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2009年6月21日 (日)

好奇心を満たす映画「ルーヴル美術館の秘密」

618日 映画「パリ ルーヴル美術館の秘密」
レイトショーのこれを見たくて、「夏時間の庭」の最終回を、演舞場に行く前に予約した、という映画である。

警備員の足音と懐中電灯の光が深夜のルーヴルに我々を案内する。以降、ルーヴルの裏側をたっぷり見ることができる。ナレーションは一切なく、淡々と働く人たちを映し出し、その会話が時々聞こえる程度である。
板で裏打ちされた巨大な絵がクレーンで吊り下げられ、ルーヴルの大きな窓から搬入される。搬入が終わって、バルコニーの外壁が閉じられたときには驚いた。つまり、あんな巨大な絵を入れるために、バルコニーの外壁に切れ目を作り、開閉できるようにしてあったのだ。こうした絵画を展示スペースまで運ぶのがまた大変。20人がかりくらいで慎重に移動させる。
ロールに巻きつけられて保管されていた巨大な絵画は、カビがはえており端のほうがぼろぼろと崩れてしまった。これから修復するのだろうか。
人の背丈ほどの彫像をヒモで縛り上げ、フォークリフト(かどうかわからないけど)のフォークを上げた状態にして吊り下げ、それを両側から人が支えながら運ぶシーンは、その彫像の表情とあいまってちょっとユーモラス。
膨大な数の絵画を11点、学芸員(なのかな)の指示どおりに展示していく作業は気が遠くなりそう。
そうした緊張の中にも楽しそうな時間がある。監視員の新しい制服の試着。太めのおばさんが嬉しそうにサン=ローランの制服に袖を通し、「似合う?」。ある男性はセーターで上着を着たら「セーターはダメだ。ワイシャツとネクタイをつけなさい」と注意を受けた。男性、困ったような笑いを浮かべて「ワイシャツはもっていないんです」。「ダメだ。ルーヴルの職員らしくきちんとした格好をしなさい」。すると男性、セーターを脱いで、なんと素肌に上着を着てしまった。そしてまた笑いを浮かべながらセーターを着た。
郵便物を運ぶ若い男性を追うカメラ。だんだん下に視線がいくと、おお、ローラースケートをはいているではないか。たしかに、あんなデカい建物の中をいちいち自分の足で走っていたのではたまらない。器用にスケートで動き回る青年の姿が微笑ましかった。
突然、銃声が響き、どきっ。音の残響効果を調べるとかで、たか~い天井に向けてピストルを撃っていたのだ。こんなことが行われていたなんて、想像もしなかった。

途中、この映画って一体いつ作られたのかと気になりだした。1990年の映画であった。1981年からルーヴルの大改装が計画され(だから、多くの美術品が倉庫から展示場へ運ばれてきたわけだ)、89年にはピラミッドがオープンした(ピラミッドの最上方の鉄骨を歩く作業員、ガラス拭き。高所恐怖症の私は見ているだけで膝ががくがく)。この大改装の一部を撮影したのがこの映画である。
当時、ルーヴルには1200人の職員がいたそうだ。直接美術にかかわる職員のみならず、消防士(消火訓練は面白かった。消化液の出るホースが重くておばちゃん、振り回されそうになっていた)、庭師、調理師(社員食堂がある)、さまざまな工事を行う人たち…現在では2000人以上の職員が働いているそうだ(職員のためのジムがあった!!)。
あの巨大な機構の内部をちょっとでも探検できて、楽しかった。
ちなみに、この映画の監督は、私のベスト3映画(ベスト3がたくさんあるね、って言わないで)のひとつに入る「僕の好きな先生」の監督、ニコラ・フィリベール。うんうん、という感じである。
<上映時間>85分 626日までのレイトショー。21102235(予告編なし) 詳細はテアトルシネマで。
おまけ:テアトルシネマの座席はJ列が狙い目。

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