歌舞伎座千穐楽2題:姫と傾城あるいは狐と獅子
10月26日 芸術祭十月大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)
もう今日しかない10月歌舞伎座。今月の歌舞伎座は昼も夜も1回きりになってしまった。貴重な時間だ。3階席を取ったとばかり思っていたら、1階席だった。幕があいてしばらくは客席がざわつくのが常なのに、「十種香」ではし~んとしていたし、「直侍」ではややざわつきがあったが、それでもいつもよりずっと静かで、ちょっとびっくりした。
「本朝廿四孝:十種香、狐火」
恥をしのんで正直に告白すると、Swing苦手演目十八番なんてものがあったら、「船弁慶」とともにエントリーされかねないのが「十種香」である
面白いと思うところはけっこうあるのに、時様で2度見て、2度とも睡魔にやられたから(国立では孝太郎さんの濡衣と愛之助さんの勝頼の道行のとき、ラブリンに睨まれたかも
ごめんなさい)。三度目の正直の今回もちょっと危なかった。菊之助さんも玉三郎さんも福助さんもみんな美しく(玉様の八重垣姫はあんまり綺麗でため息が出た)、一幅の絵を見ているよう、美しい音楽を聴いているよう。だからしてα波が刺激されるのかもしれない。
勝頼(菊之助)っていうのは階段に片足おろした姿勢でじっとしていなくちゃならず大変だなあと前回の橋之助さんで心配したような記憶があるが、菊ちゃんは黒衣さんが用意した台に腰を下ろしていた(橋之助さんもそうだったのかしら)。黒衣さんはずっとその台を支えていなくてはならず、こちらも大変そう。なんて、芝居には関係ないこと考えていた。
好きなのは、最初に八重垣姫と濡衣(字面で見ると美しいけれど、何て名前なの、といつも思う)の部屋の障子がシースルーになって中の様子を見せてくれるところ。映画のコマ割りみたいで、うまく見せるなあと思う。
姫に勝頼との仲立ちを頼まれた濡衣が、まあなんて積極的なお姫さまなんでしょ、と呆れるところは、思わずニヤリ
としてしまった。だって、玉様の姫は、そういうところがとてもとても可愛らしいんだもの、しょうがねぇなあという気持ちになってしまう。勝頼に何とか危機を知らせなくっちゃという必死さだって、とても深窓のお姫さま的ではないし(玉様、きれい~)。姫の迫力に、頑張れ、早く飛んで行けとこちらも力が入った。
「狐火」は「耳で観る歌舞伎」(今回はイヤホン借りていない)に人形振りで演じられると書いてあったけど、そうではなかった。人魂と狐(人形遣い:尾上右近)が飛び回る幻想的な奥庭に美しい玉様が現れると、異次元が出現したみたい。郎党との立回りが楽しめました。
「英執着獅子」
先月、時様のお獅子を見たばかりだから、敢えて獅子ものとして括り、また敢えて一言で比較すると、時様は古風で端正な艶やかさ、福助さんはモダンな艶やかさと言おうか。
傾城は、蝶が飛び交う中、艶やかに舞う。差し金の蝶を扱うのは芝のぶさんと福太郎さん。芝のぶさん、子供みたいで可愛らしい。後見の仕事は実に大変だなあと最近よく思う。小道具の受け渡し(扇を2枚合わせた獅子頭ってよく考えられているものだといつも感心する)、引き抜き(見ている限りではこれが一番大変そう)、そして差し金。
傾城が姿を消した後、胡蝶は出てこずに演奏だけで獅子の精を待つ。この演奏がよくて、十分楽しめた。
獅子と力者との絡みはメリハリがあり、5人のバランスがとてもよかった。
福助さんの毛振り、嬉しいけどいったいいつまで続くんだ、福助さん大丈夫か、って心配しだしてもまだ続いた。毎日こんな? 千穐楽特別バージョン? 拍手も最初からずっと鳴り止まない。毛振りの間じゅう、私も拍手を送り続ける。やっと終わったときにはさらなる大きな拍手。演奏も盛り上がるだけ盛り上がって
うん、面白かった(きびだんご様によると、千穐楽特別バージョンらしかったです)。
「直侍」が終わった後、席を立つ人が多くて、前のほうは空席が目立ってしまった。楽しめた踊りだけにとても残念
もったいないです。
芝翫さ~ん![]()
<上演時間>「本朝廿四孝」85分(16:30~17:55)、幕間35分、「直侍」68分(18:30~19:38)、幕間15分、「英執着獅子」31分(19:53~20:24)
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コメント
ご紹介ありがとうございます。・・・が、私の方は「隣のじいちゃんレポ」が主なので、照れちゃいますワ
「直侍」で帰る人が多かったのには、ほんとビックリしました。1等の前方、花道近くも、かなり空席になっちゃって、勿体ないなぁ、と(ケチな私にはとてもできない)。それに「直侍」で帰るのと獅子で帰るのとでは、心持ちが違う気がするんですけどね。
来月もまた、歌舞伎(などなど)に通わなくっちゃ。元気に働かなくっちゃ!
投稿: きびだんご | 2008年10月27日 (月) 20時22分
きびだんご様

勝手にご紹介してすみません
でも、「隣のじいちゃんレポ」楽しかったですよ~。そういうじいちゃんがいらっしゃると思うと、こちとらまだまだガキみてえなもんでぇ、負けちゃいらんねぇ(直侍が抜けない)、と元気が出ます。
きびだんご様ご同様、私も来月も歌舞伎座などなどに通わなくっちゃ、元気に働かなくっちゃ、です
途中でお帰りになる方はそれなりに事情がおありなんでしょうが、やっぱりもったいないですよね。それにホント、心持が違います。
投稿: SwingingFujisan | 2008年10月27日 (月) 21時24分
やはり予想通り千穐楽夜の部にいらしていたんです(^^ゞ。まあ、今月はまだ歌舞伎座夜の部をご覧になっていなかったようなので、当然ですね。
私も何故か『直侍』からは一階席前方で観劇していました(^_^;)。相当ニアミスです。
福助さんの『英執着獅子』の毛振りは、完全に千穐楽ヴァージョンです。半ばに観た時も多く振っていましたが、昨日は数え切れませんでした。本当にいつまで続くのかと観ている方が心配になりましたよ。お囃子さんが福助さんの振りにあわせて必死に鼓や太鼓をうっていたのが印象的でした。
投稿: 六条亭 | 2008年10月27日 (月) 22時27分
六条亭様
1回ずつしか見られなかった歌舞伎座ですが、満足しました。
ありがとうございます。
はい、歌舞伎座千穐楽が2度目のニアミスでした。しかもお席がかなり近かったとは
福助さん、千穐楽でサービスしてくださったのですね。嬉しいことです。お囃子さんも頑張っていましたねぇ。あまりの盛り上がりに、客席と舞台が一つになったような感じがしました
投稿: SwingingFujisan | 2008年10月27日 (月) 22時43分