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2009年6月15日 (月)

小山三さんの芸談を聴く4:エピローグ

613日 中村小山三丈の芸談を聴く会(慶應義塾大学三田キャンパス第1校舎111番教室)
最後に聴衆の質問がいくつかあったが、中で小山三さんの後見ぶりに感銘を受けたという人がいた。小山三さんはその言葉を聞いたとたん、背筋がしゃんと伸び、「嬉しいですねえ。嬉しいですねえ」と何度もおっしゃっていた。その小山三さんに中村屋を支えてきた誇りの高さを感じ、涙が出そうなほど感動すると同時に、後見がいかに重要な存在であるかを改めて教わった気持ちだった。ただ、膝が悪くて、後見はもう無理なのだそうだ。「もうやりません」とおっしゃっていたから、小山三さんの後見を今後見ることはないのだろう(寂weep)。
私も、中村屋さんが時々かける新作やコクーン歌舞伎などについてどう考えていらっしゃるかお聞きしたいと思ったが、その質問を思いついたときに、ちょうど時間となりました~bearing

「中村屋の乳母」と言われる小山三さん(「みんなにそう言われるんですよぉ」smile)、勘太郎・七之助兄弟を「現代っ子」と言い切り、最近の歌舞伎が全体に昔と変わってきたことを寂しく嘆かわしく思いつつも、永山さんに「昔のいいものをたくさん見ているだろうが、今と比較しすぎてもいけない」と諭され、時代の流れとして受け止めざるを得ないと認めているのを痛々しく感じた。たしかに、煙ったがられることもあるだろう。しかしその姿に刻まれた年輪は小山三さん1人の歴史ではなく、歌舞伎の歴史とも言えるのではないだろうか。

時々具合が悪くなって入院されたりしているようだが、今日のようなお元気さで、もっともっと舞台姿を見せていただきたい。大きな拍手に包まれて退場する小山三さんに私も惜しみない拍手を送り、しみじみそう思ったのでした。

おまけ18月の「乳房榎」の茶屋女で出演されるかもしれないとのこと。「乳房榎」の後見は滝の中での早替りがあって、ものすごく大変。衣裳の面倒はみるけれど、鬘は役者さんが自分でやる。鬘は仕掛けになっていて全部違うんだそう。で、「あたま、あたま」って言ってあげないと、役者さん本人は忘れちゃうんですって。「乳房榎」を見るときは、そこも注意して見ることにしよう。
おまけ2中村屋密着番組らしいTVカメラが入っていた。来年放送らしい。え~と、それからこれはオフレコなのかどうかわからないけど(守秘義務はないらしいが)、来年先代の23回忌公演があるらしい。最初に犬丸氏(書き忘れていたが、犬丸氏もかぶ研OB)がこんぴら歌舞伎と先代の亡くなった話を振ろうとしたら、「泣いちゃうからだめ」。それだけでもう、小山三さんの先代に対する気持ちが感じられて、ぐっときた。こんぴら、よかったなあ(あ、TVです)。
おまけ3
黒簾の音が大きくて役者の声が聞こえないという意見が出た。これは、私も常々思っていたけれど、自分の耳が悪いせいにしていたのだ。本当は役者が注文しなければいけないのだそうだが、客としては、歌舞伎座の意見箱に投書するというテがある、という小山三さんのアドバイスに従い、早速次回観劇の際には投書してみようかな。数が多いと取り上げられやすいみたい。
おまけ4小山三さんは<赤毛>モノはきらいだけど、シェークスピアは好き。シェークスピアは歌舞伎だから。嫌いな赤毛だけど、二代目左團次のベニスの商人は素晴らしかった。滝沢修のベニスもよかった。滝沢修は新劇の團十郎と言われていた(「今の團十郎じゃないですよ」bleah
おまけ5こんなに長々と書いた私も疲れたけれど(本当はもっと話はあるんだけど)、小山三も時々お疲れのようで、「暑い」と上着を脱がれたり、何度もお茶を飲まれていた(冷たいお水はダメなんですって)。「眼も耳も足も悪いけど、これだけは(達者なのよ)」と口元で手をパクパクさせるユーモラスな小山三さん。たくさんお喋りをしていただいて、本当にありがとうございました。

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コメント

おはようございます。朝から素晴らしいレポ拝読(あらためて、1からまとめて読みました)。あたたかな、ゆったりした、なつかしいような(不思議な)気持ちになりました。
それにしても、小山三さんの楽しいお喋りを、こんなふうにまとめてくださったSwingingFujisanさまに感謝感謝です。
歌舞伎界の小山三さんのような存在が、いま、ご町内に一人ずつでもいたなら、きっと世の中は変わっていただろう、なんてことも思ってしまうのでした。

投稿: きびだんご | 2009年6月15日 (月) 08時40分

きびだんご様
おはようございます。ありがとうございます!!
恐らく若い人にすれば、小山三さんのような方は口やかましく、少々煙ったいおじいさん(おばあさん?)なのかもしれません。でもそういう存在がどれだけ貴重かというのは、そういう方たちがいなくなってからわかることなのかもしれないなあ、と思いました。
現代において古き良きものがすべていいとは考えませんが、時代を超えても大事な基本的なことというのは人から人へ伝えられていかねばならないんですね。私も次代へ残してあげられる何かがあるかしら。自分の生き方もちょっと振り返らせられました。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月15日 (月) 09時35分

一連の記事、本当にありがとうございます。今回ほどネットのありがたさを感じたことはありません。
えーっと、まとまらないのでお礼だけ。

投稿: urasimaru | 2009年6月15日 (月) 10時11分

urasimaru様
ありがとうございます!!
長々と書いたものを読んでいただけて、そして喜んでいただけたようで、とても嬉しいです。あんまり面白いお話だったから、1人占めするのはもったいないと思って…。頑張った甲斐がありましたcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月15日 (月) 10時23分

おはようございます。そして、ありがとうございましたm(_ _)m
ますます小山三さんが大好き♪になったからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2009年6月15日 (月) 10時34分

からつぎ様
おはようございます。こちらこそ、ありがとうございます!!
若い役者さんがいて、そのオヤジ様世代がいて、さらにその上の年齢の方がいて、そしてそれぞれのお家を支えるお弟子さんたちの力があって…歌舞伎って、ほんとうにいいですねhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月15日 (月) 11時08分

今晩は! 詳細なレポ、ありがとうございます!メモをお取りになっているのでしょうが、本当にご苦労様です。

最近のイベントでは、ネット×、ブログ× という場合が多いので、今回の記事はありがたいです。私も新聞でこの会のお知らせを知りまして参加したかったのですが、先に国立劇場とその後のイベントがあったものですから、残念に思っておりました。

小山三さんの後見が観れないのは本当に寂しいです。

投稿: maroon6 | 2009年6月16日 (火) 20時29分

maroon6様
こんばんは。コメント、ありがとうございます!!
イベントの内容公開については、やはりちょっと心配で、一応主催者側の方にお伺いしました。OKとのことでしたので、自分の記憶のためにもメモを取りました(すぐ、忘れちゃうんですよ。書くと、記憶にも残りますね)。
大盛況でしたし、お話もとても面白かったので、参加できてよかったなと思いました。
後見はもうやりません、ときっぱりおっしゃったのに、本当になさらないのかしら、とまだ希望を捨てきれていない私ですcoldsweats02

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月16日 (火) 20時58分

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