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2008年10月11日 (土)

仮名手本忠臣蔵Bプロ鑑賞篇

109日 仮名手本忠臣蔵Bプロ
劇場篇で書くのを忘れたけれど、ここは外の音がよく聞こえてくる。境内のスピーカーから流れるアナウンスだったり、ヘリのエンジン音だったり、花やしきの喚声(?)だったり。いい場面でそういう邪魔が入るとドキドキしてしまうが、それもこういう小屋の雰囲気の一つだろうか。以下、ミーハー的感想を。
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五段目・六段目>
勘平(勘三郎)と千崎弥五郎(勘太郎)の出会いがとても感動的だった。2人のやりとりを聞いているだけで、勘平の苦しい胸の内、千崎の友人を思う気持ちがひしひしと伝わってきて、熱いものがこみ上げてきた。とくに勘太郎クンの千崎の心情が私にはとても新鮮に感じられた。この場面でこんなに感動したのは初めてかもしれない。
斧定九郎(橋之助)の悪事は、正面から見たほうがよかったかもしれない。橋之助さんの大きな演技も、近すぎるとあまりピンとこないし、第一定九郎の美しさが、横からではあまりわからない。好きな場面だけに残念(ゼイタク言っちゃいけませんね)。定九郎って、くすぐったがり屋には絶対できないな、といつも思う。勘平が猪と思って足にひもをかけ、引っ張るけどなんか変だ、っていうので足を手で探るでしょう。私だったら、このとき絶対からだがぴくっぴくって動いて笑ってしまう。大のくすぐったがりなんですもの。あ、つまらんことを申しました。
勘三郎さんは勘平を丁寧に演じていて、愛敬を封印した崩さない演技が緊迫感をもたらし、涙を誘われた。財布を見てがたがた震えだすところなど、ああ大変なことをしたという気持ちがよく表れていて、事情を知っているこちらまで胸が痛くなった。これまでに何人かの勘平を見てきたが、人間の弱さ、脆さ、そしてみっともなさを一番感じたのは、この勘三郎さんかもしれない。
重苦しい空気にちょっと風穴をあけてくれるのが判人源六(亀蔵)。イヤなヤツだけど、どことなく憎めない。小三郎(元・仲二朗)さんのおかやは、女方の姿としてちょっと苦しいのではないかしら。とくに立ち姿が…。心根はよくつかんでいると思うし、けっこう泣かされただけに、残念。
ここでも、千崎は若者らしい潔癖さと熱い友情を感じさせ、いいなあと思った。不破数右衛門(彌十郎)も大きさがあってよかった。でもさ、勘平が腹に刀を突き立てちゃってから「勘平、早まった」って悔やむなら、最初から責めたりしないで、もっと早く気付いてあげてよ。って言ったら物語にならないか。
血判状、勘平の前には小野寺十内の名前が書かれていた。

<七段目>
仁左様の大星は、私のもつ大星あるいは大石のイメージをがらっと変えてくれた。私がこれまで見てきた大星(大石)は、どっちかというとねばっこ系の役者さん。仁左様のようにきっぱりとした大星は初めてだ。斧九太夫(山左衛門)に「よくもタコを食べさせてくれたな」と怒りをぶつけるところなんか怖いくらいだった。だけどその一方ではんなりした味わいもあるから不思議だ。仁左様が舞台に出てくると別格な感じがする。
おかる(孝太郎)と平右衛門(橋之助)の場面は、とにかく橋之助さんの声が大きすぎて、また孝太郎さんの声もきんきん響いて、正直なところ疲れた。2人とも最初から最後までずっとテンションが高かったような気さえした。もっともこれまた、小さい劇場の至近距離だからという、ゼイタクな不満かもしれない。ただ、平右衛門がおかるに切りつけてからのやりとりは、何となくジャレ合っているような気もしないではなかった。
おかるが両親に宛てて手紙を書くのを見て、先月の「加賀見山」の尾上を思い出したが、やっぱりあの場面の時様の筆運びはとてもリアルだったと改めて思った。ちなみに、双眼鏡で覗いたら、巻紙にはちゃんと文字が書かれていた。
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十一段目>
討ち入り。小林平八郎(勘太郎)と竹森喜多八(七之助)の激しい立ち回りが見事。スピードとキレがあって、兄弟の息がぴったり。私の席からは七之助クンの顔のほうがよく見えたのだが、勘太郎クンかと見紛うほどの男っぽさでした。
ここで、もう一度仁左様の大星が見られたのが嬉しい。1人の役者がこんなに舞台を締めるものかと驚く。高師直は顔がよく見えなかったため、松之助さんだったとは気付かなかった。
四十七士が引き揚げるとき、馬に乗って勘三郎さんがやってくる。「松浦の太鼓」の殿様を思い出したが、ここは松浦侯ではなくて服部逸郎。義士たちを見送る姿に情があって、心温まった。
「仮名手本忠臣蔵」という作品は特別好きなわけではないけれど、よく出来た物語で、見れば面白いと思うし、繰り返し上演されるのもわかる気がする。それに、こんなに近くで見たせいかしら、この演目の良さを身近に感じたかな。
<上演時間>五・六段目105分(16:45~18:30)、幕間20分、七段目96分(18:50~20:26)、幕間15分、十一段目23分(20:41~21:04)

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