« 楽しいセルフサービス・ビール | トップページ | 納涼歌舞伎第一部再見 »

2009年8月15日 (土)

石川五右衛門:秀吉の大きさ

813日 「石川五右衛門」(新橋演舞場)
思ったより奇想天外度は薄く(奇想天外は奇想天外なんだけど、「え~っsign03」という驚きよりも、その奇想天外さを違和感なくすんなり受け入れられる、という意味での「薄さ」)、歌舞伎の面白さ満載で海老ちゃんheart04のオーラは3階までしっかり届き、團十郎さんの大きさが劇場全体を包んで、あ~、楽しかったデスnotes
少しネタバレします(もう、レポもあちこちにアップされているのでいいよね)。
発端
、大釜の上で縛られている五右衛門、役人(新蔵)が五右衛門に刑を宣言するという出だしは人形振りである。せっかくの人形振りなのに、意外と動きが少なくてちょっとつまらない。とくに海老蔵さんはじっと俯いたままの時間が長く、「海老ちゃん人形見たい」期待を裏切ってくれるのが残念。それに新蔵さんの眉毛がぴくぴく動くのが気になっちゃって(どういう仕掛けになっているんだろう、とオペラグラスをじっと当ててしまう)coldsweats01 ぐつぐつと油(油なんだね~。お湯じゃなかったんだ。どっちにしても残酷)が煮えたぎる釜に五右衛門がまさに飛び込まんとするとき幕が閉まる。なんだ、飛び込まないのか~、と突っ込んではいけない。
序幕。時は戻り……伊賀の里の入り口で行き倒れになっている五右衛門。それを助けるのが伊賀の里の頭である百地三太夫(猿弥)。霧隠才蔵(右近)を師に五右衛門は忍術の修行に励む(昔の男の子だったら、ワクワク場面でしょうsmile)。バックが夏から紅葉になり、やがてうっすら雪景色になり、と季節の移り変わりを示すことによってその修行の月日を表現している。それを見て、「ノッティングヒルの恋人」で、ジュリア・ロバーツと別れたヒュー・グラントが町を歩くとバックの季節が次々変わっていったのを思い出してしまった(あの場面の「She♪」は切なかったゎ)。
さて、術を会得した五右衛門は、才蔵を倒して伊賀の里を出て行く。この2人の戦いが素晴らしく見ごたえある。激しく刀を交えたかと思うと、スローモーになって(そこに雪が激しく降ってくる)、そしてまた激しい動きになる。ちょっと映像的な手法で、立ち回りの美しさを見せるこの場面はもっと見ていたかった。
猿弥さんと右近さんがここで消えてしまうのはまことにもったいない。猿弥さんはまた老け役だけど、大きい。実に大きい。右近さんはキレのある動きがきれい。3人の「さらば、さらば」が印象的である。

二幕目以降は五右衛門と茶々、秀吉との物語になる。茶々の七之助さんの美しさに目を奪われた。ぱっと花の開いたような清楚なあでやかさ。五右衛門に、初めて恋を知ったと打ち明けるその愛らしさ。2人の夢のような舞いも、きわどいラブシーンも美しい(七クン、そういうシーンが多いなぁ)。
ただ、このあたりのストーリー展開、私は自分なりの感覚で強引に解釈したが、ちょっとわかりにくいような気がする(茶々はいつ懐胎したのか、とか)。
團十郎さんの秀吉は、大きい。世間も五右衛門も秀吉を<悪の根源>としているが、悪のイメージはなく、大きな包容力、大らかさ、全てを見通す眼力等々、團十郎さんが生き生きと演じることによって、五右衛門のストーリーが結局のところ秀吉の大きさを描くことに集約しているような気さえした。
五右衛門との対峙でもやっぱり、海老ちゃん、まだオヤジ様には勝てないなと思った。ここでの奇想天外は、秀吉が煙管を見たときに予測がついてしまった。というか、最初に煙管が出てきたときから先が見えていたというか。
真相が明らかになったときに客席が笑ったのはなんだろうか。最近、私、客席の大方の笑いについていけないことが増えてきて、内心ちょっとアセっているcoldsweats02
今回の席は、つづら抜けがあることなど全然頭になくて取ってしまった席なので、舞台も花道もよぉく見えるのだが、いかんせん、花道から遠いのよcrying 千穐楽にもう一度見るその席も花道から遠いのよcrying で、飛ぶ海老ちゃんheart04をもっと近くで見たいと、チケット戻りを待っているのだけど、なっかなか出てきませんなeye 3階はもう絶対ムリかな。
<上演時間>発端・序幕30分(11:00~11:30)、幕間5分、二幕目25分(11:35~12:00)、幕間30分、三幕目55分(12:30~13:25)、幕間20分、大詰40分(13:45~14:25)

|
|

« 楽しいセルフサービス・ビール | トップページ | 納涼歌舞伎第一部再見 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

レポありがとうございます!今日夜の部にまいりますので、とっても参考になりました。 楽しみです。

今回、海老+おもだか屋(女形がでないのがちと寂しいが)新作なので、鼻息荒く3日分もチケ抑えちゃいましたよ(みな3階席ですが) それも鳥屋近くですよ。

私も千秋楽にまいります!

投稿: maroon6 | 2009年8月15日 (土) 08時57分

maroon6様
まだご覧になっていなかったのに少々ネタバレ、申し訳ありません。
私は私なりの見方ということで勝手なことを書いておりますが、そうおっしゃっていただけると嬉しいです。

お席、うらやましい!! 私も、千穐楽前にもう一度行きた~い。もう少し3階を待ってみようと思いますが、出ないのであれば、1等席でも花道寄りならいいかな、どうしようかなと迷っております。
澤瀉屋の皆さんは立ち回りなどでもご活躍ですよnotes

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月15日 (土) 09時31分

う~ん
團十郎さんはミスキャストでは?
もう2回見たけど台詞滅茶苦茶間違うし、秀吉のイメージではないですよね。

肚芸の出来る吉右衛門さんや富十郎なら深みが出たと思う。
白波五人男でも親子の役で会場が笑ってたけど、まあサービスですね。
七之助も綺麗でいいけど、海老蔵には亀治郎みたいな熱い人が似合うよ。ふたりでガンガン新作やって欲しい。
この世代で期待できるのはこのふたりです。
とはいえ、こんな全くの新作、浄瑠璃まで作っちゃったのは凄すぎる。余程スタッフも協力的だったんですね。
出来たものに文句付けるのは、日本人得意だけど、歌舞伎見たことない若い人に一度歌舞伎を見て欲しいと言う、海老蔵の意気は十分伝わったし、文句なしに面白かったです。
市川宗家安泰じゃないんですか。

投稿: 熊楠 | 2009年8月15日 (土) 12時37分

2幕目の二人が出会う踊りの場面はロマンチックな雰囲気ですが、
インパクトがやや弱いかもしれませんね。

泣きのツボは大体同じだそうですが、笑いのツボは人によってかなり違うそうです。客席の笑いはわたしも???のことが多いです。今回、真相が明らかになった場面で笑うのは、白浪五人男で浜松屋の奥の場面で真相が明らかになったときに笑うのと同じリアクションなのかもしれませぬ。

投稿: kirigirisu | 2009年8月15日 (土) 15時43分

熊楠様
團十郎さんの演技は決してお上手とはいえないのかもしれませんが、こういうお役のときの團十郎さんには特有の大らかさ、大きさ、屈託のなさを感じて、私はいつも参ってしまうのです。そう、秀吉のイメージとはまったくかけ離れていましたが、この「五右衛門」ではそれも許容範囲かなと思いました(屈託のなさも、「五右衛門」でならいいんじゃないかなと)。しかし、台詞をそんなに間違えるというのは、團十郎さんもお年なんでしょうか。あるいは体調万全ではないのかしら。

客席の笑いは、なるほど、「白浪五人男」のときと同じ笑いだったのですね。ちょっと私、ニブかったですねcoldsweats02

初日直前まで、どんな舞台になるかわからなかった「五右衛門」がこんな見事な新作になって登場したのを見て、ヘタに予告を知らなくてよかったと思いました。次はどんな、またその次はどんな、という期待と喜びが次々と湧いてきましたもの。色々な人の厳しい目にさらされる新作ですが、概ね皆さんが楽しかったとおっしゃっているようで、大成功ですね。

海老蔵×亀治郎、同感です。私もがんがんやってほしい!!と思います。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月15日 (土) 21時19分

kirigirisu様
「五右衛門」の再演時に手直しされるとしたらこの場面がまず第一かなと思います。

泣きのツボは同じだが笑いのツボは人それぞれ--実に納得です。
「白浪五人男」の時と同じリアクションというのも、ご指摘を受けて、ああそうだったのか、とよくわかりました。十人十色、人それぞれの反応を知るのもまた興味深く楽しいものだと思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月15日 (土) 21時47分

見ました!七之助と海老ちゃんが出会うところ、五右衛門は忍術で最初は透明人間…ってわかるまでちょっとかかりました。日々進化してると思うし、渡辺保さんの劇評を見てもだいぶ変えてるって感じなので、ご覧になった時と違ってるかも。
立ち回りのあれも含め、五右衛門が團パパ(秀吉っていうよりパパ…)の掌の上の孫悟空みたいで、でもそれがうれしいって感じがしました。
海老ちゃんオンステージなので海老ラー的にはなんでもオッケーで…^^;
歌舞伎って役者を観るものですねえ。

投稿: urasimaru | 2009年8月16日 (日) 01時07分

urasimaru様
あの出会いの場面、五右衛門が舞って姿を消した後だったと思うのですが、長唄が「♪きぬぎぬの」と歌っているように聞こえました。この言葉に捉われてしまい、勝手に働かせた想像力の方向がちょっと違っていたかもcoldsweats02

團パパの掌の上の孫悟空--言い得て妙!! 私もそれが嬉しい。役者としての実生活で海老ちゃんが團十郎さんの存在の重要さに気づいたと言っていたことと重なってきました。

ええ、歌舞伎って役者を観るものですねえ、同感です。とくに海老ちゃんを観ていると、そう思います。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月16日 (日) 01時49分

私も昨夜見て参りました。ザッツ・海老蔵オンステージ!!
これでもかというほどの見得三昧に派手な演出で、いかにも海老蔵らしい作品ですねsmile
花道で汗とツバをまき散らすほど一生懸命な姿に惚れ惚れheart02不器用で真っ直ぐに取り組む姿勢にいつも引き込まれてしまいます(嗚呼すみません!海老熱が。。。汗)だって他の観客の方々も、汗やツバをあびてもむしろ喜んで笑いながら見上げてるんですよ〜!そんなところも、正に「見に行きたい役者」を感じます。
團十郎さんのお元気な姿も見れて本当に嬉しかったのですが、親子の名乗りの場面では海老蔵の存在感におされてしまっているように感じました。体調が万全ではないのではないかとちょっと心配ですweep今後も御園座、国立と出られるようなので大丈夫とは思いますが。。。

最近、歌舞伎デビューした友達が五右衛門はとても楽しめて「もう一回見たい!!歌舞伎にハマっちゃいそう!」と言っていたので歌舞伎を広めていきたいという思いはちゃんと結果が出ているし、もっともっと成長して、いずれは何かを成し遂げる團十郎になるのではないかという予感を感じましたshine

投稿: 林檎 | 2009年8月16日 (日) 09時53分

林檎様
海老ちゃんの汗とつばを浴びるお席でご覧になったのですか!! いいなあ。私だって自ら喜んで浴びたに行きたいくらいです!! 今、戻りのチケットで迷っています。1階の花道そばか、3階の上手側か。時々、いいなと思う席が出るのですが、「まだまだ」と欲張ってしまって。欲張っているうちに、席がなくなっちゃいそうcoldsweats01

團十郎さん、私が見たときは、そんな感じを受けませんでしたが、その日によって体調が違うのかしら。心配です。あのキャラは貴重ですもの。

歌舞伎初心者じゃなくたって、その魅力にはまってしまう「五右衛門」、お友達がそうおっしゃるのも頷けます。これを機に、お友達も色々な舞台をご覧になってどんどん歌舞伎にはまっていただきたいですわhappy01 世界に誇れる歌舞伎をまず日本人が好きになって誇りに思わないと。「五右衛門」はそういう意味でも画期的な作品かもしれませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月16日 (日) 11時32分

SwingingFujisan様
レポ楽しく拝読しました。
書き込みコメントの量もなかなかですね。さすが海老蔵人気です。私は来週末に見にゆきます。Fujisanさんのネタバレ満載のレポ大変気にいっています(プログラムの購入が節約できる場合もあります・・・・)。今後も、期待しています。

投稿: レオン・パパ | 2009年8月16日 (日) 12時59分

レオン・パパ様
ひゃあ、ありがとうはございますが、プログラム節約になるとは責任重大。最近、時々メモをサボるので、coldsweats02モノです。
ネタバレはねえ、なるべくしないようにとは思っているのですが、感想を書こうとすると、どうしてもバラさずにはいられないのです。でも、それがお役に立っているのでしたら、嬉しいです(^^)

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月16日 (日) 13時59分

海老蔵の時は絶対花横で見ることにしているのですが、六方で引っ込むときは必ず浴びれますよ~!なのでご予算が許せばぜひ花横をオススメしますcatfaceな~んて、変なこと書いてしまってるかな?と思いつつ。。。そこまで汗だくになって全身全霊で熱演する海老様を間近で見れるのが嬉しいのですheart04

海外に住んでいる日本人のほとんどが自分の国の文化について何も知らないことを外人さんは驚くらしいですね。これだけ素晴らしい文化と感性を持っている国に生まれているんだということを知らずにいるなんて淋しいことですよね。
SwingingFujisan様はじめ色んな方がこうやってブログで発信していることも大切なことだと思いますshine歌舞伎トークできる場があってありがたいですnote

投稿: 林檎 | 2009年8月17日 (月) 20時10分

林檎様
ありがとうございます。お勧めに従って、Web松竹をチェックしましたが、いいお席はやはり売れてしまっているようです。今後、スケジュールの合う日に出てきたら、今度は狙います。
今回はチケット取りを失敗しましたが、一応千穐楽は上手ながら最前列を確保しておりますし、これまでも海老蔵さんの芝居はかなりいい席でみておりますので、あまり欲張ってもいけないかなと自制心が働いたのが敗因かも。心底アツく願わないといい席にめぐり合わないのだと思います。

自国の文化をどの程度知っているかと言われれば、私も小さくなっていなければなりませんが、でも歌舞伎を愛する心は皆様同様、深く強く熱いものと自負しておりますcoldsweats01 その心をわかってくださって、とても嬉しく存じます。私も、皆様とお話できるのが楽しくってnotes

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月17日 (月) 23時21分

SwingingFujisanさま☆こんばんは~♪
前楽行ってまいりました!
前回は宙乗り小屋近くで海老さまお一人をお出迎えしましたが、今日は一階で「わ~い♪舞台が近い~♪」
センターでしたので「花道遠っ><」と嘆いておりましたが、七之助さんの出番少なっ!で、花道遠くても何も問題なく…(涙)
でも楽しかったですね~
SwingingFujisanさまは楽、最前列ですか?いいな~♪
またレポお待ちしております~☆
これが終わっちゃって、私は来月の名古屋とその次の兄弟の錦秋公演行かないので、既に秋風吹いてます~、、、

投稿: 七子 | 2009年8月26日 (水) 23時35分

七子様
花道が遠かったり、好きな役者さんの出番が少なかったり、それでも楽しめる「五右衛門」、まさに歌舞伎の面白さが詰まっているのでしょうね。
私はついに3階で海老ちゃんのお出迎えをすることは出来ませんでしたが、今日いよいよ千穐楽、海老ちゃんとの距離が縮まります。実は、最前列は行きたがっていた友人に譲り、私はもう少し後ろの花道脇を取り直しました。3階が無理ならせめて、とつづら抜けが間近で見られるのを期待して取った席です。
宙乗り小屋近くでご覧になった七子様が、ほんと、うらやましい!!
それでも欲張りな私は、五右衛門のように分身の術を使って最前列でも見たい、なんてまだ未練がましく思っていますcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月27日 (木) 08時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/30962329

この記事へのトラックバック一覧です: 石川五右衛門:秀吉の大きさ:

« 楽しいセルフサービス・ビール | トップページ | 納涼歌舞伎第一部再見 »