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2009年9月27日 (日)

九月大歌舞伎夜の部・3

926日 九月大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)
09092705ositi 「松竹梅湯島掛額」
序幕の「吉祥院お土砂の場」は徹底したドタバタ喜劇、大詰の「四ツ木戸火の見櫓の場」は悲劇へと向かう緊迫の人形振りである。
15
分の幕間+弁慶の幕外の引っ込みの数分間で、吉右衛門さんは富樫から「べんちょう」へ早替り。これ、逆だったらきついかもしれないなbearing
丁稚の玉太郎クンがかわいい。「あっちへ行こうかこっちへ行こうか、どうか体が二つほしい、ワイ」の鸚鵡返しも立派なもので笑わせてもらいました。
歌江さんがお質に肩入れする下女お杉役で、細かい芸を見せていたのも嬉しい(みんなの目がお七にいっているようなときでも、表情なんかが細かいの)。でも、お杉が「太鼓を叩けば木戸があく」と入れ知恵しなかったら…。
錦之助さん(吉三郎)は何かいつももったいないなあと思う。こういう二枚目は果たして錦之助さんのニンなのだろうか。う~む、やっぱりニンなんだろうな。前髪の小姓姿は確かに似合うけど…。でも、もっと大きな(人間として大きいという意味)役をやらせてあげたい。しかし、隼人クンがやっぱり似ているなあ。
福助さんはきれいだったけれど、16歳だといったって声はちょっと作りすぎじゃないかしら。時々、普段の声に戻ったりするのも笑いを取ろうというのかもしれないが、私にとっては興ざめだった。高い声ならそれを通してほしかった。人形振りは動きはとてもよかった。人形使い(福太郎、福緒)も足踏み(徳松)も呼吸を合わせた渾身の演技だった(足踏みは、福助さんの動きに合わせなくてはいけないのでとてもむずかしそう)。でも、やっぱり顔を作りすぎるような気がする。ただ目をぱちっと開いていただけなのに、作っている感じが私には強すぎた。私のお七は亀ちゃんで、それを超えるお七を期待していたんだけど…。
吉右衛門さんはギャグ満載、滑稽味満載。お七がお杉に促されて吉三郎と夫婦になりたいとみんなの前で公表したとき「マジっすかぁ」。これにはちょっと驚いたcoldsweats01  お七が吉三郎の気を引くために癪が起きたふりをしたとき、「その癪を治すために吉右衛門を呼んでこよう」。それだけで笑いが起きるのに「あ、だめだ。今吉右衛門は歌舞伎座さよなら公演で3役出ずっぱりだ」。これには客席のみならず、福助さんも錦之助さんもはまってしまい、笑いをこらえるのに必死。そのあとも何か色々おかしかったらしく、福助さんは袖でどうにか顔を隠してごまかしていたが、錦之助さんはそうするわけにもいかず、苦労している様子が気の毒やらおかしいやら。
お土砂になると客席は爆笑の渦。吉右衛門さんが敵方にかけるだけでなく、吉祥院の和尚(由次郎)、お七の母親(東蔵)、丁稚(玉太郎)、黒衣さん、ツケ打ちさんと見境なくかけるものだから、みんなへなへなぐにゃぐにゃ~となってしまって。きっと役者さんも楽しんでいるんだろうなあ。そこへ酔った客が舞台に上がり、案内係のおねえさんが必死でそれを止めている。吉右衛門さんはその2人にもお土砂をかけてしまった。スーツ姿の酔客も、制服のおねえさんもへなへなぐにゃぐにゃ~っ。吉右衛門さんはさらに、舞台前方まで出てきて最前列の客にお土砂をかけようかというところへ、定式幕が引かれてきた。いたずらっぽい顔をした吉右衛門さん、定式幕引きの人にもかけてしまった。とたん、その人もぐにゃぐにゃになり、最後は吉右衛門さんが嬉しそうに定式幕を引いていく。
本来、吉右衛門さんのこういう役は私はあまり好きでない。でも、ノリノリの吉右衛門さん、意外と違和感なくて、楽しめた。
しかし、この話、無茶だなあ。どう見たって江戸時代なのに、時代は鎌倉。範頼が八百屋の娘・お七を妾にしようっていうんだもの。そのチグハグさ、ミスマッチ感がいかにも歌舞伎で、たまりませんわ~。
<上演時間>「鞘当・鈴ヶ森」68分(16301738)、幕間30分、「勧進帳」72分(18081920)、幕間15分、「お土砂・櫓のお七」84分(19352059

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コメント

SwingingFujisanさま☆こんばんは~♪
千穐楽レポ、楽しみにしておりました
夜の部は23日にまいりましたが、「まじっすかぁ」には私も驚きました!
「3役出ずっぱり」は23日にはなかったような…やっぱり千穐楽はいいですね~
あ、私もお七の人形ぶりの亀ちゃんに衝撃を受けました!(私は演舞場で見ましたが同じ時でしょうか)

投稿: 七子 | 2009年9月27日 (日) 23時38分

七子様
こんばんわ。コメントありがとうございます。
吉右衛門さんのあんなセリフ、想像もしていませんでしたけれど、意外と違和感ありませんでした。っていうか、ちょっとかわいかったsmile

ああいう芝居ですから千穐楽バージョンになっているのかなと思いましたが、やっぱりそうだったのですね。お土砂の悪ノリも一段とレベルアップしていたかもしれませんね。

亀ちゃんのお七、そうです、演舞場です。七子様もご覧になったのですねpaper あのお七は忘れられません。まさに「赤い」お七、「赤い」亀治郎でした。

投稿: SwingingFujisan | 2009年9月28日 (月) 00時31分

こんばんは。
わたしも土曜日に行ってまいりました(^-^)

わたしはこのお芝居初見だったので比べようがないですが、
福助さんのお七、なかなか好きでした。世間知らずのお嬢ちゃんて感じで。
錦之助さんと福助さんが笑いをこらえてたのにはわたしも大笑いでした。
どこであんなにスイッチが入ってしまったのか見逃したのが残念です。
富樫とは別人のようなはじけた吉右衛門さんもおもしろかったし玉太郎くんもかわいかったし、
見所満載大満足の楽日でした!楽日以外にも観てみたかったですが…。

投稿: あねご | 2009年9月28日 (月) 00時59分

あねご様
こんばんわ。コメントありがとうございます。
千穐楽、ご一緒でしたのねhappy01

福助さんは可愛らしかったとは思うのですが、な~んとなくわざとらしいような気がしちゃって…(そういえば、福助さんはまったく世間知らずのおじょうちゃんでしたね。亀治郎さんはただひたすらに情熱的で一途なお嬢さんだったかも)。私はどうも福助さんに手厳しいようです。でも、すごくいいなあ、と思う時だってあるんですよcoldsweats01

錦之助さんと福助さんの笑いの源は「3役出ずっぱり」だけではなさそうでしたね。私もそのきっかけが何だったのかわかりませんでした。人が笑っているのを見ると、もらい笑いしちゃいますね。
9月はリピーターがあまりいらっしゃらなかったようですし私もその1人ですが、終わってみると、昼夜もう一度ずつ見たかったなと、ちょっと心残りに思います。

投稿: SwingingFujisan | 2009年9月28日 (月) 02時33分

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