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2008年10月 7日 (火)

後引き宗五郎:10月歌舞伎座

106日 芸術祭十月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
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恋女房染分手綱」
そういえば、これ、福助・児太郎親子で見たんだっけな。そして今回の福助・小吉コンビは「つばくろは帰る」でも切ない母子だったんだっけ。児太郎クンもとても上手だった記憶があるけれど、今回、とにかく小吉クンに泣かされた。声に哀愁が漂い、1日でいいから親子3人一緒にいたい、などと訴えられるともう涙が止まらないweep「つばくろ」でもそうだったが、小吉クンは役の性根をしっかり摑んでいるのだろう。しかし、この三吉という役は、11歳と幼いながら、苦労を重ねてきているから一人前の口をきく。すると観客がどっと笑う。まあ、かわいいという気持ちで笑っているのだろうし、確かに微笑ましくはあるのだけれど、あんまり笑われると泣いている自分が場違いに思えてしまう。
福助さんは表情をあまり大げさに動かしていないのがよかった。しかし、私がぐっときたのは後姿である。何回か背中を見せるのだが、そこに母親のつらい気持ちが集約されているように思えて、泣けた。ただ、私の耳の老化のせいか、声がこもったような感じで聞き取りにくい部分があったのが残念。
<いやじゃ姫>の片岡葵ちゃんはとても可愛らしかったのだが、うまく立ち上がれず、福助さんにしっかり支えられて立っていた。足が痺れていたのかしらと心配になったけど、あとはちゃんと歩いていたから大丈夫かな。
08100703yakko 「奴道成寺」
烏帽子をかぶって能装束の松緑さんは、目のくっきりした人形みたいだった。烏帽子が落ちたとき、どっと観客が沸いたのは、なぜ? 鬘まで落ちた?(そんなことないよね。よくわからなかった) 左近に戻った姿は粋で、ちらっとこちらを振り向くところなど、江戸っ子的色っぽさがあって、私は松緑さんのそういうところが好きだ。
踊りも面白く見ていたのだけど、食後でもあり、周囲からsleepyビームを受けてついに陥落。気がついたら花四天が登場するところだった。花道での「とう尽くし」は「歌舞伎座ご来場ありがとう」「朝はおなかかに直接届くヨーグルとう」「24時間便利なファミリーマーとう」(メモらなかったから正確じゃない)などなど。
所化さんで松也クン、裃後見で辰巳さん登場。最近、後見の仕事がどんなに大事か少しずつわかってきた。この後見は仕事が多くて、ロシア帰りの辰巳さん、疲れているのに大変だなあ。
ところで手拭撒きはあったのかしら。もしそれに気付かないほど寝ていたのだとしたら、これはちょっとヤバいcoldsweats02

08100704sogoro 「魚屋宗五郎」
菊五郎さんのしらふの時の悲しみに胸が痛んだ。そして酔っ払った菊五郎さんは、これまで見たどの宗五郎よりも怒りが強く迫力があって、怖いくらいだった。怒りと悲しみをためにためていたのだろう。酔いがさめて「おい、おはま、のどが渇いた。水をくれ」(正確ではない)と言うときの、おはまにちょっと甘えた感じの穏やかさ。それがまた悲しみを誘った。
玉三郎さんは初役なんだそうだ。違和感は全然ないし、こういう玉様も好きだけれど、おかみさんにしては動きが美しすぎるかなあという気もする。私の中で最高のおはまは、勘三郎さんとやったときの時様だ。玉様、宗五郎に吹っ飛ばされて、おみ足がかなり見えたのにはどきっとしました。
宗五郎はこれで5回目なので、見た直後は、面白かったけどもういいやと思っていたにもかかわらず、時間がたつにつれて後を引き、又見たくなってきたから不思議だ。
08100705fujimusume 「藤娘」
芝翫さんの傘寿記念舞踊。歌舞伎を見始めてすぐの頃、同じ芝翫さんの「藤娘」を最前列で見てかなり居眠りしてしまい、睨まれた(多分)という苦い記憶がある。その罪滅ぼしの意味も含めて、今日は3階席ではあったけれど、寝ずに見た。芝翫さん自身の言葉によれば、「あどけないもの、愛らしいものは、本当に小さいときか年を経てから演るのがいいと昔から言われている」そうで、確かに80歳の芝翫さんがとてもかわいらしく見える。手を大きく動かすと若く見えるとのことで、これも確かに手を大きく動かしていた。何回かの衣裳替え、藤の枝をもっての踊りは体力を使いそうだったが、お元気で何より。
<上演時間>「重の井」65分、幕間35分、「奴道成寺」45分、幕間20分、「宗五郎」75分、幕間15分、「藤娘」23

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コメント

おはようございます。 SwingingFujisan様も、10月の“歌舞伎”、スタート~ぉ、ですね。

私も、何故か配役表を見た段階では気付かなかったのですが、舞台を見て、「切ない母子」アゲイン(福助丈&小吉丈)だったのね~、と思いました。本当に、小吉丈には泣かされました。「我慢すること」を覚えてしまった三吉の姿が、とてもいじらしかったですね。あ、また涙腺が…。

「奴道成寺」では、手拭撒きはありませんでしたよ~。

「魚屋宗五郎」、何度見ても、それぞれの役者さんなりの「江戸前の雰囲気」があって、いいですよね~。私も、時蔵丈のおはま、大好きです♪

投稿: はなみずき | 2008年10月 7日 (火) 07時27分

はなみずき様
おはようございます。
smileはいっ、10月の歌舞伎ライフ、いよいよ<スターとう>です。
三吉一家は、後に(何年後かはわかりませんが)一緒に暮らせるようになるとイヤホンで聞いたことを、今思い出しました。それで、ややほっとしたのでした。

手拭撒きなかったのですね。花四天と入れ替わりに引っ込んだ所化さんたちが懐に手を入れたように見えたので、ふと手拭撒きのことが頭に浮かんだわけです。まだヤバいことにはなっていないようでcoldsweats02ああ、よかった。

宗五郎は、おっしゃるとおり、それぞれの役者さんなりの「江戸前の雰囲気」がいいですね。私は菊五郎さんのこういう江戸っ子ぶり、大好きです。こういう芝居を見ていると、夫婦役のコンビネーションがどんなに大事かということがわかるような気がします(菊・玉コンビが悪いと言っているのではありませんよ。色々な夫婦で色々な味が楽しめるという意味です)。

投稿: SwingingFujisan | 2008年10月 7日 (火) 09時01分

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