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2008年11月15日 (土)

泣→惚:先代萩

1114日 花形歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
今週末は仕事仕事なので、手短に感想を。
「伽羅先代萩」
菊之助
さんの最初の一声がずんと響き、鶴千代君を守らんとする強い意志が全身に漲っているのが感じられた。乳母の風格も十分。千松に対する悲しみの爆発は、これまでの政岡の中で一番ストレートな気がした。毒で死ぬために生まれてきたような千松weepの哀れさとともに、政岡の身を切られるような苦しみ悲しみが我が事のように受け止められ、泣けた。ところで、梅幸さんの政岡は知らないけれど、時々お顔がおじいさまそっくりと思った。31歳、最年少の政岡初演を見られた幸せは、後々自慢していいと思う(→きびだんご様)。
ここからは、登場順に。
亀三郎さん(足利頼兼)、元々好きなんだけど、このお役にははまった。意外なやわらかさがあって、素敵な声量ももちろん抑えていて、その声がまた美しい。遊び人でいて強くて、ちょっとふらっとしたくなるお殿様でしたheart04
子役の2、とくに千松(この日は原口智照クンだったと思う。違ったらごめんなさい)が抜群の巧さ。声の調子を変えているのが見事だ。竹の間では鶴千代君とともに健気に大人に対峙し、御殿の場では空腹に耐えてちょっと震えるような悲しげな声。刺されて段々弱っていく「ああ、ああ」の声。この子、こんなにちっちゃいのに(本当に小さくていたいけで可愛いのwink)ちゃんと千松の心を摑んでいるsign03 鶴千代君(渡邊ひかるちゃん)は大人にヒケをとらない堂々たる若君ぶり。一本調子のセリフから突然「そんならお前行け(獄屋に)」(正確じゃない)と早口に変わるところ大好き。それからakiも書いていらしたけれど、「の~、んば」。これがだ~い好き。2人のいじらしさ健気さに、すぐ涙が出てしまう。しかし、下田澪奈ちゃんはもう見ることができないのだと思うと寂しい。
愛之助さん(八汐)を見ていると、ああここにも仁左様が、あそこにも仁左様がheart04 とくに頭を昂然と持ち上げ、体をそらし気味にするところは仁左様そのもの。八汐は客席を鶴千代側の気持ちに同化させるだけでなく、ここではまだ愛敬(何と言おうか、観客に笑われる愛敬のようなものでしょうか)も必要だと思うのよね。ラブリンは憎たらしさと、主君とはいえ子供にやりこめられるシャクな気持ちとで恐ろしく見えたが、愛敬もちゃんとあった。いずれにしても、ここの八汐は敵役としてお得な役じゃないかしら。

門之助さん(沖の井)は直球な感じで八汐との対峙は緊迫感があった。吉弥さん(松島)はすっきりした姿の中に清濁併せ呑む大きさを感じさせた。厳しいながらどこかにはんなりさがみられることと通じるのだろうか。
獅童ファンでもある私は、荒獅子男之助も素敵に見えた。「床下」では花道の海老ちゃんがよく見えなかった分、獅童さんをたっぷり見た。
松緑さん(細川勝元)、粋で愛敬もあってスッキリ明快でとてもいいと思うのに、ごめん、海老ちゃんのオーラが強すぎた。もっとも、いずれにしても、勝元は私の中では仁左様だ。
海老蔵さん(仁木弾正)lovely 今回も含めて私がこれまでに見た5回・4人の弾正のうちで一番魅力的だった。海老ちゃんという人は、明るい大らかな役もいいけれど(大らかさではおとうさんのほうが上だね)、こういう美しく昏い不気味さがたまらなく魅力的。ゆっくりゆっくりした花道の引っ込みは、私の席からは見づらかったのだけど、その間に海老蔵オーラがじわじわとこちらまで漂ってくるようで嬉しかった。対決の場で海老ちゃんが登場した瞬間、後ろの若い男性、思わず「かっこいい」と呟いていた。最期までワルを通す男のたまらない魅力ですなぁlovely
龍虎
な~んかなあ、という、ちょっとしまらない踊りだった。20分という短い時間に引き抜きが2回あったり、隈を入れたり取ったり(床に顔を伏せている間に何かしてるなあとは思ったけれど、顔を上げたら隈がなくなっていたのにはビックリ)、居所代わりがあったり、忙しいから何とか引き付けられていたという感じ。踊りそのものは2人(愛之助獅童)の息が合っているんだかないんだか、毛振りは美しくないし、さほどのものではなかったbearing でも獅童さん、やっぱりかっこいい(海老反りできるんだぁ~ってことだけで、踊りには触れないでおこう)。
ま、ここで一番よかったのは竹本かな。龍虎の世界の雰囲気がどっぷり味わえた。
夜の部は見る前に、もう一度見たくなることを予測して、3階席をとっておいた。正解scissors でも、演舞場昼夜2回ずつのおかげで、歌舞伎座をもう1回ずつ入れるのがチョーきびしいwobbly
以上、手短で長い感想でしたcoldsweats01

<上演時間>「先代萩」序幕・二幕目78分(16001718)、幕間25分、三幕目64分(17431847)、幕間25分、四幕目・大詰68分(19122020)、幕間10分、「龍虎」20分(20302050

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コメント

SwingingFujisan様の先代萩のご感想をお伺いでき、私も舞台を思い出し、泣けてきました~。私も、菊之助丈31歳での政岡初役の舞台、自慢するオババの一人に加えてくださいませ~。

演舞場を昼夜2回ずつ取られているSwingingfujisan様、大正解でございますね~。私は…予定や予算に悩んでます…。観たいよぉ~っ!(すいません、心の叫びを、つい…。)

投稿: はなみずき | 2008年11月15日 (土) 19時32分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
ありがたいことに、31歳菊之助さんの政岡を見る機会を得たんですもの、ご一緒に自慢しちゃいましょうねsmile
今、こうしてこの舞台が見られる状況にあることを本当に感謝しますわ。
はなみずき様の心の叫びが叶いますよう。私は予定や予算を度外視した結果、きゅうきゅういっておりますcoldsweats02

投稿: SwingingFujisan | 2008年11月15日 (土) 21時15分

私も仕事仕事の日々が火曜あたりまで続きそうです。劇場通いのためには仕事も・・・お互い、頑張りましょうscissors
でもでも合間を縫って今日は演舞場・昼の部へ。最前列センターというビックリするような席で、特に海老蔵さんにlovelylovelyメロメロなオバ3人組となりはてておりました(だって客席通路を歩いて、我々の目の前で止まるんだもーんconfident)。
私も菊ちゃん政岡をもう一度見たい、と思うものの、もはや行ける日がありません

投稿: きびだんご | 2008年11月16日 (日) 23時15分

きびだんご様
いいな、いいないいなsign03 目の前で海老ちゃんがshineなんて、いいな。そりゃあlovelylovelylovelyになっちゃいますよね~え。
よかったですねぇ。羨ましいけれど、きびだんご様の嬉しそうなご様子が目に浮かび、自分のことのように嬉しくなっちゃいましたhappy01
私も仕事の合間を縫って、明日2度目の演舞場昼を見に行きま~す(逆ですね、芝居の合間を縫って仕事をしている)smile でも3階席だから、海老ちゃんの通路歩きは指を咥えて上から眺めていますわ。
海老ちゃんパワーをもらって、またお仕事頑張れますね。 

投稿: SwingingFujisan | 2008年11月16日 (日) 23時29分

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