« 十月歌舞伎座演目 | トップページ | 納涼歌舞伎第二部 »

2009年8月 9日 (日)

納涼歌舞伎第一部

88日 八月納涼大歌舞伎初日第一部(歌舞伎座)
09080901syoniti

やっぱり歌舞伎座はいい。
09080902kokiti
「天保遊侠録」
小気味よさに胸が熱くなり、また情に泣かされた芝居だった。
41
石、無役の貧乏旗本、これまで道場荒らしなどで稼いできた勝小吉が、優秀な息子・麟太郎(宗生ちゃん、もう少しだ)を立派に育てるためについに御番入りを願うことになる。そのための振る舞い、つまり接待の日の出来事を描いている。
豪快かつ短慮、かわいい息子のために屈辱を忍んで忍んで、しかしついに堪忍袋の緒が切れ、大事な接待の場をめちゃくちゃにする。腐敗しきった役人たちに対するそれは正しい怒りではあるが、世の中それでは通らない。収拾がつかなくなるかというとき、小吉の義理の姉が見事にその場を収める。
橋之助さんは豪快さもいい男ぶり(さぞやモテるべし)も小吉にピッタリで、カッコいい。貧乏旗本としての悲哀、屈辱、怒り、息子への愛情、すべてに小吉の中に入っていくことができた。
小吉の甥でこれまた貧乏、かつ無骨物の松坂庄之助の勘太郎さんとのコンビが実にいい(実生活でも叔父甥だから、ってこともあるかしら)。おどおどと自分に自信のない青年が「化け物」とバカにされたことにより怒りに目覚め、酔っ払い役人たちに向かっていくところなどは、勘太郎さんの本領発揮な感じである。
あっちこっちに気を使い、コマネズミのように動き回る接待役の橘太郎さんが、いかにも小役人らしい味を出していて絶品。はじめ黒の紋付を着ていた小吉に唐桟を着るように指示するときの、斧定九郎じゃだめ、すし屋の弥助になれという台詞が効いている。
小吉の若かりし頃の恋人、小吉に捨てられて今は売れっ子芸者となっている八重次の扇雀さんがきれいで、小吉への忘れられない思いが募る女の細やかな感情がよく現れていた。
しかし、何といっても存在感も説得力も抜群なのは小吉の義理の姉、中臈阿茶の局の萬次郎さんである。きっぱりとしたその姿勢、やわらかい口調ではじめ相手を立てながら、小吉が吐いたのでは通用しない正論で腐敗役人どもをやりこめ、かつ小吉の顔も立ててやる。それも地位があるからこそかもしれないが、小吉が貧乏をかこつているのは、たまたまそういう家に養子に来てしまったゆえのこと、あなた方が威張っていられるのはたまたまそういう家に生まれたからで、人間の質には関係ない(正確ではないが、そんなようなこと)という阿茶の局のやんわりと小気味がよく強い主張を聞いていたら、綱豊卿に覚えた興奮と感動を思い出した。この作品、同じ真山青果だったのだ。
途中からずっと涙が滲んできたが、ラストではそれが溢れた。

09080903rokkasen1 「六花仙容彩」
三津五郎さんが僧正遍照、文屋康秀、在原業平、喜撰法師、大伴黒主の5人を踊り分ける。せっかく眠くならないように昼食を抜いたのに、無駄な努力だったcoldsweats02 もう一度見る予定なので、次回はちゃんと見てきます。
私としては遍照の高僧であるが故の悩みが切なかった。私、「天つ風 雲のかよひ路吹きとぢよ 乙女のすがた しばしとどめむ」という歌 がだ~い好きなのです。

文屋康秀は洒脱で面白い。その踊りはおっとりゆっくりしていながら、かなり激しい動きを要求されるようで、むずかしいんだろうなあと素人目で感心した。
しかし何といっても菊十郎さんの官女!!に目が釘付けになってしまった(菊十郎さん、おヒゲの青さが口の上に残り、かわいい)。同じく官女の延郎さんと寿治郎さん(自信がない、違ったらごめんなさい)が康秀に蹴られるところでは、菊十郎さん、かすかに微笑んでいたようなwink 
ここの官女は立ち役が演じるのだが(迫力、男っぽさはそのまんま立ち役なのに、全体に女性としての違和感がさほど感じられないのはさすが)、やっぱり一番迫力があったのは彌十郎さんと亀蔵さん。「これまでは松の陰に隠れていたが、ここらで政権交代」と梅の局(亀蔵)と松の局(彌十郎)が争い、「では選挙で」と収まるかと思いきや、ほかの局が「それは30日までお待ちを」。すると2人、「ではそれまでは連立で」と時事ネタで客を楽しませる。その間に御殿へ入っていこうとする康秀を追いかけて官女たちはスリラーダンスで舞台上手へ消える。
ところで、康秀では、官女たちに臭い息を吐きかけられて閉口していたが、官女たちって何を食べているのだろうshock
09080904rokkasen2_2 業平小町(福助)の踊りは美しく華やかなのだけど、ここかなり沈没sleepy
喜撰法師は軽妙で、お梶(勘三郎)との色模様がなまめかしくもあり可笑しくもあり。三津五郎さんが一番生き生きしていたような気がする。所化さんたちの住吉踊りも入り、これは楽しい。松也heart04(大きな体をちょっと縮めた松也クンの所化にはなんともいえない剽軽さが感じられる)、梅枝、萬太郎、巳之助、新悟、隼人、鶴松の面々に加え、久しぶりに小吉クンの顔が見られて嬉しかった。
最後は大伴黒主。王子鬘の黒主と小町の間で草紙洗の場面が繰り広げられる。実際に草紙が白紙に戻るところが見られる(ちょっと仕掛けがわかっちゃったのが残念)。とても短い踊りで、もうちょっと見ていたい気分だった。
<上演時間>「天保遊侠録」78分(11001218)、幕間30分、「六歌仙容彩」102分(12481430

|
|

« 十月歌舞伎座演目 | トップページ | 納涼歌舞伎第二部 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan様は、歌舞伎座の初日をご覧になってらしたのですね~。10月の演目・配役速報も、ありがとうございました!(10月、いくらお金があっても足りませぬ…。)

官女のスリラーダンスhappy01!! すごいっ! 早く観たいです(笑)。

気持ち良い、美しい音楽、舞台ですと、うっとり…しちゃいますよね。分かりますconfident

投稿: はなみずき | 2009年8月 9日 (日) 11時52分

はなみずき様
待ちに待った8月初日です。やはり歌舞伎座の雰囲気には特別なものがあります。

官女さんたちのスリラーダンスと言っても、あの手の動きが主ですけれどcoldsweats01 でも菊十郎さんのそんなダンス、めったに見られませんもの(^^)

舞踊で寝てしまうようではまだまだダメですね。目は開いていてもぼ~っと見ているだけのこともありますし…

10月は、豪華な歌舞伎座にも何回か通ってしまいそうですし、国立、演舞場もあって、moneybagもスケジュールも又大変(お互いにwink)。来年博多座のための積み立てにまで回りそうもありません…。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月 9日 (日) 12時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/30889029

この記事へのトラックバック一覧です: 納涼歌舞伎第一部:

« 十月歌舞伎座演目 | トップページ | 納涼歌舞伎第二部 »