつけていただくからとっても甘いのに、甘すぎるということがない。やみつきになりそう。でも、次回は別のメニューをトライするんだ~。
おまけ:ね、ね、投稿時刻見て見て。偶然2並びになったscissors

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コメント

2並び、おめでとうございま~すbell

「なぜ、何度も見たくなる?」を、何度も何度も拝読させて頂きました。もう本当にその通り、で。日本古典神話をベースにした舞踊劇ですが、そのなかに、岩長姫が辿ってきた哀しい過去のような、岩長姫の悲しみや恨みのようなものが、感じられました。いつも、「美しい~!」と惚れ惚れする玉三郎丈ですが、今度ばかりは「美しいほどの恐ろしさ」を感じました。本当に、飲み込まれてしまいそうな恐怖感でした。それも、その日、その時の役者さんの「気」によって、発するものが違うのでしょうね…。

くぅ~っ、私ももう1度拝見したいぃ~っ!

>1人でも行けたよ~

はい~! 良かったです♪ ハニートースト、絶品ですよね♪

ところで、記事のタイトル横の、小さなイラスト。メニューをじーっと見て何を食べようか迷っている男性の絵だと思っていましたら、山盛りご飯に変わるところを初めて見ました! 面白いですね!(1番下の、おなかの上で旗をもっているイラストも、面白くて好きです♪)

長々と失礼しました。

投稿: はなみずき | 2008年9月22日 (月) 06時55分

おはようございます。私も昨日は岩長姫さんに会いに行き、その足でKen'sさんで幸せな時間を過ごすプランがありました。。。が、お昼に予定していたお墓参りが長引きそうだったので事前に歌舞伎座に問い合わせると、1時間くらい前に並ばないと…と言われ、開演ギリギリに行っても札止めだなぁと諦めたのでした。

もし実行していたら、歌舞伎座4階→Ken'sさんまで、お揃いだったかもしれませんね〜。恋しいハニートーストちゃんに再会すべく明日の演舞場昼が終わったら駆け付けま〜す!2度目の昼の部、楽しみです♪

投稿: aki | 2008年9月22日 (月) 07時13分

はなみずき様
おはようございます。コメントありがとうございます。
玉三郎さんは、失礼ながらお年とともに美しさがどんどん増していっていらっしゃるように感じています。岩長姫は美しさと恐ろしさが表裏一体、そして奥には悲しみがあり、という印象でした。
ええ、役者さんの「気」によって舞台には毎日ちがう「気」が漂うのでしょうね。

Ken'sさんのハニートースト、絶品でしたdelicious また次に何を頂こうか、まだいつ伺えるかわからないのに今から楽しみです。

このテンプレート、私もかなり気に入っておりますsmile あんなおなかにならないようにしなくては。いや、もうあの半分くらいにはなっているかしらbearing

最後になりましたが、Ken'sさんを辞すときに、はなみずき様とaki様のお2人によろしくお伝えいただこうと思っていながら、ぽろっと忘れてしまいました。ごめんなさい。

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月22日 (月) 08時02分

aki様
おはようございます。
あら~、それは残念でしたwobbly はじめ、早とちりして、あれ、Ken'sさんでお目にかからなかった…なんて思ってしまいました。
そうなんですよ、昨日は立ち見がぎっしりというほど、多くの方がご覧になっていました。1時間近くも前に並べばベンチに座れるかなというのは甘い期待でした。すでに、蕎麦屋さんのあたりまで列は伸びていましたshock
明日は演舞場昼の部で、海老ちゃんの「おじがつねつね」をお聞きになれるのですね。ああ、もう一度このセリフを聞きたいですわ~heart04

はなみずき様へのコメントのお返しにも書きましたが、Ken'sさんを辞すときにお2人によろしくお伝えいただこうと思っていながら、ぽろっと忘れてしまいました。ごめんなさい。

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月22日 (月) 08時22分

いや~、幕見で三回目の観劇とはここにも何度も玉三郎さんの岩長姫に飲み込まれてしまった方がいらっしゃったのですね(^^ゞ。

それにしましてはSwingingFujisanさまの感想を拝読しているとよく細かく冷静に観ておられるなと感心いたします。私など観るたびにまだ興奮状態でして…(^^ゞ。

ただ間違いなく言えることは玉三郎さんの今までの舞踊劇のいい面がすべて出ていると思います。

楽日にもう一回観劇しますから、もう少し冷静に観ることが出来るように努力します(^_^;)。

投稿: 六条亭 | 2008年9月22日 (月) 22時57分

六条亭様
今月は海老蔵さんの義賢・実盛と玉三郎さんの岩長姫に妙にはまってしまいました。
3度目は少し細かい部分も見ようと心がけてはいたのですが、やはり夢中になってしまうと、ただただ玉三郎さんの表情や動きから発信されるさまざまな感情に心を揺さぶられているだけでした。
六条亭様はさらにもう一度ご覧になるのですね!! 計4回とはすごいです。

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月22日 (月) 23時20分

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