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2009年6月12日 (金)

歌舞伎鑑賞教室1:全員参加の「歌舞伎のみかた」

611日 歌舞伎鑑賞教室「華果西遊記」:歌舞伎のみかた(国立劇場大劇場)
「油地獄」、「十二夜」とともにもう一つとても楽しみにしていたのが、この「華果西遊記」。期待どおりとても面白くて、もっと長い時間見たかったわ~と思った。
まずは、笑三郎・春猿コンビの「歌舞伎のみかた」から。このコンビの解説は、前回の鑑賞教室(平成177月、「義経千本桜 河連法眼館の場」)でもユニークで楽しかったから、今回もどんなことを見せてくれるのだろうと期待が大きい。以下、ネタバレします。
時間になると場内が暗くなる。高校生たちはこんなことにもきゃあきゃあ沸く。そして幕があくと、ゴダイゴ「モンキー・マジック」に乗せて、舞台はまわり、あらゆるセリが動き出す。ライトもピンクや青やでディスコ(あ、今はクラブか。よく知らないけど)っていうのかしら。
しばらくすると、本舞台前方中央から笑三郎さんが、花道スッポンから春猿さんが姿を現す。それぞれの名が平仮名で書かれた傘をさしている。
自己紹介の後、「歌舞伎」の「歌」「舞」「伎」に関する説明が始まる。
「歌」
音楽である「歌」では、黒御簾の中から太鼓を取り上げ、大太鼓を舞台に登場させる。鳴り物さんに打っていただき、その音が何を表現しているかを高校生たちに当てさせると、みんな一斉に「雨sign03」と正解を出すのであった。雨はだんだん強くなり、やがて稲光thunderがして雷鳴まで轟くようになる。笑三郎さんが傘をさしてを歩いているうちに雨もやんできた。すると下手から人魂が(高校生ウケている)。ほっとしている笑三郎さんは気がつかない。どろどろいう太鼓の音(まんま「どろ」という)とともにスッポンからユーレイ(春猿さん)が現れ、不思議な力で笑三郎さんを操る。というところで太鼓はおしまい。
次に義太夫常盤津の説明。両方とも語る浄瑠璃であるが、違いは何か。これ、私も聞きたかった。わかりやすいように、「はっとして驚いた」という文を義太夫と常盤津がそれぞれ実演してみせてくれた。義太夫は三味線が太く(太棹)低音である。常盤津は細い三味線で、繊細・高音。常盤津のほうが音楽的要素が強く、舞踊の演目で使われることが多い。そうです。
「舞」
ということで、常盤津に合わせて、春猿さんが男性としての袴姿のまま女踊りをひとさし舞った(素でも十分女性に見えるほどきれい)。その後、女方の基本体形の作り方を見せてくれた。足の作りは袴で見えないので、春猿さんがちょっと袴をつまんで持ち上げ「自慢の美脚smile」で女性の内股のつくりをご披露。これには高校生大ウケ。春猿さんはTV出演も多いし、歌舞伎を知らない高校生でも春猿さんのことは知っているかもしれないので、この辺も客の心はくすぐられる、かな?
次いで上半身の作り方。肩甲骨をぐっと背中の中心に寄せ、肩をぐっと落とす、というアレです。この瞬間、春猿さんの肩がぐっとなで肩になり、客席から歓声が沸いた。「歌舞伎のみかた」では高校生の代表を舞台にあげて何かやらせることが多いのだが、今回はこれを、客席にも一緒にやらせていた。みんな座席でがやがやいいながらちゃんと笑三郎さんの指導、春猿さんの実演に合わせて肩甲骨を寄せ、肩を落としている。代表が舞台で何かするのもいいけれど、全員参加は歌舞伎に興味をもつ上で効果的かもしれないと思ったgood 男性が女性の体に見せる大変さにもちょっとは触れられたと思うし。
江戸時代の女性がこうして歩いていたわけではなく、ウソが真実以上のらしさを生む、ということです、と笑三郎さん。けだし名言。
そういう基本体形をつくるには舞踊の基礎がなければいけないんです、というのが「舞」のまとめ。

「伎」
演技である「伎」では、まず見得を。このとき、見得の定番・ツケのことも紹介された。
そこへ蝶が飛んできた。黒衣の役割を説明するのに、これまた高校生向きにバレーボールを使用。まずは笑三郎さんと春猿さんとでラリーを。ボールはもちろん、黒衣さんが扱う差し金の先についている。やがて客席と舞台、あるはい客席どうしでパスが渡る。上から見ていると、この黒衣さんの差し金の扱いが実に見事sign03 いかにもボールがあっちへ飛び、こっちへはずみしている感じなのだ。ここもボールに触る人は限られていても、全員参加気分でとても楽しい。なかなかのアイディアである。この間、軽くツケが入っており、ツケと差し金(黒衣)による「伎」でした~。で、歌舞伎に関する説明はおしまい。

この後、扮装をした欣弥さんと猿四郎さんが登場して、本日の演目「華果西遊記」について簡単に説明があった。華果というのは、孫悟空の生まれた華果山のことでもあり、また猿之助さんの俳号でもあるとのこと。したがって「華果西遊記」とは「猿之助版西遊記」なり。

笑三郎さんも春猿さんもとてもきれいな日本語を話す。とくに笑三郎さんは素の声もよく響く素敵な声で、丁寧にゆっくり話すその日本語が何とも美しい。名コンビによる楽しい解説はしっとりとした日本語によって、高校生たちの心に何かを残したに違いない。

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コメント

はじめまして、歌舞伎のみかた、本当に楽しかったですね。エントリを読んでいると、思い出しました。

投稿: 亀千代 | 2009年7月 2日 (木) 00時20分

亀千代様
はじめまして。コメント、ありがとうございます!!
笑三郎さんと春猿さんの名コンビによる「歌舞伎のみかた」はユニークでわかりやすく、歌舞伎が初めての人もそうでない人も楽しめる解説ですね。特に知名度の高い春猿さんが登場することで歌舞伎に興味をもってくれる高校生が増えると嬉しいなあと思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 2日 (木) 00時35分

連続でコメント申し上げ、失礼致しますっ。
私、この公演、とっても行きたかったのです。でも、唯一行けそうだった日に熱を出してしまい…、結局行けませんでしたの。はじめは日程が厳しく、諦めていたのですが、SwingingFujisan様のこのレポを拝読してやっぱり行きたくなり、「行きたい熱」が高まっていただけに、残念です! でも、SwingingFujisan様のレポのおかげで、観られなくても楽しい思い出をお福分け頂きまして、嬉しゅうございます♪
笑三郎丈の言葉遣いは、私も大好きです。丁寧だけれども、現在進行形の話題で心に響き、親しみが沸きますよね! 
歌舞伎座で、「西遊記」、またやって頂きたいですわ♪

投稿: はなみずき | 2009年7月 4日 (土) 22時06分

はなみずき様
たくさん、コメントをくださって、ありがとうございますsign03
お体を壊されて大変でしたね。見たいお芝居が見られない--どんなにか残念な思いをされたでしょうが、お芝居を楽しく見るためにも健康第一ですもの。ゆっくり休養されて、活力を貯えてくださいませ。
その間の拙レポがはなみずき様のお慰みとして少しでもお役に立ったなら、こんな嬉しいことはありません。
笑三郎さんの言葉は、押し付けがましくなく、心に自然に入ってきますね。きれいな日本語を話せる貴重な役者さんだと思います。
今回の「西遊記」は鑑賞教室でしたのでとても気軽に楽しめましたが、ええ、ぜひぜひ歌舞伎座でやっていただきたいものです。
おからだ、くれぐれもお大切になさってくださいね。

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 5日 (日) 00時04分

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第75回歌舞伎鑑賞教室で、華果西遊記の上演に先立ち、「歌舞伎のみかた」があった。案内役は笑三郎、春猿がつとめる。「西遊記」らしくゴダイ... [続きを読む]

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