« 来年も… | トップページ | 初Ken's珈琲店 »

2008年9月12日 (金)

水に涙する:演舞場昼の部2

911日 新秋大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
2
度目の「源平布引滝」、そして「枕獅子」。
1
度見た後だから感激が薄れるかと危惧したけれど、とんでもない。初日に増して感激しました。ただただlovelyで興奮していた初日とは違い、多少冷静さを取り戻して見ることも出来たような気がします。
「源平布引滝」
少し落ち着いて見てみれば、海老蔵さんが仁左様に「細かく丁寧に教えていただいた」ということがよくわかる場面が多々あった。たとえば、多田行綱に自分の本心を見破らせる場面。はっとなった多田が思わず大声で、じゃああなたは…と言いかけたところ、手で制する。その仕草、表情が仁左様を彷彿させた。あるいはまた、兄・義朝の骨が野に晒され、とんびやからすにつっつかれていると嘆く場面、顔まで仁左様に見えた。実盛の海老蔵さんにも時として仁左様が色濃く現れる。今年1月浅草歌舞伎の「金閣寺」雪姫で亀治郎さんに見られた雀右衛門さんの姿、さらに遡って歌右衛門さんの影、血筋とはまた別に歌舞伎の芸の継承というのはかくも見事に現れるものかと改めて思った。
実盛の海老蔵さんも美しく武士らしく、爽やかでステキだけれど、義賢の悲劇がやはり胸を打つ。孤軍奮闘、やっと一息ついて水を飲もうとしたとき、進野次郎宗政(男女蔵)の姿が目に入る。その瞬間柄杓を放り投げ、再び緊張を体に漲らせる。その後小万が汲んでくれた水は義賢にとって末期の水となった。私は、この柄杓を放り投げる姿に義賢の闘いの厳しさが象徴されているような気がして、この場面を見ると胸が痛くなる。そして、この世を去る前に水を口にできたことに涙を禁じえないのである。
海老蔵さんの義賢は感情豊かで、家族別れ別れになる悲しみ、義朝のどくろを足蹴にされたことに爆発する怒り、源氏の旗揚げに堂々と協力できる喜びなどがとても共感を呼び、私も一緒になって悲しみ怒り、喜んだ。実盛は実盛で、葵御前に無事男子が誕生したことに歓喜するところなど、私も嬉しくなって、思わず拍手を送った。太郎吉に対する優しい目もなんて魅力的(ああ、私オバサンでよかった。若かったら、きっと海老ちゃんにマジでheart01だと思う)。馬に乗った海老ちゃんは、客席の視線1人占めという感じでした。でも、太郎吉ちゃんが侍魂を見せると、さすがの海老蔵・実盛も秋山悠介・太郎吉ちゃんに食われていましたよ~wink 
もっとも
松也クンは出だし、声がちょっと変だった。初日の声とは違う。風邪でもひいたのかと思ったが、時間がたつにつれて戻り、実盛物語ではすっかりきれいな声になっていたconfident。梅枝クンはとてもきれいでたおやかで、恋仲だと思っていた折平に、子までなした小万という妻がいることを責めるあたり、いじらしさが感じられた。
初日は初日でかなりよくできた舞台だと思っていたが、日が経って見ればやはり芝居は進化しており、中でも九郎助の新蔵さんが、じいさまらしさが板についてきたというのか、とてもよくなっていた。飄々とした味わいの中に、娘や孫を思う心情がよくあらわれて、泣かされました。右之助さんのばあさまともども、実にいい存在感があった。
見終わった直後にはもう又見たくなって、何とかしてもう一度行っちゃおうかと昂揚していたけれど、やっぱりなかなか難しいかなあ。演舞場で寝泊りできたならなあ。
「枕獅子」
ああ、セリ上がってくる時様のなんと艶やかで美しいこと。思わず「うゎきれい」と小さな声を出してしまった。初日に、後見の竹蝶さんとのコンビネーションがうまくいかなかったところが見られたが、今日はさすがにバッチリであった。ただ、出だし、赤い縁取りのある傾城の手紙は、竹蝶さんから渡されるのはやめたらしく、時様が自分の胸元から取り出していた。竹蝶さんは、差し金の蝶を操りながら、花道をバックで引っ込むのだが、これ、むずかしいんだろうなあ。
獅子になってからの時様、毛振りが初日より勢いあったように思う。
とにかく眼福眼福の50分ではあったが、今日は、演奏もずいぶん楽しみました。
追記(駒王か駒若か):先日、歌舞伎座の「逆櫓」で、義仲の遺児である駒若丸が登場して、演舞場の葵御前が出産する将来の義仲・駒若丸と混乱したが、演舞場のほうはセリフで駒王丸と言っていた。実は、「逆櫓」で駒若の名前を聞いたときに、「あれ、駒若? 演舞場は駒王だった? それとも駒若だっけ?」とすでにそこで一度混乱していたのだが、演舞場筋書きに駒若と出ていたので、あ、やっぱり駒若だったのねと…。史実として義仲は駒王説が正しそうだけど、なんかまだ混乱している。

|

« 来年も… | トップページ | 初Ken's珈琲店 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisanさま、おはようございます。

もう2度もご覧になったのですね。うらやましいです。私の第1回昼の部は、舞台の三分の一が見えない席だったので、再見にかけています。でも今度は舞台に近すぎて心配です♪♪♪

時様の「枕獅子」も楽しみです。好きです、この演目。美しさと力強さが共存して素晴らしいですよね。竹蝶さんもかなり頑張っていますし。

明日は夜の部に行きます(その前に歌舞伎座の昼の部。)ので、そちらも楽しみです。演舞場で寝泊りできたなら・・・分かります。木挽町に歌舞伎会限定の宿泊所(仮眠所?)みたいなのがあったら、良いですね。あ、また妄想スイッチが・・・。

投稿: aki | 2008年9月12日 (金) 10時12分

aki様
おはようございます。コメントありがとうございます。
舞台に近すぎて心配--確かに近すぎて海老ちゃんオーラに完全に取り込まれる心配はあるかもsmile
「枕獅子」も2度見ても全然飽きることなく楽しめました。竹蝶さんの頑張り、好感がもてます。又応援したくなる方が増えましたcoldsweats01
明日のハシゴのご感想、楽しみにしております。

aki様の妄想に私も加えてくださいませ~。実際、木挽町のマンションでも借りたいところですヮ。

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月12日 (金) 10時27分

おはようございますsun
今月は歌舞伎座もあるし、演舞場は夜だけの予定でしたが、SwingingFujisan様のブログを読んで昼の部も見たくなってきました。
海老様そんなにカッコいいんですかlovelyチケット買い足してしまいそう…。
しかし海老蔵さんも朝から晩まで芝居に出っぱなしで大変ですねぇ。しかも休みなしですし。役者さんの体力って本当にスゴイ!

投稿: non | 2008年9月13日 (土) 10時25分

non様
おはようございます(まだ、午前中だからいいですよね)。
海老蔵さんの評価については色々だと思いますが、私は思い切りツボにはまってしまったみたいです。
役者さんの体力は本当にスゴイと思います。いくら若くても、舞台でずっと緊張感を保つだけでも心身ともにエネルギーがいるでしょうし、また立ち回りでは体力を消耗するでしょう。それが出ずっぱりですものね。それに、私は自分の年齢と体力を考えると、少なくとも同世代以上の役者さんには驚きを禁じ得ませんcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2008年9月13日 (土) 11時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 来年も… | トップページ | 初Ken's珈琲店 »