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2009年6月 5日 (金)

早くも与兵衛再見

65日 六月大歌舞伎昼の部後半(歌舞伎座)
昨日、ticket31列が出ていたの。初日から1日おいただけだし、さんざん迷って、押さえて取り消してを34度繰り返したんだけど、いつまでも残ってるんだものeyeこれは私を待ってるんだなと自分勝手な解釈をして(それに、行かれるときに行っておかなくっちゃ)、ついに最終的ぽちっgood
ただ、仕事の都合上朝イチからは無理なので、申し訳ないと心の中で手を合わせつつ、「蝶の道行」から行くことにした。午前中仕事やら家事やらを全部詰め込んじゃおうと思うと案外慌しく、急いで出たらオペラグラスを忘れたことに気づいた。取りに戻ったら「蝶」には間に合わない。最悪仁左様に間に合えばいいんだけど、それじゃああんまりだし、ということで、オペラグラスは諦めることにした(貸しグラスがあればいいのに)。
ところが、それが意外に正解。細部を見ようとオペラグラスに集中すると全体を見損なうことがあるが、細部は初日を思い出して全体を見渡せば、又感じることが違ってくる。
「蝶の道行」
初日は、場内が暗くなってからずいぶん「溜め」があったように思ったけれど、今日はすぐに幕があいて、もうその時点で竹本の山台がうっすら浮かび上がっていて(竹本連中の裃の両肩にも白いちょうちょが数羽舞っていた。この前は近すぎて気づかなかったのかな)、幻想的な差し金の蝶も最初から舞っていた。
地獄の業火に焼かれる2羽の蝶は美しく、官能的でさえあった。焼かれる蝶、の連想から、突然「緑の館」*が思い浮かんだ。あれは、蝶でなくて蛾だったかしら。
「女殺油地獄」
この前書かなかったけど、そういえばこちらも松嶋屋三代揃い踏みなんだなあ、と改めて感じ入った。千之助ちゃんがとても愛らしく、女の子らしい仕草も身についていて感心した。お吉(孝太郎さんがとてもいい)が茶店の奥で与兵衛の世話をしている様子を外から覗き込み、おとうさん(梅玉)に報告する場面は何とも可笑しい。松嶋屋三代をことさら意識するともっと可笑しいから、そこではなるべく忘れることにした。
今日は与兵衛の繊細さを感じた(繊細っていうと良すぎるかも。しかし、キレるっていうのとは違う壊れやすさがあるような気がする、仁左様の与兵衛には)。家庭内暴力をふるっているとき、母親なり父親なりがぎゅっと抱きしめてあげればよかったのにと思った。暴れているあんな大きな図体を抱きしめるのは大変だけど、愛情のすべてを注ぎ込んで抱きしめてあげて、と叫びたくなった。徳兵衛さん、門口で泣いてもしょうがないのよぉ(歌六さん、うますぎる)。今日は豊嶋屋でのおさわ(秀太郎)に泣けたけど、やっぱり抱きしめてあげてほしかった。
それにしても、家庭内暴力に悩む家庭の様子が、歌六さん、秀太郎さん、梅枝クンによってよ~く表現されていたと思う。つらさが胸に迫る。
油まみれの殺しは緊迫して美しかった。すべると笑いが起きるのだけど、それにほっとするほど息を詰めて見ていた。花道脇のお客さんにはビニールシートが配られていたみたい。前回、回収しているところを見たんだけど、今日はお客さんたちがシートを掛けているのが見えた。本舞台は広いし、そんなに前のほうで争わないから客席に油が飛ぶ心配はないみたい。仁左様の引っ込みのときに少し飛ぶのかな。この前、スタッフさんが花道を一生懸命お掃除していたし。
あ~、思い出していたらあの壊れやすいチンピラ与兵衛を又見たくなってしまったわheart04

仁左様のポスター、だめもとで訊いてみたら、やっぱりダメでしたweep 初日なら十分買えたのに、私ってそういうところがドジなのよねえwobbly 高麗屋さんのポスターならまだ若干残っているそう。金太郎ちゃんが将来大物になったときのためにと、いやらしい投資心が起きないでもなかったけど…。
今日の3階は男子高校生が学校行事で見に来ていて、幕間におとなしく椅子に座っていると、地震かと思うほどしばしば揺れた。別に彼らがぴょんぴょん跳ねたりしているわけではなく、それが若い男の子のエネルギーってものなのかもしれない。彼らは、現代にも通じる与兵衛像、その転落を見てどう感じたのかしら。

*
緑の館:WH・ハドスン作の小説。南米ギアナの密林を舞台にした妖精のような少女リマと政治紛争から逃亡中の青年の悲恋物語。メル・ファーラー監督オードリー・ヘップバーン主演(メルはオードリーの当時の夫。自身も青年役で出演)の映画(1959年)があるが、この映画は失敗作だといわれた。私はビデオかテレビで見たかもしれないけれど、退屈だったような記憶があること以外よく覚えていない。でも、緑の野性的な衣裳をつけ、妖精のようなオードリーの愛らしい笑顔が表紙になっていた(と思う)原作(もちろん日本語訳)は買って読んだ。
リマが無残な死を遂げたあと、青年が思い出の密林の小屋で、自分のまわりを離れない蝶(蛾?)にリマを重ねるが、その蝶(蛾?)は火の中に落ちて焼け死ぬという場面がある。以上、あまり確かでない記憶から。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

もう、行ってらしたのですね(脱帽)。
でも、そのお気持ちわかります。あと、「押さえて取り消して」を何度も繰り返して、それでもまだ残っていたらもうそれは私のためのチケットなのよ、と思うお気持ちも。私はすでに1等を2日買ってしまったので、さすがにこらえております(^_^;
ポスター、残念でしたね。今日いらしたと知って真っ先に間に合ったかしら?と思ったのですが。。。舞台写真で素敵な(きっと全部素敵なんだけど)のをゲットなさってくださいませm(_ _)m
ビニールシート情報ありがとうございました。
仁左様の油なら浴びてみたい、なんて思ってしまう危ないからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2009年6月 5日 (金) 18時53分

からつぎ様
ポスターのこと、気にかけていただき、ありがとうございます。ほんと残念でしたが、舞台写真に期待しますね。
昼の部は千穐楽前の20日過ぎあたりで3階席が出たら、もう一度行きたいなんて思っていますが、欲張りすぎかしら。ヒマさえあればついつい、チケットサイトを覗いてしまいます。
smile仁左様の油、私も浴びてみたいですぅ。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月 5日 (金) 20時13分

Swinging Fujisan様
毎回の詳細な観劇記録有難うございます。私は夜の部は今週末、昼の部は中日過ぎの予定です。
初日、三日目と足を運ばれたとのこと、そのエネルギーにはいつもながら頭がさがります。夜の部も見に行かれるのであれば、またご報告ください。(二日目の三階に騒いだ客がいたとの噂ですが、その場に遭遇しなくてラッキーでしたね。)
 ところで、八月は、三津五郎の六歌仙、勘三郎の船弁慶と舞踊好きの私にとって至福のときになりそうです。

投稿: レオン・パパ | 2009年6月 6日 (土) 09時27分

レオン・パパ様
コメントありがとうございます!!
初日から1日おいただけの再見、我ながら無茶だなあとは思うのですが、満腹になっていなかったのでしょう。欲深な私、まだまだ入る余地はあるのですが、演舞場等のことも考えて、しばらくは予定外の観劇は入れないことにしますcoldsweats01
レオン・パパ様とは逆に、私は夜の部が中日以降になります。ご感想お聞かせくださいませね。
8月の六歌仙は私もとても楽しみです(子どもの頃、二代目松緑さんで見たことがありますよ~coldsweats01 業平は先代左團次、小町は梅幸さんでした)。船弁慶は私にとって鬼門。今度こそと意気込みながら毎回、気がつくと海の底sleepyです。今回も意気込みだけは十分なんですけどdash

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月 6日 (土) 10時22分

Swinging Fujisan 様
 お言葉に甘えて夜の部の感想をちょこっと。「連獅子」は金太郎が大健闘で、諸優の口上もよく、楽しめました。「幡随長兵衛」「髪結新三」と黙阿弥世話物が二つ続く狂言建ては魚料理のメインディッシュが二つ続くようで、正直もたれます。吉右衛門の長兵衛、仁左衛門の水野(綱豊卿が突然悪役になったよう)、芝かんのお時、すべて適役です。(但し、この芝居は苦手なのです。)
 幸四郎の黙阿弥物は、いつも何か違っている部分を感じますが、Fujisan様はいかがですか。但し、名作なのでそこそこ楽しめました。ただ、歌六、弥十郎とのバランス上の問題はありますね。

投稿: レオン・パパ | 2009年6月 7日 (日) 09時07分

レオン・パパ様
夜の部のご感想、ありがとうございます。
金太郎ちゃんは、舞台に突っ立っているだけだった2年前(2歳ですものね)からずいぶん成長したんですね。ビックリですよね、子どもの成長って。
「幡随長兵衛」はヒドい話で、私もそんなに好きにはなれません。悪役が勝ってもいいけれど、武士が卑怯なテを使うのは、どうも…。だからこそ、水野にはスッキリしたいい役者を使うんでしょうけれど(「綱豊卿が突然悪役になった」って、言い得て妙!!)
幸四郎さん、わりと積極的に黙阿弥に取り組んでいますよね。でも、私もちょっと違うなぁと、いつも思います。その人物の匂いが立ち上がってこないというのか、匂いが違うというのか…
「十二夜」初日に行っておりましたのでお返しが遅くなり、申し訳ありませんでした。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月 7日 (日) 18時00分

Swinging Fujisanさま

初めまして。
いつも楽しく拝見させていただいております。

わたしも初日に幕見で「女殺」と「連獅子」を見たのですが、
どうしてもあの仁左衛門さんの表情が忘れられず、3日目にまた行ってしまいました…happy02
楽日のチケットを取っているのですが、また懲りずに幕見で行ってしまいそうです。

まだまだ歌舞伎初心者dangerですがこれからも遊びに来させてくださいね!
よろしくお願いいたしますhappy01

投稿: あねご | 2009年6月 7日 (日) 19時47分

あねご様
はじめまして。
コメントありがとうございます!! 嬉しく拝読いたしました。
あねご様も早くも再見なさったのですねsmile あの仁左様のお姿、脳裏に焼きついているうえに、あちこちでポスターを見たりすると、もうたまらない気分になりますよね。私も千穐楽のチケットをもっておりますが、できたらその前にもう一度見たい…とは思うものの、実現しますやらthink

勝手なことばかり書き散らしておりますが、どうぞ、これからもお遊びにいらしてくださいねhappy01 よろしくお願いたします。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月 7日 (日) 20時45分

再びお邪魔いたしますm(_ _)m

今日のお昼過ぎにどど~っと戻りが出ていまして、しばらくリロードをくりかえすうちについに千穐楽も♪1等だったので悩んだのですが、えいっ!とばかりに購入してしまいました(^_^;
本当に最後の最後の与兵衛、しっかりと焼付けにまいります。

7月のチケット代まで使い込んでしまったからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2009年6月 8日 (月) 13時13分

からつぎ様
あらぁ、お昼過ぎに戻りが出たんですかsign03 いつも夕方なので油断しておりましたbearing
そうですよ、そうですよ、千穐楽、取らなくっちゃ(取れてよかったですね)。本当に最後の最後ですものね。私も千穐楽、しっかり目に、脳に焼き付けてこようと思っています。
moneybagがぴ~ぴ~いっております。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月 8日 (月) 13時37分

ふふ、私もつられて幕見してしまいました。いやあ、できるなら日参したくなりますね~。

投稿: urasimaru | 2009年6月 9日 (火) 21時51分

urasimaru様
でしょでしょ。帰ってきたら又すぐ見たくなっちゃいますよね~。ほんと、近かったら日参していたかも。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月 9日 (火) 22時18分

SwingingFujisanさま☆
こんばんは~♪
私も!!
やっちまいました!戻り券!
取ってから気づきました…明日、七之助さんの演舞場発売…!あ…
でも、仁左サマはもう一度見ておかないと☆ですよね!(できればさらにもう一回?)
そして梅枝クンも楽しみ♪です~

投稿: 七子 | 2009年6月19日 (金) 22時13分

七子様
こんばんは。
戻りが出て、よかったですね。もう8回しかないんですものね。私も、あと2回仁左様拝見の予定です。もうチケットは確保してあるのですが、戻っているとついついぽちっとやりたくなってしまいますcoldsweats01
明日は仁左様だけをご覧になるのであれば、演舞場のチケットを取ってからでも間に合いますよ(なんてことを言っては、他の演目を一生懸命演じていらっしゃる役者さんには申し訳ないですね)。
しかし明日のチケットはどの程度の混雑になるんでしょうか。今から緊張でドキドキしています。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月19日 (金) 22時28分

SwingingFujisanさま☆
こんばんは~♪
しつこくすみません><
再見できてよかったですっ!!前回は2列目で、ついつい仁左サマばかり見てしまいましたが、今日は17列。歌六さん、秀太郎さんに泣かされ、やっぱり孝太郎さん好きだなぁ♪と、じっくり味わう(?)ことができました♪(SwingingFujisanさまの足元にも及ばない、浅~い味わい方ですが><)
舞台写真も前回我慢したのですが、今日は買ってしまいました☆最後ですものね!
千穐楽レポ、楽しみにしております~♪

投稿: 七子 | 2009年6月20日 (土) 19時39分

七子様
こんばんは。お帰りなさい!!
全体が見渡せるお席で、お芝居そのものをじっくり味わうことがおできになった由、よかったですね。
仁左様はもちろん素晴らしいのですが、他の役者さんの良さがなければ仁左様の良さも生かされないのではないかと思います。まわりもいいから、お芝居としても見ごたえのあるものになっているんでしょうね。
味わい方は人それぞれですよ。私も勝手な味わい方をしていますものcoldsweats01
写真はどれも魅力的でしたでしょう。買わないわけにいかなくなっちゃいますよねぇ。私は明日又3階で見ますが、1階に降りないよう、心しておこうと思っています。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月20日 (土) 22時50分

SwingingFujisan様
本日、漸く昼の部行ってきました。「油地獄」の与兵衛は殆ど欠点のない、完成品ですね。この芝居を最初見たときの感動は、下座を使わず、竹本の太棹一丁(その不協和音のような音曲のすごさ)で殺しの場面を十二分に表現していたこと(歌舞伎の出しものでは珍しい)で、今回も仁左衛門、孝太郎の名演技の素晴らしいバックアップになっていたと思います。
あと他の出し物では、吉右衛門の放駒も今後二度とは見られないと思われる役(お手本のような演技)であり、感慨新たでした。
 楽日に何度目かの油地獄をごらんになるとのこと。またご報告ください。

投稿: レオン・パパ | 2009年6月21日 (日) 18時45分

レオン・パパ様
コメントありがとうございます。
今日のご観劇でしたのね。実は私も…smile 3階の後ろのほうで、花道はほぼ見えずでしたが、震えるような思いで見ていました。
竹本の太棹一丁、ええ、あれは見事ですね。あの殺しの場面にぴったり。不協和音風の音が実にうまく場を表していると思いました。仁左衛門・孝太郎+竹本による名場面ですね。
「角力場」については、私はまだその良さがよくわからないのです。吉右衛門さんの「お手本のような演技」を千穐楽にしっかり見なくては。
千穐楽を早く見たいような、いつまでも千穐楽がこなければいいような(仁左様に「勘弁してよ」と言われちゃいますね)複雑な気持ちです。

投稿: SwingingFujisan | 2009年6月21日 (日) 21時08分

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