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2009年1月16日 (金)

やっぱり初春は浅草歌舞伎・第1部

113日 浅草歌舞伎第1(浅草公会堂)
09011601part1TX浅草駅に着いたとたん、浅草の町に来た喜びと、「ああ、今年も浅草歌舞伎を見られる」という嬉しさとで、気持ちが浮き立ったnotes やっぱり正月は浅草よねえ(もう正月気分じゃないけど)。
通しで見たその第
1部。最初に言っておくと、12部、2つずつの演目、そのどれもが素晴らしい出来であった。
さて、開演前のイヤホンご挨拶は、もう既に始まっていた。開演前はいろいろ慌しくて、あんまりじっくり聞いていられない。
亀ちゃんは「昨日が今日になっただけ。正月、へってなもんです。意気込みなしということにしておきましょう」と、いかにもな感じbleah でも、「昨日が今日になっただけ」っていうのはわかる。わかるけど、やっぱり正月はちょっと違う、って思いたい。亀鶴さんは、去年年男だったのにいいことは一つもなかった、そうです。
幕間の「出演者がファンの質問に答えるコーナー」でもそうだったけど、勘太郎→七之助と渡すのね。そのとき勘太郎クン、必ず「次は中村七之助さんです。隆行さん、どうぞ」って言うのが可笑しくて。そういえば、亀治郎→勘太郎でも亀ちゃんが「次はなんとあの、勘太郎さんが登場します」と妙に強調していたが、勘太郎クンの熱愛報道が出たのはイヤホンの録音より後のことでしょう。あの「なんとあの」にはどんな意味があるの?
お年玉ご挨拶
この日は亀ちゃんでした。話の内容を大まかにご紹介します(記憶違いから、「そんなこと言ってないよ」という細部があったらごめんなさい)。
空席の目立つ当初から、継続は力なりで9年がたった。今年は獅童さんが「離党届」を出して(ここで場内大笑い)、愛之助さんは大阪に帰ってしまった。しかし松也さんが入り、その松也さんはフル出場、化粧や衣裳をとっかえひっかえしている。何年か前の自分がそうだった。
今回の「一條大蔵譚」は檜垣のかわりに曲舞(くせまい)を上演する。このことによって、一條と常盤の生き方がより明確になるのではないか。
浅草は12部合わせても歌舞伎座と同じ値段で見られる。それが浅草の魅力でもある。
演劇の「劇」は劇薬の「劇」。演劇は激しくなければならぬ。役者と観客、役者と役者の気のキャッチボールは映画・TVにはない醍醐味である(これ、去年もどこかで聞いた記憶がある)。TVに出ている自分がそう思うのだ。
浅草メンバーで大阪公演をするから見に来てと宣伝していたが、あんまり浅草メンバーと言うと、松也クンがいかにもピンチヒッターめいて(実際そうなのかもしれないけど)、ちょっとかわいそう。松也クンも早く「浅草メンバー」の中にきちんと入れてもらえるといいのに、と思った。
09011602okura 「一條大蔵譚」
私は、勘三郎さんの大蔵卿がいかにも愛敬が内部から滲み出て好きなのであるけれど、亀ちゃんの大蔵卿も素晴らしくよかった。装ったうつけの中に時々眼光鋭く、大蔵卿の本来の資質をしのばせる。本心を表す場面とのメリハリもよく、この人がこの時代にあって、こういう生き方をせざるを得なかったことがよくわかる。
そして、私は今回常盤の気持ちがとてもよく理解できた。これまでこの芝居の常盤がわからなかったのだ。もしかしたら常盤の心情吐露の場面になると寝ていたのかもしれない。七之助さんの常盤はおっとりしているようでいて自分をしっかりもっており、それだけにやはりそういう生き方をせざるを得なかった女性の哀しみと強さが胸に迫ってきた。この常盤なら、私、好きである。
松也クンのお京も大奮闘。年齢的に苦しいかしらと心配したが、落ち着いた女の雰囲気がきちんとあったように思う。夫・鬼次郎(勘太郎)とともに源氏の行く末を案じる思いがよく伝わってきたし、スパイ的存在としての緊迫感もあった。
「曲舞」で、大蔵卿が舞を始める前に、ともに舞うお京と鳴瀬(京蔵)の顔を覗き込む場面があるのだが、きっと亀ちゃん、客に背を向けて面白い顔でもしたのだろう、松也クンが笑いをこらえていた様子であった。この舞の楽しさはたとえようもない。亀ちゃんの力みのない滑らかな踊りはいつまでも見ていたい。切りかかろうとする平家側の2人(亀鶴・男女蔵)を舞いながら巧みに躱すのも見ものだし、力強い足踏みがリズミックで本当に楽しい。「曲舞」は初めて見たが、とても新鮮。これをもう一度見たいがために、3階席を取ってしまった。「檜垣」も一緒に上演されると、なおわかりやすくなるかもしれない(お京が大蔵卿の館に入りこんだ経緯があったほうがいいんじゃない?)。

09011603kumo_2 「土蜘」
まずは亀鶴さんの平井保昌が登場し、「これはなんたらかんたらである」と自己紹介と主人・頼光が病気であるなどと述べた後しばらくして、松也クンの源頼光が現れる。その間がかなり長いのだけど、横向きに座っている亀鶴さん、なんだか辛そうで、具合でも悪いのかしらと心配になってしまった。
松也クンは気品があって美しく、ここでも頑張っているなと嬉しく思った。そしてこの浅草によって松也クンがぐんと成長することを確信した。
七之助さんの胡蝶が美しく、普段なら眠くなる舞いに見惚れた。
勘太郎さんの蜘の精は不気味で、目の使い方がうまいと思った。蜘モノは演じているほうは大変だが(とくに後見さんたち、糸の処理のご苦労が…)、見ているほうは楽しい。
<上演時間>「お年玉ご挨拶」5分(11001105)、「一條大蔵譚・曲舞」30分(11051135)、幕間15分、「一條大蔵譚・大詰」60分(11501250)、幕間30分、「土蜘」75分(13201435

註:浅草歌舞伎では、heart04
の役者さんがあまりに多く、このブログじゅうheart01heart02heart04lovelyになってしまうので、敢えて♡マークは入れませんcoldsweats01

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan様
浅草のレポートありがとうございますshine
わたしも浅草に着いたら、興奮happy02してしまいそうです。あのあたりの(公会堂周辺)の雰囲気も、いいですよね。

お年玉、亀ちゃんだったんですね。ふふnote
一條、大変良かったみたいですね。踊りが楽しみ。
土蜘蛛も不気味な感じが伝わってきそうですshock
勘太郎くん頑張ってね。
(ちなみに映画みましたeye勘太郎くん主演 「禅」。なかなか深〜いお話でした)
わたしも後ほど、浅草の感想を述べますねwink

投稿: かりん | 2009年1月16日 (金) 02時46分

浅草レポ、待ってました!happy01
私は昼の部は初日に観たきりで、次回は千穐楽なのですがSwingingFujisan様の文章から「ああそうだった!」と思いだすことしきりで、次回見るのが待ち遠しいです。
「曲舞」の踊り、ホント楽しくてワクワクしますよね。
イヤホンガイド、開演前や幕間に役者さんの楽しいお話が聞けるのはとっても嬉しいのですが、トイレなどに行くと電波状態が悪くて聞き逃してしまうのは残念です。

投稿: non | 2009年1月16日 (金) 03時14分

かりん様
コメント、ありがとうございます。
浅草という町は特別な雰囲気をもっていますよね。でも、商店の店じまいが早くてwobbly
お年玉はバッチリ亀ちゃんに当たりましたgood 普段から皮肉屋さん的なところのある亀ちゃんですから、イヤホンでは言いたい放題みたいな感じもしましたが、さすがお年玉ご挨拶は淀みなく、客を惹きつける内容でした。
演目も文句なく楽しめますよhappy01
かりん様のご感想、お待ちしておりますね。
「禅」ご覧になったのですね!! 映画は見たい見たいと思ってもなかなか行かれず、どうなるかわかりませんが、去年「道元の冒険」という芝居を見たこともあり、「禅」にもかなり心惹かれております。

投稿: SwingingFujisan | 2009年1月16日 (金) 08時40分

non様
ありがとうございます!!
non様の初日のレポを拝読して、早く見たくてたまらなかったんですよ。13日ともなると、浅草の町自体はさすがに人出が少なくなっていました。初日のような賑わいも、お祭り好きとしては「人が多すぎ」とぶつぶつ言いながら、その中に入っていたいもの。non様をうらやましく思っておりましたwink
「曲舞」は亀ちゃんの踊りを堪能できますね。いやもっともっと見せてほしい!!
イヤホンガイド、そうなんですよ。幕間はどうしてもトイレに行くことになりますから、ガーガー雑音の合間から何とか電波を拾おうとして必死です。どこの劇場もそうですが、トイレでも聞こえるようにしてほしいな、と思います。
千穐楽の昼の部、進化もしているでしょうし、お楽しみくださいね。

投稿: SwingingFujisan | 2009年1月16日 (金) 08時48分

詳細なれぽ、ありがとうございました。

初日に見たっきりの私ですが、もう一度楽しませていただきました。でも皆様が絶賛の曲舞、実はよく憶えていません(^_^; 私も一條大蔵卿は勘三郎さん(ってか、私にとっては未だに勘九郎くん、なんだけど)のがとっても心に残っています。あのバカ殿ぶりは今でも目に焼きついておりますの。
お年玉は初日の七之助さんも「歌舞伎座の半分の料金で見られる」ことを力説しておいででした。何度も通って、それで堪能したら又今度は松竹座へどうぞ、と(^_^)

昨日は図書館で「演劇界」の浅草歌舞伎特集を見て、ああもっと早くから行っていればよかったとしみじみ後悔いたしました。(ちなみに私が亀治郎さんに惚れたのは十二夜の麻阿でした(^_^))

今夜は6年半ぶり(!)の演舞場、のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2009年1月16日 (金) 11時20分

からつぎ様
コメントありがとうございます。
勘三郎さんの大蔵卿は印象的でしたよねえ。

「トップランナー」で藤間勘十郎さんが、完璧な踊り(動き)というのはあまりに心地よくて見ている人が眠くなる、というようなことをおっしゃっていました(正確な記憶じゃないのですが)。きっと曲舞も余りに心地よくて記憶から飛んでしまったのかもしれませんね。

歌舞伎座の半分の料金ですが、演目も少ないし、もともと歌舞伎座が高すぎると思うので、その辺はどうかな、というのが正直な私の意見です。でも、何回も見たくなる気持ちに変わりはありませんよcoldsweats01 私は浅草4年目なのですが、やはりもっと早くから浅草を見ておきたかったと残念な気持ちでおります。

演舞場、昼夜どちら? 私は昨日夜の部でした。

投稿: SwingingFujisan | 2009年1月16日 (金) 11時45分

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