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2009年5月22日 (金)

五月演舞場歌舞伎夜の部・1

5月21日 五月大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
「鬼平犯科帳 狐火」
思わず顔をしかめたくなるような、血塗られた商家の一間。押し込みの無残な犯行に、何か複雑な事情がありそうな幕開き、もうそこから舞台にひきつけられた。
鬼平の若かりし頃の生活ぶりや女性関係が明らかになるのも興味深い。TVでもほとんど見たことはないけれど、自分の中に膨らませていた鬼平のイメージには、そういう若い時代の物語は入っていなかった。でもこのエピソードが今の鬼平を作り上げるのに重要な役割を果たしたんだなあと、しみじみした。
吉右衛門さんの鬼平は本当にステキで、おまさ(芝雀)ならずとも惚れてしまいそう。いや、男にも惚れられる大きさがある。そして意外なかつての色恋物語が鬼平をさらに魅力的にしている。
おまさの、2人の男の間で揺れる女心(鬼平に対する気持ちと又太郎に対する気持ちは違うんだ)がよくわかる。寂しげな表情がとてもいい。何回か、お顔が雀右衛門さんに似ているなぁと思った。

錦之助さんの又太郎(出だしで、セリフにハプニングがあったような…)は、私しばらくの間、この人ウラがあるんじゃないかと疑っていた。むごい押し込みは弟の仕業だと言いながら実は自分じゃないの?なんて。でも、又太郎は実直な盗人であった。弟・文吉(染五郎)を必死で諭す姿に、兄の複雑な心境を感じた。
染五郎さんの文吉が秀逸。世を拗ねた甘ったれの文吉に共感はできないけれど、気持ちはわかる。本当は兄を慕っていたんだという心情がひしと伝わってきて悲しい。
隼人クンがひさしぶりに登場したが、娘役はちょっとかわいそうな気がする。
段四郎さん、歌六さん、歌昇さんがそれぞれ味わい深い演技で、脇がいいと芝居もしまるんだなあと感じさせてくれた。相模の彦十(段四郎)がおまさ相手に一芝居打つ場面では、おまさが出て行ったあと押入れに隠れていた平蔵が姿を現し、「うまい芝居だねえ。いよっ、澤瀉屋っ」とさりげなく持ち上げるから、思わず吹き出した。源七(歌六)と平蔵のラストの語り合い、別れはしみじみとしながらもユーモラスで感動的、胸が熱くなった。

おまけ①文吉逮捕にむけて平蔵が出動した場面、文吉側の浪人河合伝内と斬り合いになる。この浪人が由次郎さん。昼の「らくだ」コンビじゃないと思ったら、可笑しくて。平蔵が強いのか、由次郎さん(じゃない、伝内)が見掛け倒しなのか、すぐに斬られてしまった。
おまけ②二幕目、源七茶店の変な客。立ち上がった老婆は、手拭だかなんだかを口にしっかりと巻きつける。「どうしたの?」と他の客に聞かれ「これが売り切れで」。それだけで客席笑い。「瓦版で見たけど、江戸でも1人出たって」と言いながら舟へ。この老婆は段之さん。最近、段之さん、こういう役を嬉々としてやっている。

おまけ③序幕二場(料理茶屋笹屋離れ座敷の場)以降、ほとんどずっと、舞台裏での作業の音がとても気になった。舞台づくりの音が聞こえてくるのは当たり前のこととして、これまではほとんど気に留めていなかったが、今回は話し声まで聞こえてきて、芝居に集中できなくなるほど。どうしたんでしょう。

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コメント

おはようございます。
まぁ、同じ日に観劇でしたのね(^_^)
私は3階右からのぞきこんでおりましたが(^_^;
昼夜通しで見たこともありときどき飛んでおりますが、昨日の私の収獲は歌六さん。ここのところ老け役でいい味を出してらっしゃるなぁと思っておりましたが、今回の源七には惚れました。相手(TPOと言うべきかしら)によって変わる声のトーンに惚れ惚れ。ラストの語り合いも本当にしみじみとして胸にひびきました。
来週、再来週と観劇予定がないのが寂しいからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2009年5月22日 (金) 10時21分

からつぎ様
あらら、昨日ご一緒でしたかhappy01
歌六さん、いいですよねぇ。そうそう、TPOで声のトーンを変えていらっしゃいましたね。最後の場面の「いっひっひ、うっふっふ」は平蔵をからかって、面白かったですねえ。でも私はまだ、おひさちゃんが平蔵の子ではないかと半分疑っています。
あの別れの場面、ぐっと胸にきました。
すみません、来週私、歌舞伎座にもう一度行きます(^^)

投稿: SwingingFujisan | 2009年5月22日 (金) 11時30分

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