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2009年1月29日 (木)

浅草千穐楽 2:鑑賞編

「一本刀土俵入」
序幕、お蔦と腹ペコ茂兵衛の遣り取りがしみじみとよかった。2人の台詞の間がお芝居の間ではなくて、リアルなのだ。ちょっとあきすぎじゃないの、という瞬間に台詞が入る(といって芝居としての間延びは感じない)。そこに私はリアルさを感じた。
茂兵衛の去っていく姿を見送るお蔦が「あれ、あんなところでまだおじぎしてるよ」と言って涙ぐみ背中を見せる場面、亀ちゃんがぱっと後ろを向いたその間が絶妙。じ~んときた。お蔦は後になって娘と2人慎ましく夫を待つ生活を送ることを思えば、ここはあまり身を持ち崩した感じを受けたくない。亀治郎さんのお蔦にはそういう意味での清潔感があって、私は好感をもった。
大詰第一場「布施の川」。老船頭(澤村由次郎)、清大工(大谷桂三)、若船頭(澤村宗之助)のとぼけたような、ゆったりしたテンポの会話。この場面って何気ないようでいて、そこに住む人々の生活がもわ~っと浮き上がり、また渡世人となった茂兵衛の人柄がくっきりと浮き上がり、なかなか優れていると思う。由次郎、桂三、宗之助さんの3人がそれぞれの持ち味で、鄙びた村のつましい生活ぶりを感じさせてくれた。
前回も触れた第二場「お蔦の家」で、お蔦が茂兵衛を思い出す瞬間。今回は頭突きを見てから「思い出したっ」と言うまでに前回以上の間があったような気がした。ところが、これがまたリアルな間なのよね。前回コメントを寄せてくださったはなみずき様が玉三郎さんの演技の過程について教えてくださったが、ああこれがそれなんだろう、と納得するような間であった。こっちは次の台詞を待ち構えて、ついついフライングしてしまうのですなcoldsweats02
茂兵衛が戦う相手の一家の1人、堀下根吉(亀鶴)。この人って染五郎さんがやったとき、妙に存在感があって、かっこよくて強そうで、ところが実にあっけなく茂兵衛にやっつけられてしまうという点でインパクトが強かったのだが、亀鶴さんはフツーな感じがした。
序幕では感謝しながら去る腹ペコ茂兵衛を見送ったお蔦が今度は立場を変えて、親分の風格さえ感じさせる茂兵衛に見送られる。いつまでもいつまでもお礼の言葉を口にしながら。うまいつくりだ。
さて、締めは茂兵衛の名台詞。実は前回観劇の際、私の「思い出したっ」みたいにフライングしちゃったオジサンがいたのね。私は声に出さなかったけれど、オジサンはひょっとしたら舞台にも聞こえたんじゃないというくらいの声でやっちゃったのshock 「これが十年前、櫛、簪、巾着ぐるみ意見をもらった姐さんに、せめて見てもらう駒形の」と一息あったところで「しがねえ」って。オジサン、好きな台詞なんだろうな、そこ一緒に言いたい気持ちはよくわかる。だって私も今回言いたくなってしまったもの。でも、もうちょっと声が小さいとよかったわね。私、思わず前につんのめりそうになりましたわよcoldsweats02
勘太郎ちゃんの大きな演技に感動したところで幕。
「京鹿子娘道成寺」
やっぱり不思議感漂う花子だった。でも、七之助さんのきれいさにはますます磨きがかかっているようだ。
居並ぶ所化の中で唯一(もう1人いたかも)花子の踊りを見つめていたのが亀ちゃんeye 他の芝居でもそうだが、こうやって台詞もなく並んでいるときって、どこを見るともなく視線を据えていると、以前に何かで読んだように記憶している。たしかに、今回の所化さんでもそういう人が多かった(松也クンとはオペラグラスの中で視線が合ったな)。亀ちゃんは七クンがどんな踊りをするか見極めてやろうという感じかしら(もちろん、いい意味で、です)。
手拭は私のほうへ向かって軌道を描いていたのに、なぜか後ろから手が伸びて、私の膝に落ちる前にその手の中に入ってしまったわんcrying この前いただいたからいいんだけど…
踊りの感想でなくてすみません。

1)事象を受け留め、(2)心で反応して、(3)それが自分のアクションになる、という過程を玉三郎さんは大事にしているそうです
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玉三郎さんのHP「私の考え」で、玉三郎さんが詳細に述べられています(はなみずき様に教えていただきました)。それを踏まえて改めて「一本刀」を振り返れば、私が感動を覚えた場面の間(ま)は、ご本人たちがそれを意識していたかどうかはともかく、すべてこの理論に当てはまっているのだわ、とここでまた大いに感動を覚えたのでした!!

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