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2008年12月23日 (火)

そこに人はいるのか?:「部屋履き」

1222日 「部屋履き」(ルーヴルDNP
ルーヴル-DNPミュージアムラボ第5はオランダ絵画「部屋履き」。作者はファン・ホーホストラーテン。レンブラントの最も優秀な弟子だったのだそうだ。
この絵は実に奇妙な感覚をもたらす。ひとつの部屋を扉の外側から、遠近法を用いて描いたもので、見えるのは3枚の扉の枠、廊下の一部、廊下の壁にかかる布巾と立てかけてある箒、一番外側の扉に掛かっている閂、内側の扉の中央よりやや上に掛けられている鍵、そして扉の幅の分だけ見える部屋の内部にはろうそくののったテーブル、椅子、壁に掛けられた絵画、そして一番内側の扉の前に脱ぎ捨てられた部屋履き。これだけである。
人物はどこにもいない。それがこの絵を見る者に不思議な感覚を与えるのだthink 私たちの視線eyeはすぐに部屋履きを捉えまっすぐに部屋に入るのか、床の市松模様に注目してそこからジグザグに進んでいくのか、そこに描かれたモノ目を留めて、閂→箒→鍵(これがかなり目立って描かれており、とても気になる)→ろうそく→画中画と移動していくのか。それは人によっても、またそのときの気分によっても違うだろう。また、部屋の見えない空間がどのようになっているのか、その想像もそれぞれ違うんだろう。
でも不思議な感覚に変わりはない。脱ぎ捨てられた部屋履きは何を意味するのか、なぜ人がいないのか。人はいるけれど、部屋の隅にいて見えないだけなのか。いや、この部屋からは人気配が感じられない。部屋履きを見れば、ついさっきまで誰かがいたような感じはするのだけれど…。
この絵画には真ん中の扉の両側に少女と犬が描かれていた時期があったそうだ。19世紀に、人物がいないことを不思議に思い、より馴染みやすいように誰かが描き入れたらしい。え~っ、17世紀に描かれた絵にそんな手を加えちゃっていいのぉsign02とびっくりした。ルーヴルがコレクションに加えた時にX線や赤外線などで調べて、犬と少女が元はなかったことがわかり、消されたとのことだ。
なんとも不思議な魅力をもったこの絵画に関する今回のコンテンツは「絵画の中に入る」「画家の技術を体験する」など6項目。本物の鑑賞とともに、体験あるいは視覚で色々楽しめる。
08122301pantoufles

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「画家の技術を体験する」コーナーで視線の動きを捉えた写真(自分でココと思うところを画像保存すると、こんな風に加工された写真をお土産にくれる)。
ところで、今回も含めて5回のミュージアムラボはそのどれもが面白い企画で優劣つけがたかったが、「タナグラ」が展示内容も展示方法もとくに優れていたと、突然そんな考えが突き上げてきた。

「風俗画」の意味を初めて知った。絵画には人物画、風景画、歴史画などのジャンルがあるが、そのどれにも当てはまらないものを風俗画というのだそうだ。この「部屋履き」も風俗画である。
ところで、来年2月28日から開催される「ルーヴル美術館展」で展示される作品の一覧を、ルーヴル-DNPでいち早く見ることができる。予備知識として仕込んでおくのもいいかもしれない。
フェルメールの「レースを編む女」が最大の目玉だろうけれど、その他にも
素晴らしい作品がたくさんあって、これは楽しみである。

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