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2009年8月26日 (水)

稚魚の会・歌舞伎会合同公演

825日 第15回稚魚の会・歌舞伎会合同公演A班(国立劇場小劇場)
昨年は日程上断念した合同公演、私にとっては3回目になる。初年(平成18年)はB班のみ(思えばこのとき、梅之さんファンになったのだ)、翌年はABC班すべて、そして1年おいた今年は再びA班のみ、それも千穐楽になってしまった(もちろん、それはそれで満足なのだけどB班を見られなくてとても残念。お目当ての役者さんがB班にもたくさんいたので)。
「菅原伝授手習鑑 佐太村賀の祝の場」
松王の段一郎さん、梅王の吉二郎さん、ともに大きな演技で稚気もたっぷり。真剣にケンカするのが可笑しかった。このケンカの場面、桜の悲しいことがあるけれど、好き(今回、桜の枝が折れたのがよくわからなかった)。コミカルな場面の後は、2人の隠した心のうちが窺え、涙が滲む。左團次さんと時蔵さんの監修・指導だそうだが、段一郎さんに左團次さんの味を感じた(左團次さんは白太夫タイプだけど)。吉二郎さんの梅王といい、2人ともニンであると思った。
女房役の京三郎さん(松王女房千代)、喜昇さん(梅王女房春)も夫に従うよい女房であった。とくに喜昇さんは役が手に入っている感じで、さすが。この奥さんたちはいつも見ても姉さん女房に見える。
桜丸女房八重の京珠さん。こんな少女のようなあどけない八重ははじめてだ。それなのにひとたびセリフに入ると、声が大人で美しい。八重の中では、桜丸のあとを追おうと小柄を手にした瞬間がとりわけよかった。何か訴えるものを感じた。蝶一郎さんの桜丸が悲しくて悲しくて、こういう事態を引き起こすきっかけとなった加茂堤の場が思い出され、涙が出た。自分で介錯する桜丸が哀れだ(梅王、もうちょっと早く入ってきて介錯してあげればいいのに、とこの場面見るたびに思う)。
白太夫の蝶三郎さん、はじめは顔が若くて無理があるのではないかと懸念したが、後姿が小さく見え、それはまさに老いた父親の姿であった。またセリフが老いてなお気骨ある親心をしっかり表しており、顔の若さが気にならなくなる。ずいぶん泣けた(松王の悲劇を思い、いがみの権太のおとうさんにちょっと重なったりもした)。
「双面水照月」
浅葱幕で舞台がまだ隠れているうちに「高砂屋っ」の掛け声。嬉しくなってにやにやしていると、浅葱幕が振り落とされ、舟に梅之さん(渡し守おしず)が乗っている。美しく、凛々しく、「男前な女」という表現がぴったりのおしずさん。セリフも踊りも一日の長があり、安心して見ていられる。
松若の京純さんはおっとりと上品で、雰囲気十分。一蝶さん(お組)は町娘より武家の娘のほうが似合うかもしれない。
法界坊・野分姫の霊の蝶之介さん、面明かりに照らされてスッポンから登場。どこかで見たぞ、この構図。そうだ、ついこの間、亀ちゃんの滝夜叉がそうやって登場した、まさにあれsign01 どちらかというと男っぽい顔立ちの蝶之介さんだけど、きれい。しかし不気味。とくに口のあたりに独特の怖さが漂う。引き抜いてお組になると、お組は常磐津の付けセリフになる。これがとてもいい。先ほどの「賀の祝」の竹本も非常によかったが、この常磐津にも聞き惚れた。お名前を歌舞伎手帖で探したが見つからず、役者さんと同様、まだお若い方々なのだろうかと思った。
それにしても、歌舞伎とはいえ、2人のお組の顔が違いすぎて、松若やおしずが間違えるなんてあり?bleah
「与話情浮名横櫛 源氏店妾宅塀外の場、源氏店妾宅の場」
お富(蝶紫)がいかにも素人筋でない感じで粋。それを意識したような最初のほうのセリフがちょっと気になったが、後で思い出してみればなかなかよかったなという気がするし、風呂上りに化粧をする女の色っぽさが滲み出ていた(電車の中の化粧は絶対ngよ)。
吉六さんはとてもいい味を出していたし、うまい!! でも番頭藤八というよりは?…気のいい遊び人的な感じかしら(藤八って、もっとしつこくてイヤなやつじゃなかったっけ)。でも、この味を生かして、今後本公演でも演じられるといいなあと思う。白粉が大好きと言ってお富に化粧してもらったら、サッカーのペイントみたいに左右の頬に日の丸、おでこの白塗りには「六」という文字が赤く書かれていたsmile
蝙蝠安が翔次さんというのが嬉しい。ワルぶりがとってもカッコいいし、剽軽さもあって、ちょっと微笑ましくなってしまった。金をせしめてからの与三郎との遣り取りに、弁天と南郷力丸を思い出した。もっとこういう役で活躍してほしい。
与三郎の蝶八郎さんがすごい色男でびっくりした(なんて言ったら失礼かしら)。きれいで品もあって、男としての魅力に溢れていて素敵。この与三郎さんがB班では白太夫に変身するって、ああ見てみたかった。

本公演をおろそかに見ているわけでは決してないけれど、丁寧に名題下の若手役者さんたちが演じているのを見ると、その芝居の心が改めてよく見えてくるような、そんな気がした。
来年はAB両班見られますように。合同公演出ひそかに要チェック印をつけた役者さんは、本公演でも注目smile
<上演時間>「賀の祝」75分(11001215)、幕間30分、「双面水照月」55分(12451340)、幕間20分、「与話情」60分(14001500

おまけ1最初の幕間だったかしら、田之助さんをお見かけした。お元気そうにたったっと歩いていらした。
おまけ2「双面水照月」の後の幕間の時、喜昇さんがスーツ姿で受付にいらした。ロビーのベンチで私のそばにいたオバサマ、お連れさんに「ほら、あの子、あれやった子」とプログラムの名前を指し示していた。いつでもどこでも、何を演じてもすぐにそれとわかる喜昇さん、スーツもお似合いで、気さくに皆さんと言葉を交わしていた。終演時には梅之さんも受付にいらして、思わずご挨拶してしまった。素顔の梅之さん、実にハンサムです。
おまけ3今回、蝶の字のつく役者さんの多いことsign03 出演者27名中6名に蝶がつく。たとえば京屋だから京の字がつく、というようなことでもなく、歌昇さん門下の2人(蝶三郎、蝶之介)を除くとあとはばらばら(蝶一郎:錦之助、蝶紫:獅童、蝶八郎:歌六、一蝶:時蔵)。そのほか、時蔵門下の竹蝶さんがいるが、今回は出演しておらず、たまたま今公演は蝶が多かったということみたいsmile
 ↓
はなみずき様から、皆さん萬屋さんだというご指摘をいただいて、アッと思いました。全然気づかなかった私、萬屋ファン失格ですbearing

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コメント

合同公演、お疲れさまでした~♪
蝶の皆さん、皆さん「萬屋」さんですね~。今回の合同公演は、萬屋さんご一門のご活躍なくしては語れませんね。特に、A班のお富与三郎は、どちらも萬屋さんで、大向こうさんの掛け声も、「っずや!」のみ、というのもお珍しい(笑)。

B班の玉朗丈・春之助丈の桜夫婦も、「このお二人で『加茂堤』が観たいな~」と思いましたが、A班のお二人も、悩ましい雰囲気がたっぷり出ていましたね。

本興行に戻られても、応援したい皆様です。

投稿: はなみずき | 2009年8月27日 (木) 06時53分

はなみずき様
あらら、そうだわ、蝶はみなさん萬屋さんだったわ。京屋さんのことを例に挙げながら、萬屋さんに気づかなかったなんて、私ってwobbly ご指摘ありがとうございます。
そうそう、掛け声「っずや!」のみでしたね。何となくあれれとは思っていたのですが…。
普段は脇で座っていらっしゃるだけのこともある実力派の役者さん、こういう公演でよりその力量を知り親しみを覚える、これからも応援したい気持ちが強くなりますね。そういう意味でも、合同公演は大事な公演だと思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月27日 (木) 08時30分

こんにちは~。私も「蝶祭り」楽しみました♪この春に蝶の帯を見つけた時に、「萬屋のどなたかの時に締めて行こおっと♪」と思ったのを思い出しました。

私は幸いにも、AB班どちらも拝見しましたので、早く感想をアップしなくては・・・。もうちょいとかかりそうです。

投稿: aki | 2009年8月27日 (木) 16時22分

aki様
蝶は萬屋さん、って気づかなかったのが本当にお恥ずかしい。
今回の合同公演はまさに「蝶祭り」な感じでしたねえ。
素敵な蝶の和コーデ、拝見したいですわ。

aki様もAB両班ご覧になったとのこと、私も来年は是非。
aki様がどんな風にご覧になったか、ご感想、楽しみにしております。

投稿: SwingingFujisan | 2009年8月27日 (木) 23時57分

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