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2009年7月 4日 (土)

海神別荘

73日 七月大歌舞伎初日昼の部(歌舞伎座)
「海神別荘」
3
年前に見た時より、話の内容がよくわかったような気がした。
玉三郎さん演じる美女が、貧しい家の娘だったというのにびっくりした。この女性に名前はなく、ただ美女という役名だし、玉三郎さんがあまりに高貴だから、そういう出だとばかり思っていた。これはこの物語でとても大事なことなのに、前回は気がつかなかったのだろうか、それとも忘れちゃったのだろうか。しかも、貧しいから父親が金銀財宝を得るかわりに娘を犠牲にしたのだが、前回はそういう取引なく公子に強引に連れてこられたのかと思った、ような気がする。貧しいから美女は俗世の欲望からなかなか解脱できなかったのだ。それを思えば、美女が今の境遇を地上の村人に見せてやりたいという気持ちはよくわかる。
で、話の内容がわかったから、非常に面白くみることができた。流れるようなセリフの中、僧都が喋っているときに少し眠りかけたが、よく聞いていると、セリフもけっこう面白い。案外のめりこむことが出来た。公子が「大経師昔暦」の物語を美しいと思う心(私はそうは思わないけど)、八百屋お七を大好きだという心がピュアで好きだ。
だが、私が本当に惹きつけられたのは海老ちゃんの美しさheart04 3年前も間違いなく美しかった。だけどあの時はもっとぎらぎらした感じがあったように思う。今の海老ちゃんは静謐で、この世にこんな美しい男がいていいものだろうか、とため息が出るほど美しい。もう目が離せないlovely
歌舞伎にしても他の芝居にしても、化粧が海老ちゃんの大きな目をさらに強調したり、あるいは逆に控えめにしたりするものだが、この海老ちゃんの目は、海老ちゃんの目そのものであり、しかもそこに湛えられた光のやさしいこと。美女を見る目は愛情に溢れ、美しい。愛すればこその怒りにも哀しみが籠められているようで、切なく感じた。
最近海老ちゃんのオーラは薄れたような気がして寂しかったが、オーラ完全復活shine強引に引っ張るようなオーラではなく、光の輪で静かにあたたかく包むようなオーラだ。

前回と同じ天野喜孝による美術は幻想的で、海の底の感じがよく出ている。美女を乗せた白龍馬の動きもゆらゆらと水中をイメージさせる。ハープの生演奏って、前回もあったっけ(覚えていることもあるけど、だいぶ、色々なことを忘れている)。

そうそう、ハプニングがあった。美女を待つ間、公子が時間つぶしに侍女たちと道中双六を遊ぶ。海老ちゃんがサイコロを転がして進行するのだが、何回か転がしているうちに勢いあまってサイコロが舞台から客席に飛び出してしまった。それは私よりやや向こうに落ちたのだが、瞬間「こっちへ落ちろ~bearing」と念を送ってしまった。残念ながら念は届かなかった。でもそのときの海老ちゃんの「あっ」という顔、どうしようと戸惑いながらもイタズラっぽい笑みを浮かべ、差し出されたサイコロを受け取るその顔のかわいいことheart04 ああしたお芝居で本来あってはいけないハプニングかもしれないけれど、たまらぬ魅力にめろめろになってしまったheart01
自分としては気乗り薄だった(だから1回しか予定しなかった)「海神別荘」がこんなよかったなんて。う~ん、何とかしてもう一度見たい。

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コメント

わたくしめは海神別荘@3階だけでしたが、昨日ご一緒だったようです(^^) 美女が貧しい家の娘っていうのはわたしも見逃して(聞き逃して)いましたcoldsweats01 だったら、あの美女のリアクションがよく理解できます。

公子様はとても気高くピュア。わたしが好きなところは、鎧を付けた公子様を見て美女がこわがったときに、鎧を解いても解かなくてもいいだろうというくだりheart04もうメロメロ。

五重塔を見損なったので、昼の部ももう一度行く予定ですが、Web松竹もうまっかっかですね。こまめにチェックしなくっちゃですわんhappy01 

投稿: kirigirisu | 2009年7月 4日 (土) 11時42分

kirigirisu様
ほんと、ご一緒だったのですね。
あの美女は、どう見ても貧しい家の娘とは思えませんものね。高貴な容姿と話している内容がそぐわないのが面白いと思いました。
私も鎧のくだりは好きです。あなたなら、鎧などに関係なく、どこまでもついていきますheart02って感じです。
Web松竹をチェックしていると、けっこうぽちぽち出てきていますよ(夜のほうが人気があるかと踏んだのは間違いでした)。さっきは1階最前列のめちゃくちゃいい席が出ていましたが、残念ながらその日は予定が入っていて、涙をのみました。moneybagを無視しても、海老ちゃんのあの美しいお顔をもう一度そばで見たいのですぅlovely 
五重塔もぜひご覧くださいね。

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 4日 (土) 12時11分

いつにも増して、heart04マークが多いですね(笑)(コメント欄を含めて…!)。でも、お気持ちわかりますぅ~。私も、チラシを眺めているだけで(そして舞台を思い出したり、想像したりするだけで)、lovelyな毎日ですから~! 私も早く、公子さまと美女さまのキラキラオーラを浴びたいですわ。上演時間等のご報告も、ありがとうございました~!

投稿: はなみずき | 2009年7月 4日 (土) 21時55分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
年甲斐もなく、公子様のオーラにheart04だらけになってしまいました。そばで見たせいか、海老蔵さんの美しさだけでなく、目の優しさに心惹かれました。まさに「海神別荘」の公子そのものという感じの海老蔵さんでした。

昼夜通しでご覧になられるのでしたら、間にKen'sさんでゆっくりおできになりますねhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 4日 (土) 23時31分

Fujisan様
 私は昨日、夜の部を見てきました。昼の部観劇は中日過ぎですが、ご報告拝見し、期待しています。ご指摘のとおり、海老蔵は最近、野性味が薄れてきているように思いますが、逆に歌舞伎の本来の枠の中に入ってきているように思いました。
 夜の部「夏祭」は、予想どおり、海老蔵の見得の立派さが際立っていました。上方の味が感じられないとの声もあるかもしれませんが、海老蔵のスター性の前には、そのようなことは吹っ飛んでしまいますね。他では、猿弥(猿之助によくにています。)、市蔵が実年齢と役とのギャップを埋める熱演でした。
 「天守物語」は、文句のつけようのない完成品。若い時からの当たり役を完璧に演じる玉三郎は眼福です。他の子役にいたるまで各役(これ以上の適役はない海老蔵はじめ、どの演者も素晴らしい)に、玉三郎の美意識が感じられました。2日目でこの完成度は立派の一言です。
(Fujisan様のレポの前に書き込んで申し訳ありません。そうそう、Fujisan様の喜びそうな話を一つ。長い幕間を利用して、歌舞伎座裏の「築地銀だこ」で鯛焼き(ここは一個150円で安い。)をお土産に買いにいったのですが、歌舞伎座脇道路で2~30人ほどのひとだかり、何かと思ったら、大勢の大道具方が夏祭りの泥田の敷き幕、ほか道具を一生懸命、水洗い・泥おとしをしていました。こういう、裏方のご苦労をみると、早く歌舞伎座を立て替えるべきだと思いました。)

投稿: レオン・パパ | 2009年7月 5日 (日) 08時43分

レオン・パパ様
おはようございます。コメント、ありがとうございます。
レオン・パパ様とは逆に私は夜の部が中日過ぎ(ほぼ中日かな)になります。海老蔵さんの「夏祭」は初めてですし、昼の公子とはがらりと変わった役をどう演じるのか、楽しみにしていました。「天守物語」も「夏祭」も、レオン・パパ様のご感想を拝読したら、もう早く見たくてウズウズしてきました。
海老蔵のスター性の前には上方味に欠けることなど、吹っ飛ぶ。よくわかります。これまでにも、海老蔵さんの個性、オーラはさまざまな欠点(欠点と言っていいのかどうか)を吹き飛ばしてきていましたもの。歌舞伎の本来の枠の中に入ってきて、なお枠からはみ出す、稀有なスター性だと思います。

歌舞伎座脇の道路では時々裏方さんが休憩をしていますね。私も時間のあるときにはあの辺を歩き、扉があいていたり、大道具の出し入れをしているのに出くわすとラッキーとばかりに、でも遠慮がちに覗き込みます。ガードレールに大道具さんのシャツなどが干してあることもありますが、道具の水洗いまで道路でしていたのですか!! というか、道具を洗っている裏方さんがいることに思いが至りませんでした。芝居を見ているときは夢中になって忘れてしまうかもしれませんが、終わったら裏方さんのご苦労を噛み締めたいと思います(先月の花道や舞台の掃除も大変でしたでしょうね)。
情報、ありがとうございました!!(鯛焼き情報もsmile

投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 5日 (日) 09時31分

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