« 法界坊NYバージョン、その1 | トップページ | 浅草は歌舞伎の町3 »

2008年11月 8日 (土)

法界坊NYバージョン、その2

法界坊は愛敬かグロか
勘三郎さんの法界坊は、やっぱり愛敬がある。先代は愛敬の勝った法界坊だったらしいが、当代はグロテスクさを出すようにしていると言う。でも、どうやら、私は勘三郎さんの体つきに愛敬を感じてしまうようなのだcoldsweats01 とくにああいうボロっちい衣裳だと、余計そう感じる。それに、思い返してみればたしかに殺しの場面などでは動き方が変わっていたかもしれないが、序幕の剽軽な動きが私の中に残像現象として蓄積していたのだろう。そういう意味で、私が切り替えができなかったということなのかもしれない。「夏祭」ほどのどろどろ感も覚えなかった。
法界坊の英語
序幕途中から、英語のセリフが入り始めた。橋之助さんいじりも英語でやっていた。私の英語力をもってしても、冗談coldsweats01、もとい、私の英語力ではごくごく簡単なセリフしか聞き取れなかったcoldsweats02のだけど、外国人客の反応はどうだったのだろう。2階最後列からはそのへんの空気がわからなかった。
でも、勘三郎さんが客いじりをした時は間違いなくウケていたと思うよ。お客の1人にどこから来たの?と訊いて、ケニアと知ると、「わ~遠いねぇ」(これ、もちろん、英会話ね)。そうそう、要助がお組に宛てて書いたラブレターを法界坊がみんなに見せてまわる場面、勘三郎さんは、客席にまで見せに行く(ここ、ちょっとクドいかな)。でも外国人のお客さんは日本語で書かれた上書きがわからない。そこで…勘三郎さんがひょいとそれを剥がしてみせる、すると英語で書かれた上書きがsmile
法界坊が穴を掘る場面は、喜劇定番的なお楽しみがある。穴から出てきたしゃれこうべを見た勘三郎さん、「お~、ポール・ヨーリック」と言ったように聞こえたが、それ誰? 後で筋書き見たら、勘三郎さんが英語の特訓を受けたアメリカの俳優さんだということだった(そういえば、TVの密着番組か何かで聞いた名前だった)。そんな恩師のしゃれこうべでgolfカップインしちゃっていいのぉsign02
盛り上がった大喜利
これは見ごたえあった。今回は宙乗りなし。女船頭、松若の追っ手も出てこない。立ち回りはお組に姿を変えた法界坊×野分姫の霊(既にご覧の方はご存知、ここで声の仕掛けがある)と花四天との間で行われる。勘三郎さん、きれ~い。ニセお組が本性を現すと、板描きの隅田川の背景が3つに分かれ、そのうちの1枚に勘三郎さんが乗り、大立ち回り。そのうち橋之助さんもそれに乗って、2人で立ち回り。さすがにこのときは10人で持ち上げていたけど、それでも重そうだった。
何本もの縄を絡ませて、板の上から勘三郎さんが飛び込むところでは、思わず「おお~っhappy02」と声が出た。あれって他の何かでも見たけれど、落ちたら大変だし、飛び込んだ人の体重による反動はそうとう大きいと思う。縄の仕組み、よくできているものだと感心する。花四天のトンボも実に見事。
舞台がまた素晴らしい。隅田川の背景が、分かれた3つだけでなく、次から次へと現れて、激しく降る桜吹雪と相俟って、戦いの激しさを美しく見せる。最後には舞台奥が開き、ピンクcherryblossomの花降る舞台を通して、暗くなった空に浮かぶ樹木の葉が見える。そして、桜吹雪は上からだけでなく、舞台両側からぶわ~っと放射される。ここでも思わず「おお~っhappy02」と声が出た。
最後の5分か10分かはカーテンコールを求める拍手までず~っと拍手鳴り止まず。隈を取った勘三郎さんが三段に乗った幕切れでは、なんと黒い蜘蛛の糸が飛んだshock  えっ、法界坊、蜘蛛になっちゃったの? そんなバカな。蜘蛛の糸は、法界坊の心を表すもので、法界坊の体から出てきた、ってことなんだそうだ。だから黒い糸だったのね(白い糸のもあった)。ああ、その場ではヨミができなかったbearing

拍手鳴り止まぬカーテンコール
カーテンコールは3回。松席のお客さんたち、幕が開くと同時にスタンディングオベーション。これが、彼らの反応だ。私も立ち上がった。とにかく、拍手の嵐、嵐、嵐。
2
回目だったか3回目だったか、出演者が花道から通路を通ってお客さんとじかに接していた(握手したりもしていた)。そして、これも2回目か3回目のどちらか、常盤津や浄瑠璃、スタッフの方たちにも拍手を、という勘三郎さんの心遣いがみられた。そういえば、3回目に幕があいたとき、常盤津の方たちが慌てて台に戻った様子がちらっと見えた。ってことは、3回目は想定外ってことかな。
こういうシーンを見ると、やっぱり千穐楽も取っておくべきだったかなぁとちょっと残念に思われる。2カ月公演の最後だしね。しかし、10月と11月でまったく質の違う演目をぶつけた、というのは面白いし、さすがに観客の心をつかむのは勘三郎さん、うまいわ。
付記:「しめこのう~さうさ」他
①序幕第二場「八幡裏手の場」。闇の中で勘十郎殺しが行われる陰惨な場面でありながら、切られた足や手がひとりで動いたり、番頭正八と法界坊がそれぞれお組をかどわかしたと思い込んだりする滑稽な場面でもある。ここで忘れられないのは、今は亡き四郎五郎さんの道具屋。飄々とした味のある「しめこのう~さうさ」が思い出され、ちょっとしんみりした。今回の道具屋は小三郎さん。
正八、法界坊、道具屋の3人がそれぞれ「しめこのう~さうさ」と歌いながら花道を引っ込んでいくとき、トランペットの「アルプス1万尺」noteが流れてきた。なんと、顔を割られて死んだはずの勘十郎こと笹野高史さんだ。そういえば、笹野さん、トランペットが特技なんだよね。これにのっての3人の引っ込みは手拍子に送られてcoldsweats01 このトランペット演奏はNY版でなくてもあるのかしら。
②二幕目「三囲土手の場」で、彌十郎、勘太郎、扇雀、七之助の4人が揃って、客席通路から登場する場面がある。このとき、雷鳴が鳴り響いて、4人はわ~っと身を伏せるのだけど、なんかそのあたりがひどく盛り上がっているの。法界坊でも突然むくっと現れたのかしら…何があったんだかわからない私たちは立ち上がって前のめりに覗いてみたのだけど、結局わからずじまい。むむ、竹席を張り込めばよかったかなthink(時々、そう思うことがあったのよ)08110802hokaibo おまけ1 筋書きは1500円でした。忠臣蔵と同じ値段を覚悟していたので、嬉しい気がした。英語版の筋書きとして、4枚綴りの紙の裏表に印刷されたものが座席の上に置いてあった。これはちょっと面白い。
08110803hokaibo_2 おまけ2入り口で本日だけのサービスとして特製マグネット(日付入り)が配られた。こういうものをいただけると、とっても嬉しい。案外、毎日あったりしてcoldsweats01
おまけ3というか私的付記:実は前日、「明日は11時開演だから早寝しなくっちゃ」と思っていたのに、カレーもんじゃで帰宅した後色々やることがあり「まあ、法界坊だから居眠りすることはあるまい」と開き直ったところが、チケットを用意しながらふと見ると、なんと(多用しすぎ、なんと)夜の部じゃないのshock 今の今までず~っと昼の部だと思い込んでいた。というわけで、とたんにほっとして、翌朝(つまり当日朝)はちょっとゆっくりしてしまった。ために、朝のNHKで菊ちゃんも染五郎さんも見逃したぁweep

<上演時間>序幕・二幕目115分(16301825)、幕間30分、大喜利26

|

« 法界坊NYバージョン、その1 | トップページ | 浅草は歌舞伎の町3 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

突然お邪魔いたします。

その1、その2とても楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。

お礼といってはなんですが。。。
「4人はわ~っと身を伏せるのだけど、なんかそのあたりがひどく盛り上がっているの。」についてご説明いたします。
お組、つまり扇雀さんは竹11-11のお席の方の膝の上に身を伏せたのです。そしてそのお席には唐沢寿明さんがお座りだったのです。

NYバージョンがあまりに楽しかったので、帰って早速普通のもチケットをとったからつぎでしたm(_ _)m

投稿: からつぎ | 2008年11月10日 (月) 20時05分

からつぎ様
おいでくださいまして、またず~っと気になっていた謎の答えを教えてくださって、ありがとうございます!! 
唐沢さんがいらしていたとは、まったく気がつきませんでした(ミーハーおばさん、不覚をとりましたcoldsweats02)。
「法界坊」、もう一度ご覧になるのですね。ご帰宅後すぐにチケットをお取りになったお気持ち、よくわかります。本当に楽しかったですものね~ぇ。私も予定が詰まっていなかったらなぁ…

投稿: SwingingFujisan | 2008年11月10日 (月) 21時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 法界坊NYバージョン、その1 | トップページ | 浅草は歌舞伎の町3 »