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2008年10月31日 (金)

フェルメールにハートを摑まれた

1030日 フェルメール展:炎の天才画家とデルフトの巨匠たち(東京都美術館)
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会期後半の木曜日、絶対すいているだろうと確信して行った。しかも上野駅でチケットに並んだときに、大光琳展を買っていく人が多かったから、ちょっと甘く見た。でも、予定の午前に出られず、午後になってしまったせいか、入り口で並ぶことはなかったけれど、やっぱりそこそこ混んでいました(ところどころ列が
45重にもなる。でもちょっと時間をかければ前に入っていける。といってじっくりは見られない。おまけにフェルメールの作品だけは、壁の反対側や作品の並びに、絵を分割して「ここがこうです」というように見方を解説したものが用意されていて、そこも大混雑。通路の両側が混むからちょっと疲れた)。
この展覧会ではフェルメールの作品が7点も公開されている。「マルタとマリアの家のキリスト」「ディアナとニンフたち」「小路」「ワイングラスを持つ娘」「リュートを調弦する女」「ヴァージナルの前に座る若い女」「手紙を書く婦人と召使い」。本来は「絵画芸術」も来るはずだったが、作品保護のため持ち出し禁止になったとのこと、残念至極。「手紙」は特別出品だそうです。

フェルメールの絵を見てると、想像力を掻き立てられる。ワイングラスをもつ娘はどんな状況にあってどんな心境でいるのか、手紙を書く婦人は誰に何を書いているのか、召使いはそれをどんな心持で待っているのだろうか、リュートを調弦する女は窓の外の何に気を取られているのだろう。そんなふうに考えると、絵のそばを離れたくなくなる。
そんな中で、私がとくにグッと心をつかまれた作品が2点ある。それは「小路」「リュートを調弦する女」

「小路」は自分がこの時代(17世紀半ば)のデルフトの町に入り込んでいるような錯覚さえ起こさせる。どれだけ眺めていても飽きない。他の絵に行っても、ついついここへ戻ってきてしまう。穏やかな日常生活に懐かしさのようなものを覚え、石畳の道を、レンガの建物を、白い漆喰を、働く女性を、遊ぶ子供たちを、空を覆う白い雲を、じっと眺めていると涙が湧いてくる。ああ、この絵がたまらなく好きだ。
「リュートを調弦する女」はなんだろう、よくわからないが、一目見た瞬間、はっと惹きつけられるものがあった。女性の生き生きとした表情、壁にかけられた地図、床に打ち捨てられた本(「手紙を書く婦人と召使い」でも床に書き損じの手紙だか何かが打ち捨てられてあり、それがこの絵をとても魅力的なものにしている。「手紙」の絵も大好きです)、そのすべてがこの女性のドラマを想像させるのだ。光の入り方がやわらかく、巧みな影の扱いによってこの女性が引き立って見える。思わずふっと目がいってしまう。
フェルメールは、昨年国立新美術館で見た「牛乳を注ぐ女」、そしてルーヴルの「レースを編む女」を合わせると、これで9点を見たことになる。今回7点も一挙に展示されたのはとてもありがたいけれど、私みたいに俗なるフェルメール信者は、フェルメールにはもっと苦労して会いに行かなくちゃ、なんてひねくれてもみるcoldsweats02 いやいや、今回の展覧会がなければ、「小路」にも「リュート」にも到底会えなかったと思うから、やっぱりありがたいです。幸せですhappy01
しかし、私はつくづく平均的な日本人だと思うよbleah

さて、この後、フェルメールの半券で割引になるという「菌類のふしぎ」展に行こうかと思ったのだが、デザートに菌はちょっとなあ、というので、前から気になっていた「線の巨匠たち」展に足をのばすことにした。続く。

フェルメール展については、Tak様の「弐代目・青い日記帳」に詳しい解説が載っています。写真も綺麗ですので、そちらをごらんください。私は買ってきた絵葉書をスキャナで取り込んでみたけれど、色合いが違ってダメでした。

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コメント

私も展示スペースに少し不満はありますが、日本にいながらにして、一度に7点も見られるのだから、すごいことですよねぇ。
私はどうやら合計10点を見たことになると思うのですが(ウィーンとドレスデン)、次は絶対ハーグ、という気持ちになってますdash しかし、いつのことやら。・・・待ってれば、まだまだ日本に来るかしらcoldsweats01

投稿: きびだんご | 2008年10月31日 (金) 23時10分

きびだんご様
きびだんご様の感じられた不満が、行ってみてわかるように思いました。あと、照明のせいで画面が変に光って見づらかったりするなあ、と時々不満を覚えます。
10点ごらんになられたのですか!! くくくぅ…1コ負けたsmile(張り合ってどうする!)
私もハーグで真珠の耳飾の少女に会うのが夢です。日本で出会えればそれも嬉しいのですが、やっぱりこの少女にだけは現地で会いたい。う~ん、ほんと、いつになるやらcoldsweats02

投稿: SwingingFujisan | 2008年10月31日 (金) 23時48分

今頃コメントする私をお許しあれm(_ _)m

フェルメール展、私も同じ日に行きました。11時半くらいについたと思うのですが、30分以上待ちました(ρ_;)
最初に彼を知ったのは、多分東大の英語のテキスト(笑)。「恋文」でした。今回この作品が見られなかったのはちょっと残念ですが、「手紙を書く婦人と召使い」のところに比較解説されていましたよね。

私も生で見たのは9点かなぁ(^-^)のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2008年11月16日 (日) 13時47分

からつぎ様
こちらへもコメントをいただき、ありがとうございます。
同じ日でも午前は並ばれたんですねえ(30分とはshock)。たまたま午後になってしまったけれど、かえってよかったsmile
「恋文」は2度日本に来ているようですから、今回はやっぱりちょっとムリだったのでしょうかしら。
で、私、ふと思い出しました。「恋文」は2000年に日本で公開されたとき見たような気がする、って。またルーヴルで「天文学者」も見ていたって。となると、2点プラスされて11点になりましたscissors だけど何点見ようと、こうやって忘れちゃっていてはしょうがありませんね。
ありがとうございます、からつぎ様のおかげで記憶が甦りましたhappy01 
からつぎ様は東大OGでいらっしゃるんですか。

投稿: SwingingFujisan | 2008年11月16日 (日) 21時21分

SwingingFujisan様

時期はずれのコメントへのレス、ありがとうございますm(_ _)m

そうですか、日本へ2度も来ているのですか>「恋文」。ってことは、私も見ているのかもしれません(^_^; ルーブルへ行った時は多分まだ彼のことを知らなかったと思うので、残念ながら「天文学者」は見ていないだろうなぁ。

あ、わたくし東大OGではございません。テキストの筆者(編者?)がとても好きな翻訳家でかつ東大の先生でいらしたので興味をもって買ってみたのです。誤解を招く書き方で大変失礼いたしましたm(_ _)m

ルーブル展のペアチケットを買っておこうと思っているからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2008年11月17日 (月) 08時01分

からつぎ様
いえいえ、とんでもございません。こちらこそ、前の記事へもコメントをいただき、嬉しく存じます。
「恋文」は2000年に東京、2005年に兵庫で公開されたようです。
今回一挙に7点も公開されたのは画期的なことですよね。ああ、でもやっぱりハーグが憧れですconfident
東大のこと、こちらこそ失礼いたしましたcoldsweats02
今度、ぜひルーヴルDNPにもいらっしゃってみてくださいませ。予約が必要ですが、おススメの美術館です。

投稿: SwingingFujisan | 2008年11月17日 (月) 08時23分

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