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2009年7月10日 (金)

ガブリエル・シャネル

79日 「ガブリエル・シャネル」(新橋演舞場)
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人の女性の生き方をエンターテインメントとして描いたら、こういう仕上がりになるんだろうなと納得できる作品だった。ただし、それは大地真央という稀代のコメディエンヌを得ての結果ではないだろうか。
姿は美しく(凛としている)、衣裳の着こなしが見事で、歌は当然ながら素晴らしく、12歳から71歳までを自在に演じる大地真央は宝塚にさほど関心のない私でもとても魅力的だと思う。とくに15年の沈黙の後に作品を発表し酷評された失意の71歳は、震えるほど素敵だった。相変わらず美しく、しかし71歳という年齢を、歩き方や動き、声のトーン、話し方などで表現し、失意と孤独感とそれをバネにする強さを後姿で見せていたこの時の大地真央=ガブリエル・シャネルが私には一番光り輝いて見えた。
考えてみれば、私はシャネルの人となりとか一生というものをほんの上辺しか知らない。第一、1883年(明治16!!)生まれだなんて考えてもいなかった。つらい少女時代をすごし、封建的な社会にあって「働きたい!!」と強く願うガブリエルの生き方がなかなか理解を得られなかったのは当然だろう。ガブリエルはいつも「1人で闘っている」と言うが、彼女を支える人たち――年下の叔母アドリエンヌ(彩輝なお)、妹アントワネット(華城季帆)の存在がどれほど大きかったことか。71歳、失意のガブリエルを心配して、孫をダシにアドリエンヌが訪ねてくるシーンは美しくて悲しい。「心配しないで、私は大丈夫よ」と笑顔で叔母を送り出したガブリエルは、1人になると泣き伏す。ガブリエルの全てを知るこの叔母の存在でさえも彼女の慰めにならなかったのか、叔母の訪問が逆に彼女を傷つけたのか、あるいは叔母の気持ちが嬉しかったのか。
ガブリエルを支えた最大の人物はイギリス人のアーサー・カペル(今井翼)。
今井翼、ただのアイドルだと思っていたが、見識のなさ、平にご容赦というところである。私生児であるが故の苦悩がこの青年に与えた陰と落ち着きを今井翼はしっかり身につけていた。またあの若さで包容力も擁しているのは見事だ。声がきれいだからセリフもきれいに聞こえるし、歌もよい。大地真央とのデュエットは、ミュージカルの定番な感じだが(この芝居、歌が11曲入っているそうだが、ミュージカルではないとのこと)、ロマンチックである。翼クンと大地真央のラブシーンを見て、海老ちゃんと私が共演したってOKだな、なんてニヤついた(はは、いくらなんでもラブシーンなんて考えてませんよ。あくまで芝居をするなら年齢的にOKかな、と妄想してみただけ。読み捨ててbleah)。
ガブリエル・シャネルの生き方を見ていたら、エディット・ピアフに重なった。違う部分のほうが大きいのに、どこかに共通点があるような気がする。愛する人の死に打ちのめされ、不死鳥のように立ち上がるあたりもそうだろうか(ちなみに、ピアフという名は、彼女が歌っていたキャバレーのオーナーがつけた「雀」と言う意味の渾名からきているが、シャネルのココという愛称も彼女が一時期カフェで歌っていた歌に由来するらしい)。
シャネルはまたスカーレット・オハラをも連想させた。そういえば、大地真央はスカーレットをやったことがあるんだっけ?

芝居は、1946年、63歳のガブリエルが閉じこもるスイス・サンモリッツのホテルの一室から始まる。ここで彼女の回想をエドワール(葛山信吾)という売れない作家が書き留め、狂言回しとして舞台を進行させるという作り。ガブリエルの63歳までの生涯を振り返った後に、71歳の再出発失敗を彼女の未来として見せるのである(フランスでは酷評されたが、彼女のデザインはアメリカで広く女性の支持を受け、その後の人気確立となる)。そして、場面は再びホテルの一室、すなわち芝居の現在に戻って終わり。
途中、ちょっと眠くなる場面もあったが、全体としては歌が入っていて楽しかったし、面白く見られた。私もシャネル・スーツが着られるような体形にならなくてはbearing


カーテンコールは2回あった。第一幕第一景から始まる景名と役者名が書かれたプログラムのページで、第二幕第十景の後に「カーテンコール」と印刷されていることから、カーテンコール込みの公演であることがわかる。舞台もカーテンコール用に設えられていた。大地真央さんもお姫様ドレスみたいな衣裳で登場した。その<込み>のカーテンコールのあとも拍手が鳴り止まず、もう1度幕が開いた。2回目はスタンディングオベーションがみられた。
<上演時間>第1幕80分(13時~14時20分)、幕間35分、第2幕85分(14時55分~16時20分)
昼の部の開演時刻は12時と13時の2種、夜の部は17時、18時、18時30分の3種があるのね。お間違えなくcoldsweats01
おまけ1ガブリエルの交友関係がすごい。ジャン・コクトー、レイモン・ラディゲ、ポール・ヴァレリー、マルセル・プルースト、エリック・サティ、パブロ・ピカソ、ヴァーツラフ・ニジンスキー、イーゴリ・ストラヴィンスキー、セルゲイ・ディアギレフといった錚々たるメンバー。うらやましい。
おまけ2今年はシャネルものが目白押しで、このガブリエルのほか、ルテアトル銀座では鳳蘭の「COCO」が上演されている。映画もシャーリー・マックレーン、オドレイ・トトゥ、マリナ・ハンズと3本が公開を待っているらしい。なぜかといえば、2009年の今年は、シャネルが初めてパリにアトリエを開いた1909年から100年経つんだそうだ。
おまけ31913年にシャネルが店を出すドーヴィルは、映画「男と女」の舞台となった町でもあり、私はそこのボードウォークに憧れている。一度行ってみたい。

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コメント

SwingingFujisan様のガブシャネの記事、「待ってましたぁ!」。12歳のマオさん(もとい、ガブリエル)も、71歳のマオさんも、それぞれ極端にチャーミングでしたよね! 12歳のガブリエルは、マオさんの「コメディエンヌ」の部分で魅せてらしたけど、71歳のガブリエルは本当に素晴らしく、「芝居」の力と、私も思いました。71歳になっても尚、強く、またチャーミングなガブリエルと、孤独感とが、見事に同居してました。翼クンが若々しく、それがかえってガブリエルのなかに生き続けるアーサーと重なりましたね。
あ~、あの夢のようなダンスを思い出しました…♪

投稿: はなみずき | 2009年7月10日 (金) 06時25分

はなみずき様
おはようございます。
私も見てまいりましたよ~notes
あんまり長くなってしまうのでここには書きませんでしたが、12歳の真央さん(同じくもとい、ガブリエル)、とってもとっても可愛かったですね。年齢の変化の表現が丁寧で、どの年齢でも素敵でした。
アーサーがいつまでもガブリエルの中に生き続けている…ええ、おっしゃるとおり、翼クンの若々しさが重なりますねshine 私は2人の海辺でのロマンチックな場面では「サウンドオブミュージック」のSomething goodが歌われるシーンを思い出していましたcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月10日 (金) 08時26分

私も4日に観て参りました。
皆さんと同じで10代と70代の真央さんが印象的でした。
翼さんも真央さんに位負けしない大きさを感じました。
初めてみましたが、なかなかの俳優ですね。
再演を期待できる舞台と思います。

投稿: うかれ坊主 | 2009年7月10日 (金) 20時30分

はじめまして!
翼くんファンのものです。
記事を読ませて頂き、ありがたいお褒めの言葉があったので書き込みさせて頂きました!
ありがとうございます!(^^*)

投稿: れな | 2009年7月10日 (金) 22時42分

うかれ坊主様
コメントありがとうございます。
うかれ坊主様もこのような芝居をご覧になるのですね(失礼いたしましたcoldsweats01
実年齢と離れた役はとかくわざとらしくなりがちですが、真央さんは天性の可愛らしさとユーモア、そして演技力で見事に年齢を乗り越えていましたね。
翼クンは私も「タッキー&翼」程度でしか知らないのですが、こんなしっかりした芝居ができるとはビックリしました。
この舞台を見たら、ブランドにはほとんど関心のない私も、シャネルを1着ぐらい着てみたいという気持ちになりましたsmile

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月10日 (金) 22時44分

れな様
はじめまして。
記事をお読みいただきまして、またコメントをくださいまして、ありがとうございます!!
翼クンのことはほんと申し訳ない、先ほども書きましたが「タッキー&翼」で知っている程度なんですよ。辛い過去があっても包容力をもって真っ直ぐに生きているアーサーの姿に、翼クンの大きさを感じました。
翼クンが素敵だから、れな様のような素敵なファンがいらっしゃるのでしょうねhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月10日 (金) 22時57分

自分では守備範囲は広くとは思っていろいろ観るようにしていますがとかく周囲からは「歌舞伎」「歌舞伎」といわれ、ちょっと困っているのも事実です。まぁあまりそのことについて否定するのも疲れますのでそのままにしているのですが・・・先入観って仕方ないですものね。自分も相手を同じレベルで見てしまっているわけですから・・・
真央さんの舞台が好きで良く観てました。最近はちょっとご無沙汰でしたが。
90%以上女性で私のような男性の「単騎」はごくごく少数でしたね。
孝夫(当時)さんと演舞場で共演した「羅因伝説」が「初真央」です。亜門演出の「エニシング・ゴーズ」の初演が私の中の「ベスト真央」です。
今日(7/11)は「ザ・ダイバー」の前売日。平日夜で取りましたが、「レ・ミゼ」の方がなかなかつながりません・・・

投稿: うかれ坊主 | 2009年7月11日 (土) 13時38分

うかれ坊主様
うかれ坊主様が歌舞伎だけでなく色々ご覧になるのは存じておりましたが、こういったものまでとは思いませんでした。大変失礼いたしました。
歌舞伎以外にも素晴らしい作品はあり、魅力的な役者さんはいらっしゃるわけですから、私も守備範囲は広いほうがいいと考えます。ただ、歌舞伎をリピートするせいもあって、広げすぎるとスケジュールと資金が難しくなるので…。
「ガブリエル」はおっしゃるように大半が女性、男性はぽつりぽつりでしたね。
真央さんのお芝居は今回が2度目という初心者ですので、ほとんど何もわかりませんが(私の初真央は「紫式部ものがたり」オーラが1人違っていました)、「羅因伝説」は見たかったなあ。
うかれ坊主様がベスト真央とおっしゃる「エニシング・ゴーズ」も機会があったら見てみたいと思いました。
「レ・ミゼ」チケット確保できますように。

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月11日 (土) 14時29分

「レ・ミゼ」なんとかpm3過ぎにつながりました。(ご心配かけました)
山口さんの土日はすでに完売でしたが、平日で初日の夜があったのでA席の端っこでしたがゲットしました。あと今井さんのバルジャンも好きなので土曜のB席を1枚。
初演以来、東京公演は1回以上行っていたのですが、前回の公演では取ることできず、久しぶりです。
ミュージカルの「忠臣蔵」というべき「レ・ミゼ」。今から楽しみです!
明日は三津五郎さんを観てきます。こちらは観られますか?坂手洋二さんの作品好きなので興味津々です。

投稿: うかれ坊主 | 2009年7月11日 (土) 17時53分

うかれ坊主様
チケット確保、おめでとうございます。
山口さんはやはり人気が高いのでしょうね。「レ・ミゼラブル」は少年少女向け全集で何度も読み返したものですが、ミュージカルは一度も見たことがありません。一度くらい見ておこうという気持ちはあるのですが、歌舞伎座通いが忙しく、なかなかそちらまで手が出せなくて。
同じ理由で、かなり興味をもっていた「鵺」も諦めました。
毎月、こんな状態なんですよcoldsweats02
「鵺」のご感想、よろしかったらお聞かせくださいませ。

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月12日 (日) 01時27分

SwingingFujisanさんがミュージカルを観たことないというのは意外ですね。私もそんなに観てませんが「レ・ミゼ」「ラ・マンチャの男」「オペラ座の怪人」がBEST3でしょうか。あと「音楽座」のファンです。一度観ると抜けられなくなりますので、あまりお薦めはしません。
さて「鵺」ですが、前評判があまりよくないのでそんなに期待しないで観ましたが、坂手さんらしいといえば「らしい」作品で、私はこういうの好きです。当然のことながら劇団「燐光群」のファンでもあります。田中裕子さんとたかお鷹さんが達者な演技。映画中心の俳優さんの台詞が弱いのが残念でした。「腹から声だせ」と言いたくなりましたね。三津五郎さんの演技は少なくとも6月のコクーンの勘三郎さんのそれより作品にマッチしていて、確かなものでした。(変な比較ですね。)
(PS)戌井市郎さんが観にきていらっしゃいました。大正5年生まれの文学座の重鎮です。頭が下がる思いでした。(長々と失礼しました)

投稿: うかれ坊主 | 2009年7月13日 (月) 21時32分

うかれ坊主様
「鵺」はどこかであまりよろしくないと読んだように思いますが、三津五郎さんをはじめ、田中裕子、たかお鷹という芸の確かな出演者はちょっと魅力でした。映像系の俳優さんは舞台に出ると、一般にセリフに難がありますね。演出家もそこには気づいているんでしょうに、直せないのでしょうかしらね。
でもうかれ坊主様がご覧になってお気に召したのは、Webでお喋りする同好の士として嬉しく存じます。
勘三郎さんとの比較、わかります。私はそれなりに楽しみましたが、あの役が勘三郎さんである必要はなかったなとも思います。

音楽(歌)の入る芝居を全てミュージカルと言うなら、かなり見ておりますが、多分それらはミュージカルと謳ってはいなかったような…。ミュージカルは、映画は大好きで昔よく見ました。でも芝居は…ああ、そうだ、そういえば「壁抜け男」を見ましたっけ。音楽座の名前が出たので、「リトル・プリンス」を見たことも思い出しました(感動してCDを買いました)。あ、イッツフォーリーズの「天切り松」も。あら、そうしてみると、案外見ているのかもしれませんね (^-^; ミュージカルは確かに楽しいですもの、はまらないように気をつけます(笑)。

戌井さんって、そんなにお年を召していらしたのですか!! 

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月13日 (月) 22時09分

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