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2009年7月 8日 (水)

「五重塔」再見

77日 七月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
昨日、父のCT検査に行った病院で、待ち時間に携帯でアクセスしたWeb松竹(ちゃんと、携帯許可区域でやりました)。紆余曲折の約15分を経過してもまだ残っていた1階最前列を「7日はまだちょっと早い」と迷いながらもゲットscissors そうしたら帰宅直後、父が転んでケガをして、うわあチケットぱぁ~かshock でも幸い自宅の手当てで大丈夫そうな傷だったので、無事観劇してきました。
「五重塔」
海老ちゃんの公子さまはいつでも見たいにきまっているのだけど、こちらはやっぱりもうちょっと煮詰まってからにしたかった。
勘太郎さんのうまさがダントツで光る。十兵衛のあまりの頑なさに、苛立ち反発する気持ちも湧いたほどだったが、大ケガをおして普請場に出かけようとしたとき、そんな体で絶対に行かせないと必死のお浪に対する心情吐露に、初めて素直にこの実直な大工十兵衛を全面的に受け入れることができた。恐らくお浪も夫の本当の気持ちを知ったのはこのときではないだろうか(着替え、初日は手間取っていたが、今日はスムーズにいった)。お浪さん、本当にいいおかみさんなのだ。
勘太郎さんは本当に勘三郎さんにそっくりだ。私のまわりでも「似ているねえ」という声があちこちから聞こえてきた。
獅童さん。早くも初日よりヒートアップしていて、たとえば弟子の清吉を叱る場面。恐らく本来のセリフどおりにガンと叱った後、アドリブでさらにしつこく迫る。そういうのは笑いを誘うけれど、必要ないんじゃないかな。松竹座の「油地獄」で豊島屋七左衛門をやったときも、お吉と与兵衛の仲を疑って、本来のセリフの後に与兵衛を「しっしっ」と追い払っていた。そういう演技がその人物像を少し歪めそうな気がする(というか、そこだけ演じている人物じゃなくて獅童さん自身になってしまっている)。
それから、十兵衛と話をしようとしているところへしゃしゃり出るお浪を叱る声もドスがきいていて怖かった。そこまでしなくてもsad(初日はそんなじゃなかった)。全体に凄みが強くなっていて、それがよけい大工の棟梁らしさを失わせている感じがした。何かもう一味ほしい。
ただ、もしかしたら、源太という人はそういう人であって、だからこそ十兵衛が日ごろの感謝をしながらも譲れない部分があったのかしら、なんて思ったりもした。
って、悪いことばかり書いているみたいだけど、すっきりしたカッコよさは抜群heart04 それに、落慶式前夜の嵐の中で喜びを爆発させる場面は感動的だったし、落慶式での態度は棟梁らしさがあって立派であった。

ここで1人、いいなあと思った役者さんを挙げておきたい。それは五重塔普請場近くの茶店の婆さんを演じている坂東玉之助さん。気の荒い大工たちを相手におろおろしたり、十兵衛に同情したり、おっとりした優しさが感じられて、応援したくなる。にしても、玉之助さんの写真ってcoldsweats01

初日に、場が転換と物語の進行が結びつくかというような疑問をもったが、今日はその答えが何となくわかったような気がした。ケガをおして普請場へ向かう十兵衛を玄関先で見送るお浪が、かごめかごめの子供たちの「できた」という歓声を聞く。そして十兵衛の後姿に「おまえさん、できたって」としみじみ微笑みかけると、十兵衛が「そうか、いい辻占だ」とこちらもしみじみ微笑み、凛然と歩き出す。この「できた」が次の落慶式前夜につながるわけだ。反発していた大工たちが十兵衛の意気に感じたということが暗に察せられるわけだ。なるほど、これなら違和感ないかもしれない。
また普請場そのものは出てこないが、場面転換の一部を客に見せるやり方が大工の世界の話を象徴しているように思った。
落慶式前夜、嵐の中での和解がよい。爽やかだ。この時の十兵衛の自信に満ちた態度も好もしい。
落慶式で「感応寺生雲堂、江戸の住人十兵衛これを作り、源太郎これを成す」と書かれた制札を、十兵衛と源太がそれぞれ声を出して読む。たしか初日は十兵衛が「しょううんどう」と読めなくてつっかえつっかえだったような気がしたが、今日はすんなり読んでいた。私の記憶に間違いがなければ、自分が作った塔の名前くらい読めないのはおかしい、ということになったのかもしれない(大工を統率できないでいるときに、十兵衛が「棟梁」という字を読めなかったと笑われる場面がある。それで十兵衛の無学なところが強調されていたのだろう、と初日は思った)。
しかし…私の記憶はじつにあやふやだcoldsweats02 というのも、五重塔建設が十兵衛に決まったのは源太が自ら身を引いたと思い込んでいたのだが、そうではなくて、朗円上人が決めたことだったのだ。と、今日わかったから。何やってるんだろ、私wobbly
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本日の蓮華の花びらと本物の蓮。09070802hasu

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コメント

本日行ってまいりました。
いつもながら、本筋からちょっとはずれたところへのレスで申し訳ない(^_^;
坂東玉之助さん、大好き!実は先月の「女殺油地獄」の茶店の場で「この方素敵♪好きだわぁ」と思ったのです。そして今月も優しいお役で登場(^-^)
この写真、何年(何十年)前から同じでしょうか>にしても、玉之助さんの写真って
戻りが出ていて、8月の演舞場チケットゲットなったからつぎでした(^-^)v

投稿: からつぎ | 2009年7月 9日 (木) 17時21分

からつぎ様
いえいえ、いつも色々な話題で楽しくお話できて、嬉しく存じております。
玉之助さんは、筋書きのお写真があまりにインパクトが強くて(ホント、いつのお写真なんでしょう)ずいぶん前から気になってはいたのですが、ここで触れるのは初めてかもしれません。上品で声もきれい、なんとも優しい感じがいいですよね。
ベテランの女方さんの味というのは格別なものがありますね。

8月演舞場、急いで見ました。昼間、それこそ演舞場に行っていたので出遅れました。でもとりあえず2回分確保していますから、慌てずに待ちますわ。今月の夢よもう一度、ラッキーな席が出てくるかもしれませんものsmile

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 9日 (木) 18時18分

SwingingFujisanさま☆
たびたび失礼いたします♪
遅ればせながら、今日、昼の部にまいりました。
本当に勘太郎さん、よかったです!泣かされました~。お父様に似ているけれど、でもまた違った良さがありますよね!
それと、私も茶店のお婆さん、いいな、と思って、このレポ読み返したので、嬉しくなりました♪あの方が玉之助さんなのですね!お写真は以前から印象に残っておりました…あは。

投稿: 七子 | 2009年7月22日 (水) 19時56分

七子様
コメント、ありがとうございますhappy01
「五重塔」はだいぶ進化してよくなっていたでしょうか。私は2回目も早く見すぎましたので、千穐楽にもう1回見たいと狙っていますが…。
世渡りの下手な、でも真っ直ぐな十兵衛に、勘太郎さんはぴったりでしたね。春猿さんのお浪も、勘太郎・十兵衛のそういうところに惚れているのかもしれませんね。
玉之助さんったら、あの顔写真からは想像もつきませんよね。七子様も目を留められたと知り、嬉しく存じます。

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月22日 (水) 21時00分

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