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2008年10月27日 (月)

直侍の色っぽさ

1026日 芸術祭十月大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)その2

08102705nao 「雪暮夜入谷畦道」(直侍)
もう~、これは菊五郎さんの色っぽさにぞくっときました。アウトローの匂いを漂わせながら雪の畦道をそろりそろりと歩きながら(これがイキなのよ)蕎麦屋にやってくる間、あまりの色気に胸をぐっと鷲摑みにされたようで、ドキドキドキドキheart01してしまった。それだけでなく、頭に被った手拭いの扱い、ばっと傘を開いたりまわしたり、粋で素敵すぎるshine
蕎麦屋の光景は当時の江戸情緒が感じられて、とても好きだ。味は二流だが盛りのいい蕎麦を食べさせる(って、あんまの丈賀が嬉しそうに言っていた)地道な老夫婦の姿を見ていると、心が温かくなる。権一さんと徳松さんがさもありなんな感じで、「蕎麦屋さん、明日もよろしくね」と応援したくなるの。
そんな蕎麦屋で一息つく菊五郎さんの表情がまたいいんだわ。鋭い目つきが一瞬なごんだりして、束の間の穏やかさにほっとするお尋ね者、きゅんheart04ときてしまう。しかし当時の人って本当に、あんな雪の中でも裾をからげて裸足で下駄はいていたのかしら。それじゃあ股火鉢もしたくなるわ、火鉢の上で足の裏暖めたくなるわ。
蕎麦の食べ方は、国立の染五郎さんのほうがインパクトあったかな(染五郎さん自身もかなり意識していたような気がする)。ここでは、追手らしき2人(菊十郎、松太郎。菊十郎さんの渋さにはいつもながらシビれます)、直次郎、丈賀の4人が蕎麦を食べるのだが、こっちは食後だというのに食欲中枢がむずむずし出した。
ところで丈賀って、こんないい人なんだっけ。国立で見たときの印象とはちょっと違うeye 田之助さんの丈賀は、情が滲み出て、暖かく、直次郎ならずとも「気をつけて行けよ」と何度も声をかけたくなる。そういう直次郎もただの小悪党なら鼻つまみ者なのに、こういうところ人柄があらわれて、またたまらない気持ちにさせられる。
丈賀と別れたあとの直次郎、ああ、なぜ丑松と出会ってしまったのだろう(アウトローの宿命ね)weep 團蔵さんの丑松からは直次郎を裏切ることへの迷いがよく感じ取れた。雪があんなに降っていなかったら、まっすぐ落ち延びていったのだろうか。だとすると、この物語で雪は一番大きな役割を果たしたことになる。ちなみに、先代松緑さんの「暗闇の丑松」(歌舞伎チャンネルで見たんだけど)、あの昏い目が忘れられない。
菊ちゃんの三千歳、直次郎をどんなに待ち焦がれていたかが手に取るようにわかった(会えなくなってからたった20日しか経っていないのだって。気やまいになったっていうから、何カ月もたったのかと思っていた)。襖を開けるのももどかしく駆け寄る様、直次郎を見る目、いとおしそうに髪を直してあげる手、すべてに愛が溢れていた。化粧のせいか、いつもの白百合のような菊ちゃんとは違ってちょっと赤い色が入った感じで、富司純子さんにお顔がとても似ているような気がした。以前、勘太郎さんだか七之助さんが、親子で恋人どうしを演じるのはテレてやりづらいと言っていたが、この親子はどうなんだろう、菊五郎さんは奥さまのお顔に重なったりはしないのかしら、なんてミーハーおばさんは下世話なことを考えていたのでしたcoldsweats01
いいお芝居を見たものです。
おまけ:幕間に売店そばの椅子でお弁当を広げていたら、目の前を富司純子さんが通ったscissors お綺麗で羨ましいです。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こちらにも、失礼いたしま~す。

七代目さんの直侍、サイコーでしたよねheart04。頭の先から爪先まで、江戸の「粋」が溢れていました。三千歳が、悪いと知っていながら惚れてしまうのが分かる直侍でしたし、また、「分かれなくては」と思いながらも逢いにいきたくなる三千歳さんでした~。

「歌舞伎モバイル」の七代目さんのインタビューで、「受け止めてくれる時期」…というようなことをおっしゃっていたような。親子共演、本当に、ステキでした!

投稿: はなみずき | 2008年10月29日 (水) 19時24分

はじめまして!
いつも興味深く、拝読しております。

確かに菊之助さんの女形はお母様に
そっくりと思いました。今回は昼の部を
2回観劇いたしましたがそのたびにそう感じました。親子のDNAはしっかり受け継がれているようです!
勘太郎さんのお声も勘三郎さんに
そっくりと思うこともよくあります。

お蕎麦屋さんの雰囲気もとても素敵でした。毎日通いたくなるような人情味あふれるご主人とおかみさん…
お蕎麦を食べる菊五郎さんに
うまそう!と声がかかった日がありました。納得!

10月もあっという間に過ぎ、役者さんたちは次のお芝居の稽古に入られてい
ます。11月も楽しみます!

投稿: 弥生 | 2008年10月29日 (水) 20時52分

はなみずき様
こちらにもありがとうございます。
ワルでいながらやさしい心ももった直侍、若々しくて、粋で色っぽくて。菊五郎さんにしか出せない味だと思いました。

歌舞伎モバイルのインタビュー、遅ればせながら読んでみました。菊之助さんの越えなければならない山はとても高いけれど、音羽屋さんは今後も間違いなく繁栄が続くでしょうね。菊五郎さんご自身も父親として、役者として、それを確信していらっしゃるように感じました。素敵なことですよね、それってshine

投稿: SwingingFujisan | 2008年10月29日 (水) 22時06分

弥生様
はじめまして。ありがとうございます。
歌舞伎役者さんって、不思議と親子が似ていらっしゃいますよね。菊之助さんはいつもはお父様に似ていらっしゃる(若いころの菊五郎さんと同じお顔に見えることがあります)と思うのに、今回はお母様にそっくり。お2人のいいところを受け継がれたんだなあと微笑ましい気持ちになりました。
勘太郎さんの声はどんどん勘三郎さんに近くなっていますよねhappy01 特徴あるお声だけに、時々はっとするほどです。

お蕎麦は、国立で染五郎さんが直侍をなさったときは噛まないで飲むようにしていた記憶があります。菊五郎さんは噛んでいらしたんですね。お蕎麦の食べ方ひとつにも、それぞれの役者さんの考え方、気配りが現れているのだなあと感心しました。「うまそう!!」の声、私も心の中でかけましたwink

今週土曜日は歌舞伎座も演舞場も初日ですね。あと3つ寝ればいいだけだわという気持ちと、まだ三晩も寝なくてはならないのかという気持ちと…

投稿: SwingingFujisan | 2008年10月29日 (水) 22時22分

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