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2008年10月31日 (金)

素描に目を開かれる

1030日 線の巨匠たち:アムステルダム歴史博物館所蔵の版画・素描展(東京藝術大学美術館)
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私は、素描というものがどういうものかよくわかっていなかった。油絵などの下描きのようなものかという印象があった。たしかに下描きでもあったらしいが、オランダでは販売や贈呈用に描かれたものもたくさんあるそうで、そういう作品は細部まで細かく丁寧に描かれており、「へえ~、これが素描なのぉ」と驚かされる。また素描は工房において型見本になったり、若い芸術家たちの訓練に使われたりもしたという。それらは芸術的に高い位置づけを得て、コレクションの対象となっていったのだそうだ。

08103103dessin 私がまず気に入ったのは、最初に展示されている「目を閉じる女性」(フランチェスコ・サルヴィアーティ、1540年)。黒チョークで紙に描かれただけの作品なんだけど、これがとっても魅力的なの。口元にちょっと笑みを浮かべ、うつむき加減に目を閉じているにもかかわらず表情が生き生きしていて、肌の質感も伝わってくる感じ。いきなり素描の世界に引き込まれました。
ヘラクレスの彫像を背後から描き、エングレーヴィングの細かい線によって筋肉の盛り上がり、浮き出た血管が躍動的に表されている「ファルネーゼのヘラクレス」(ヘンドリック・ホルウツィウス)、題名どおり、まるで人物が浮き彫りになっているかのような立体感をもった「古代レリーフ『ニオベの娘たちの死』の模写」(ヤン・デ・ビスホップ)などなど、素晴らしい作品は数え上げればキリがない。
作品の質などと関係なく興味深かったのはジャック・デ・ヘイン2世の「ヒューホー・デ・フロート15歳の肖像」。ヒューホー・デ・フロート、すなわちグロティウスだと知って、見入った。大人びた才気煥発な顔つきの中にどことなく少年らしさも感じられる。
風景画もとてもよくて、知らない画家ばかりでも十分見ごたえがあったが、有名どころとして、レンブラント、ルーベンス、アングルの作品を見られたのは、ミーハーとしてはちょっとホッとするものがあったのでした。こちらの展覧会はフェルメールと違って、作品の間近でじっくり鑑賞できる程度に人が入っていた。静かに楽しめる分、お得かも。
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「木々のある風景」(パーレント・コルネリス・クッククック)色合いが本物とはちょっと違います。にしても、クッククックってthink

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コメント

>にしても、クッククックって…

幸せぇ、運ぶぅ、青いと~り~♪(笑)

実際には色がありませんのに、陰影や奥行きが豊かに感じられるんですね~。より想像力を働かせて立体的に見えるのでしょうか。素敵ですね。

投稿: はなみずき | 2008年10月31日 (金) 06時57分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
言葉の違いによる人名の面白さ、悪いなと思いつつ笑ってしまいました。でも、幸せを運ぶんだから、いいか…ってcoldsweats01 ちなみにクッククックという人はオランダのロマン主義風景画家として重要な位置にあり、「風景画の王子」sign03とも言われているんですって。期せずして、今流行の「王子」ですよsmile これで又笑ってしまいました。

素描の中には淡い水彩画もあって、この絵も少し色がついています(写真じゃよくわからないですねcoldsweats02 でも上の絵のように色がなくても、見る人それぞれが色を思い浮かべられるんですよね。ええ、想像力が大いに働きます。

投稿: SwingingFujisan | 2008年10月31日 (金) 08時25分

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