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2009年1月21日 (水)

笑顔で帰る:歌舞伎座夜の部

120日 初春大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
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同じ3階ながら昼は下手寄り、夜は舞台向かって右へ移動して思いっきり上手側。といっても正面席の上手側で、1列目とはいえ案外見え方がよくなかった。それに体を傾けるせいか、お尻だけでなく、珍しく腰まで痛くなった。
09012102taimen 「寿曽我対面」
理屈なし、馬鹿馬鹿しいほど大仰な祝祭劇。大好き。幕があくと、大名たちの渡り台詞が始まるが、どうも幕開きっていうのは客席がざわついて、声がよく聞き取れない。
そうそう、昨日書くのを忘れたが、「十六夜清心」でも橘太郎さん、菊十郎さんの台詞がざわつきのために聞き取れず、配役読み上げでもまだわさわさしていて、とても残念だった。だいたい、どの芝居でも幕開きからしばらくは客席に落ち着きがないのは歌舞伎の特徴だろうか。とくに幕があいてしばらくの間音楽演奏のみというときには、お喋りがとても多い。眉を吊り上げ、「もう始まってるんですけどannoy」って言いたくなるのをいつもガマンしている。
話が逸れましたcoldsweats02 渡り台詞が終わって、中から工藤祐経の声が聞こえると市松障子がぱっと開き、おお何と華やかな!! この瞬間が好きである。3階から見ても一度には全員を見渡せないほどの豪華な並び。お母様をふっくらさせるとこういうお顔かも、という菊之助さん(化粧坂の少将)の綺麗なこと 魁春さんはうなじが細いから小林妹舞鶴のような男勝りの役は合わないかと思っていたら、意外にも独特の美しさがあって、いい感じであった。
私にとっての祐経は富十郎さん。そういう目で見るせいか、幸四郎さんの祐経はひどく陰気な感じで、馴染めなかった。第一、台詞がもごもごしているのも陰気さを増す(口をあまりあけないで喋っているのかなぁ。とても聞き取りづらい)。あまり見たくないと思っていた俊寛のほうがよほどよかったのは皮肉なものだ。
菊五郎さんの十郎、吉右衛門さんの五郎(「雨の五郎」がすぐに思い出される)。吉右衛門さん、なんて声が高いんだ。血気にはやる若者役だから普段よりなお高くしているのだろうか。その弟を必死で宥める兄・菊五郎さんがやわらかくかつ風格があって大きく、いい兄弟だなあという気がした。
09012103kagamijisi 「春興鏡獅子」
まずは、吉之丞さんと歌江さんの揃い踏み、それだけで嬉しくなる。前回の揃い踏みは国立の「井伊大老」で敵対関係にあったが、今回は協力して弥生を引っ張り出そうという共犯者的ムードが楽しいsmile
勘三郎さんの弥生は愛らしく、一段とまろやかさが増したようだ。いかにも油ののったという感じだ。後ジテの獅子は勢いとメリハリがあって、動きが美しい。「当代一っ!」との掛け声に客席から笑いが湧いたが、確かに当代一かもしれん、と思ったことでした。
ところでこの演目、勘三郎さんのを見るのは2回目だけれど、梅丸クンと錦政クンが胡蝶を見事に踊ったのを見たなあと記憶が甦り、でもあの時の弥生は誰だったのかしらと肝心の主役を思い出せないでいたら、染五郎さんなのでした。今回の胡蝶は玉太郎クンと千之助クン。ともに8歳という可愛らしい2人が一生懸命踊る姿に客席はなごんだ。千之助クンの踊りが上手なのにびっくりした。子供の成長はなんと早いこと(梅之さんが千之助クンのお手伝いをしていらっしゃいます。2度目のご縁だそうです)。

09012104iwasiuri 「鰯賣戀曳網」
勘三郎さんの襲名公演でも玉三郎さんとのコンビで見て、悪人が誰も出てこない、恋のメルヘンといったお話にほのぼの心が温まったのを覚えている。これが三島由紀夫の作だというのが面白い。今回見ても、このコンビしか考えられないというくらいぴたっとくる2人だが、実際過去の上演記録を見ると、先代勘三郎・歌右衛門コンビで5回上演された後は今回を含めて7回すべて勘・玉なのである。
勘三郎さんの体から滲み出す愛敬と色気が、ちょっと剽軽で大らかな猿源氏をとても魅力的にしている。玉三郎さんもまた大らかに猿源氏を包む。玉三郎さんは、鰯の売り声なんて、聞きどころもあるしね。
脇の彌十郎さん(なあみだぶつ。ってどんな名前なんだsign02)もはまっているし、博労の染五郎さんは声を聞かなきゃ誰だかわからないようなメイクでサマになっている。猿源氏が関東の大名になりすますときにこの博労、家老役をやるんだけど、さすがに染五郎さん、おどけたメイクがそう見えなくなるくらいかっこよかったheart04
勘三郎さんがこういう演目をやると、とかく崩しがちというか、ふざけすぎの面が気になることがあるが、この「鰯賣」は羽目をはずすことなく、役者さんの持ち味が十分生かされることで面白くなっていて、とても好感がもてた。
夜の部の最後にこの芝居を見た人々は一様に笑みを浮かべて楽しそうに帰路についていた。私も、もちろんその1人です。
ところで、今日から筋書きに舞台写真が入りました。
それから、今日はTV撮影が入っていたみたいです。3階からはマイクしか見えなかったのですけど、ね。

<上演時間>「対面」47分(16301717)、幕間25分、「鏡獅子」55分(17421837)、幕間35分、「鰯賣」70分(19122022

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コメント

さよなら歌舞伎のスタート、流石に昼も夜も強力なラインナップですね。
私は昼の部のみの観劇予定ですが、SwingingFujisanさまのレポを読んで、夜の部も俄然行きたくなりましたhappy01
昨夕仕事で歌舞伎座の横を通ったのですが、鳴り物の音が漏れ聞こえてきて、しばらくその場で聞き入ってしまいました。その頃客席にSwingingFujisanさまがいらっしゃったのですね。羨ましいな。

投稿: non | 2009年1月22日 (木) 01時50分

non様
コメントありがとうございます。
鏡獅子ですね、きっと。この演奏がいいんですよ。歌舞伎座の内と外で、お互いあの鳴り物に聞きいっていたんですねぇhappy01
昼の部は見るほうもいい意味での緊張感をもちますが、夜の部はリラックスして楽しく見ることができました。幕見でどれか一演目でもご覧になれるといいですね。私ももう機会はないのですが、「春興鏡獅子」をもう一度見たいなあと思っているんですよ。

投稿: SwingingFujisan | 2009年1月22日 (木) 02時54分

私も、祐経といえば富十郎丈です! あの凛と響く声と、風格が、ピッタリなんですよね~。今月は序幕だけなのが、淋しいです…。

菊・吉コンビの兄弟は、本当に「いい兄弟」でしたね~! 私が拝見したときは吉右衛門丈が咳き込まれていましたが、大丈夫だったでしょうか…? 来月もありますし、ちょっと心配しております。

本当に今月は、どの劇場も、盛り沢山な内容、顔合わせですよね。

投稿: はなみずき | 2009年1月22日 (木) 07時01分

はなみずき様
コメント、ありがとうございます。
はなみずき様も祐経は富十郎さんですか!! あの凛としたお声にも風格があって、身が引き締まりますよね。「三番叟」翁の「とうとうたら~り」には涙が出ました。序幕の翁だけというのは、確かに寂しい…できたら富十郎さんの祐経を見たかったわ。
吉右衛門さん、私はなぜか気づかなかったのですが、そばにいた人がそんなようなことを言っていたような気もします。はなみずき様のご観劇日から日が経っておりませんので、回復されていなかったかもしれませんね。来月は何といっても弁慶ですものね、ご健康を早く取り戻されるといいのですが。
都内4座、どれも楽しくて、まさに「こいつぁ春から~」ですsmile

投稿: SwingingFujisan | 2009年1月22日 (木) 10時18分

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