「海神別荘」再見
7月7日 七月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
「海神別荘」
猿弥さんの急病による休演という緊急事態発生で、どうなることかと思ったが、全体には感動的ですらあり、だからこそのカーテンコールだったのだと思う。
猿三郎さんは急な代役、それも僧都という重要な役で鏡花のあのセリフを一夜漬けで覚えろというほうが無理な話。ともかく頭の中にあるセリフを丁寧に引き出して追っているという感じで、時々つっかえもしたりはしていたが、まずは何とか乗り切って、こちらはほっとした。がんばれ、猿三郎さん!!
さて、公子が登場するシーン。舞台中央の柱(かな?)の真ん中が割れ(開き)、そこから光に包まれた公子が飛び出してくる
まさに光のオーラ発散といったその場面の美しさといったら、もうそれだけで公子様の虜になってしまう
それに、目の前でさぁ~っとマントを翻させられてごらんなさい、あなた(公子様のセリフに「あなた、おい、あなた」というのが2度あって、これはちょっと笑えた)。
になるしかないでしょう![]()
公子様のセリフはもちろん、その他の人々のセリフも、よく聞いていると興味深い(そのかわり、よく聞いていないとわからない。そういうセリフもたくさんあった)。
途中はすっ飛ばして、ラスト。美女が公子に殺されんとするその寸前、美女は公子の気高い美しさに気がつく。初日はそこがあまり心に響いてこなかったが、再見の今日は、美女のこの気持ちがとてもよく伝わってきた。
「その顔のきれいさ、気高さ、美しさ。目の涼しさ、眉の勇ましさ。初めて見ました。位の高さ、品のよさ。もう故郷も何も忘れました」
このセリフに私はひどく心を打たれ、美女の思いに涙が出るほどだった。
ところが、おっと、ここでなぜか客席に笑いが
玉様が一言公子を讃えるたびに笑いの漣が押し寄せる。え? 何かおかしい? 感動にひたっていた私はちょっと焦ってしまった。海老ちゃんがあまりにストレートにその賛辞どおりだったからおかしかったのかな![]()
海老ちゃんの目は絶対初演の時と違う。化粧が違うのかもしれないけれど、目の光も違うと思う。初演のときはもっと鋭かった。今の目は限りなく優しい光に満ちている。でも、今日の怒りは初日に比べて激しかったような気がする。初日の怒りには哀しみが籠められていると感じたが、今日は本当に怒っていた。怖かった。
玉様は、洋装だとそれほどきれいだとこれまで思わなかったのだが、今日はとても美しかった。この美女を演じられるのは玉様を措いていないと思うし、美しく気高い公子を何の衒いもなく演じられるなんて海老ちゃん以外に考えられない。
2度見ることができてよかった。かなり満足した。本当はできたらもう一度見たいところだが、見るとなったら次もやっぱり最前列、と贅沢を言ってしまいそうだから、腹八分目のここらでやめておこうと思う。
追記:娘の身代として贈ったさまざまな贈り物のリストを僧都が数え上げる場面がある。猿三郎さんは百科事典のように分厚い記録帳を読み上げていたが、猿弥さんは諳んじていた(初日の舞台でのそこまでは覚えていないが、初演の録画を見たらそうだった)。猿三郎さんが書いたものを見ながら読み上げているシーンはとても自然だったから、何の違和感ももたなかったし、この急遽の策にちょっと安心もしたのであった。
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コメント
初めまして!前々から拝見させていただいていました林檎と申します。
」と声が出てしまいました。玉様と並ぶとこれまたまばゆいばかりの美しさ☆
SwingingFujisanさんも海老様好きということで勝手に親近感を覚えておりました♪
私も昼の部は5日に早速カンゲキして、公子様にウットリ。。。
しかもあの登場シーンはおっしゃるとおりもうオーラ全開!!!
この世のものとは思えぬ美しさで思わず「うわぁ
夜の部もますます楽しみ!ただ、鏡花先生の作品はセリフの音が美しすぎるうえに皆さんが割とゆったり言うせいか、睡魔〜の誘惑が強すぎて抵抗するのに大変でしたが
それにしても猿弥丈が休演とは、心配です。。。
あの代役はそうとう勉強になりそうですね。
今後もオジャマさせていただくと思いますので、よろしくお願い致します!
投稿: 林檎 | 2009年7月 8日 (水) 22時03分
林檎様
はじめまして。コメント、ありがとうございます!!
林檎様も海老ファン、親近感を抱いてくださって嬉しく存じます。気の多い私ですが、海老蔵さんは特別な存在、スーパースターです。
玉様と海老様、この世のものとは思えぬ美しさでしたね。それでいて2人の世界には現実的な面も感じられ、それは鏡花のセリフによるのかなぁと思ったりもしました。
鏡花先生のセリフが睡魔を誘う--ですよねえ。私も初演時の苦い経験から、今回は前日睡眠を十分取るようにしました。それでもところどころ記憶から抜けてしまって…
猿弥さんの1日も早いご回復を祈るいっぽうで、猿三郎さんがこの代役でステップアップされたら、嬉しいことです。ご自身のブログによれば、6日の「五重塔」終了後指名を受けたのだとか。45分の幕間でセリフを覚えられたのでしょうが、それだけでもすごいことですよね。
仕事で外出(たまには仕事もするんですよ)、帰宅が遅くなったうえにネットの調子が悪くてレスが遅くなり、大変失礼いたしました。
こちらこそ、どうぞこれからもよろしくお願いいたします
投稿: SwingingFujisan | 2009年7月 9日 (木) 02時09分
レスは全然遅いなんて思わなかったので、お気になさらないで下さい〜!お時間が空いた時にでも読んでいただけたら嬉しいです
そうそう私も同じく気が多いのですよ〜!歌舞伎役者さんは素敵な方が多いのでしょうがないですよね
それにしても幕間45分で覚えたとはオドロキです!普段から他の人の芝居でもちゃんと見ておけと役者さんが言われるのは、こういう時にも生きる事ですよね。色んな方が色んなお役をやってくれるとそれも楽しくていいですね
投稿: 林檎 | 2009年7月10日 (金) 00時44分
林檎様
ありがとうございます。今月も芝居に出かけていることが多いので、もしこれからもコメントをいただけるようでしたら、「あ、又芝居見ているな。あ、それともたまの仕事かな」と思ってくださいませね
ね、ね、歌舞伎役者さんて本当に素敵な方が多いですよね。私なんか、ついつい年甲斐もなく
になってしまいます。
猿三郎さん、最初の日はどのようになさったのかわかりませんが、幕が開くまで45分、そこで覚えるしかありませんものね。人間の能力ってすごいですね!!
投稿: SwingingFujisan | 2009年7月10日 (金) 03時33分
SwingingFujisanさま☆
ホントにしつこく失礼いたします><
でも、どうしても、今日はSwingingFujisanさまにこれだけはお話ししたくて…
私も今日、海老サマ公子様の良さが初めてわかりました~!!
前回(あれは三年前だったのですね~♪)見た時は正直、良さがわからず、今日も期待せずで久々に三階席から鑑賞だったのですが
今日の公子様はすごくよかったです♪
SwingingFujisanさまに感化されたかも?ふふ♪
投稿: 七子 | 2009年7月22日 (水) 20時12分
七子様
(先入観を植え付けちゃったかしら)
こちらへのコメントもくださって、ありがとうございます。とっても嬉しく存じます!!
前回は、おそらく「海神別荘」という芝居自体も摑みにくかったのではないでしょうか。私も今回あまり期待していませんでしたが、思いがけず公子様の良さが伝わってきて、芝居全体の魅力もわかったような気がしました。全体がよくなって公子様もより魅力的になったのかな。ほかの役者さんについても、個と全体がうまく調和していたように思います。
海老蔵さんの公子様、本当に光り輝いていましたね
投稿: SwingingFujisan | 2009年7月22日 (水) 21時20分