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2009年5月20日 (水)

あんまり楽しくて長くなってしまった感想:「恋湊博多諷」

519日 五月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
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日に3階から見る予定だったのがダメになり、この日が初見。もう一度見に行くので、あら、ほんとなら全部で3回見るつもりだったのね、と自分でもちょっと驚いた。
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時過ぎに東銀座に着いたのだけど、時間が悪かった。階段大混乱。上に出るのに、1段上がっては止まりの繰り返しで、大変時間がかかった。さらには地上に出たら身動きが取れないほどの人人人。昼夜入れ替え時間の正味は20分もあっただろうか。歌舞伎座ってすごい!!
09052001kezori 「恋湊博多諷 毛剃」
へえ~、近松はこんな作品も書いているのか、とちょっとビックリ。
毛剃は海賊としての恐ろしさも十分で、でもやっぱり團十郎さんの大らかさがこの人物に愛敬を添えて、深刻にならずに楽しめる(だって、話そのものとしては、抜荷、脅し、殺人、三角関係等々、暗いことが多いと思うのよ)。團十郎節は、よく聞き取れない訛り――これって、九州に行ったことのない近松が想像で充てた方言なんですって――とともに、異国情緒を醸し出す。「汐見の見得」を上から見たくて3階席を取ったのに、残念。下から見ても立派だったから、上から見たらさぞ豪快で、そのうえ自分も船の舳先で思い切り腕を広げている気分になっただろう(こんなところで「タイタニック」を連想してしまった私ってbearing)。
船では、一般人を手厚くもてなすのだという。万が一踏み込まれたときに、一般人が「この人たちはとてもいい人です」とかばってくれるのを目的としているんだとか。そのおもてなしは、ギヤマンのグラスに注がれた赤ワインwineなどなど。
<ツッコミ>これは七代目團十郎の工夫だそうだが、それじゃあ、抜荷をやっていることを自分からバラすようなものじゃんbleah それがお芝居の面白さとおっしゃるのは小山觀翁さん。わかってますって。
海賊船に一般人が乗っているっていうのも驚きだけれど、その一般人に抜荷の現場を目撃されたらどうするのよ。と心配していたら、案の定宗七(藤十郎)が見てしまった。恋の鞘当てもあり、宗七はぼこぼこにされて海へweep
本日の席は1階中ほど、花道そばだったので、宗七が命拾いする場面もまあ見えた(スッポンから上がってくる)。この席で「暫」を見たかったわ~(まだ言ってるcoldsweats01)。
前後するが、抜荷の現場というのは、ご禁制の荷を積んだはしけが毛剃たちの乗る親船に近づいてきて、子分たちが積荷を親船に運ぶというもの。亀鶴さんが一生懸命働いていた(あまり重そうには見えなかったcoldsweats01)。
このはしけに乗ってくるのが亀蔵さんと男女蔵さん。亀蔵さんが船を漕ぐ掛け声は、なんとあの「やっしっし~」sign03 嬉しいじゃございませんかsign03

さて、「毛剃」って、これで終わりかと思っていたら、5分の幕間を挟んで、まだこの先があったのね。菊ちゃんがまだ出てこないから先があるんだろうとわかったんだけどね。菊之助さんと藤十郎さんのカップルはとても若々しくて綺麗でステキだった。女が男の髪を梳くという行動の意味を知り、これはこの後の「夕立」でも応用知識として役立ったwink
菊ちゃんの小女郎(なんか、すごい名前だな。でもおっそろしく綺麗)は、考えてみたらアホな女だ。恋人の恋敵に身請けの金を借りて恋人を窮地に陥れる。事情を知らなかったとはいえ、毛剃が自分に惚れているくらいは知っているんじゃないの? 商売柄、それくらいは気づいているはず、と私は確信する。そういう男に身請けの借金をする根性ってすごい(呆れてるshock)。しかし、自分たちを助けてくれた男が海賊の親分で、色男の宗七ともどもこれから地獄を経験することになるとも知らず…と思ったら、小女郎がかわいそうになった。
小女郎が毛剃にお礼を言うために連れてきた男が宗七だとわかったとき(生きていたとはお釈迦様でも知らぬ仏の♪だね、古いっcoldsweats02)、子分たちが飛び掛ろうとする。ここは勧進帳のパロディ? 権十郎、市蔵、亀蔵、松江、男女蔵、亀鶴の6人が四天王よろしく宗七に迫ろうとする、その表情たるや、まさに勧進帳。それを体でとどめる毛剃の形相もまたまさに弁慶。でも、役人の客改めが入ると知ったときの一同の慌てよう。あの毛剃さえぶるぶる震え、弁慶一行とは大違い。あんまり滑稽だけど、それだけに彼らがどれほど危ない橋を渡っているかが想像できる。

ここで、自信ないツッコミ>毛剃が宗七に仲間になれと迫る緊迫の場面、毛剃はいつでも相手を圧することができるよう、火鉢の灰入れかなんかを後ろ手に隠し持っているのね。灰を投げつけて目潰しにできるよう。でも、團十郎さんの灰入れの持ち方、ひょっとして口のほうを下に向けていなかった? あれじゃ、灰が全部畳に落ちちゃうよ~と思って見ていたのだけど、私の勘違いかもeye
ところで、毛剃たちが博多の奥田屋で遊んでいる時、太鼓持ちに「今度はお客様が何かかくし芸を」と言われる。互いに顔を見合わせながら亀鶴さんが言うセリフ「オレより市五郎のカンカン踊りのほうが面白い」。ん? カンカン踊り? カンカンノウ? 市五郎(松江さん)のカンカンノウが見られるの? と期待したが、結局踊らず。でも、後で一同の総踊りがあって、楽しい。これ、短いのが残念。
成田屋さんの豪快かつ愛敬のある悪役、山城屋さんのおっとりした色男、どちらも波乱万丈の生涯を送ることになるその成り行き、見ごたえがありました。
おまけ:奥田屋の女房・お松。秀太郎さんは、こういう役をやると存在感といい、雰囲気といい、秀逸。海賊たちが「おかっさま」と呼ぶ。おまっさまでなく、おかっさま。

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