« 巡業直前ハムレット気分 | トップページ | 顔見世演目 »

2009年9月 2日 (水)

近松座公演:8月最後まで歌舞伎を楽しむ

831日 松竹大歌舞伎近松座公演(巡業西コース)初日(川口リリア)
藤十郎・翫雀・壱太郎の三代、秀太郎・愛之助の二代を中心に亀鶴さんなどが加わった巡業西コースの初日。あいにくの台風にもかかわらず、そこそこの入りだったと思う。秀太郎・愛之助さんは7月の巡業東コースに続く巡業で大変だけれど、愛之助さんは「普段なかなか旅行できないのでプチ旅行気分も味わっている」とのこと、そういうポジティブな気持ちで体調を維持していってほしいなと嬉しく思った。
坂田藤十郎お目見得御挨拶
一瞬、え~っ、まだ襲名公演?と驚いてしまったこのタイトル。私は昨日のエントリー通りの事情でこの口上を聞き逃してしまったからよくわからないが、プログラムには、「藤十郎襲名以来4年が経とうとしています。今回の『お目見得御挨拶』では、ご当地の皆様にお目見得のご挨拶を申し上げるとともに、長年に亘って続けてきた近松座、そして上方歌舞伎にかける思いなどをお話し致します」とある。今回は襲名公演で行っていないところにお目見得ということだろうか。10分も問う藤十郎さんが語る口上なんて、やっぱり聞きたかったゎ。
「封印切」
何といっても注目は、壱太郎クンの梅川。正直言って、はじめの数分間、「趣向の華」の化け猫のイメージが抜けず、ぽってりした唇の紅が濃いこともあって、今にも口が裂けてきそうな気がしてしまった。それにちょっと体の動きに独特なものがあって、時々ひどく気になる。「趣向の華」でもそうだった。手足が長いせいなのか、動きがなめらかでない。ギクシャクというのではなく、何となく一つ一つの動きに連続性がないような…ある意味ダイナミックといおうか。それとちょっと体を反らせすぎる気もする。もう一つ、目の縁の紅、入れすぎ!!
それでもこの梅川は儚げで愛らしい。忠兵衛をひたすら思う気持ちがよく出ている。忠兵衛と八右衛門のやりとりなど、離れたところから時々心配そうに忠兵衛に目をやるのがかわいくて切なかった。
さて、いくら藤十郎さんが若いと言っても19歳の壱太郎クンとはどうだろうか。これが全然ギャップを感じさせないのだ。梅川との痴話げんかなど、微笑ましいやら呆れるやら。また八右衛門の愛之助さんとのまるで子供じみたけんかも、藤十郎さんのほうが幼く見えてしまうほど。八右衛門にたきつけられてあしらわれて、まったくこんなダメ男のどこがよくて梅川はあんなに惚れちゃったのだろうか。そういうダメ男ぶりをやらせたら藤十郎さんは天下一品だ。
愛之助さんの八右衛門はことさらに執拗で、いつもは忠兵衛より断然カッコいいと思うのに、今回は「意地悪、根性ワル」と少し憎らしくなった(大人の対応ができなかったダメ男の忠兵衛…)。仁左様と似ている頻度は今回はわりと少なかったが、やっぱり時々「そっくり」と思う。くっと首を上に上げるときなどとくにheart04
おえん(秀太郎)が梅川忠兵衛のいちゃいちゃぶりを見て、自分の若かりし頃の恋を思い出し、うふっとする場面、秀太郎さんかわいい。でも、おえんのそんなセリフ、あったっけ。今回初めて見たような気がする。
リリアという会場の音響のせいか、セリフがもわ~んとしてよく聞き取れないことがあったのが残念。

「連獅子」

前シテの狂言師の連れ舞からして引き込まれた。谷に落とした子を見守る親獅子、谷を駆け上る仔獅子の物語性が強く感じられ、親子の愛に打たれた。差し金の胡蝶が出てきたら、けっこう客席が沸いたのが面白かった。
後ジテの親獅子(翫雀)の格調、仔獅子(愛之助)の若さ。きびきびした舞の気持ちよさ、演奏の楽しさ。三味線のソロに拍手しようかとタイミングを見計らっていた頃、ソロが終わってしまい、拍手しそびれた。というのは私だけではなく、客席全体にそんな雰囲気が流れていたような気がした。
愛之助さんが花道で毛振りするとき、クギでも出ていたのか、板のささくれもであったのか、ちょっと毛がひっかかってうまく回らなかった。ハラハラした。それで翫雀さんとのタイミングがズレたが、すぐに持ち直し、同じタイミングにもっていったのはさすが。その後、また合わないこともあったが、全体には見事。翫雀さんがかなり張り切って振っていた。
村娘と修験者の間狂言は初めて見た。亀鶴さんったら~、亀治郎の会の馬士とおんなじじゃない。太い垂れ眉、剽軽な目、酔っ払って赤くなった頬。端正かつ剽軽で楽しい踊り。ダメ修験者の亀鶴さんをたっぷり楽しんだ。
壱太郎クン、目の縁の紅はここでも入れすぎ。でも動きは芝居のときと違ってずいぶんなめらか、村娘らしい素朴さと可愛らしさがあり、こちらも楽しい踊りだった。
「封印切」は好き嫌いがあるかもしれないけれど、「連獅子」はみんな楽しめたのではないかしら。
諦めずに頑張って見に行って、よかった!! これで8月が締まりました。
<上演時間>後挨拶10分(18001810)、幕間15分、「封印切」80分(18251945)、幕間25分、「連獅子」52分(20102102

Swing part1の「見ました」、更新しました。

|
|

« 巡業直前ハムレット気分 | トップページ | 顔見世演目 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

8月最後まで楽しまれてうらやましいhappy01
2月松竹座の「毛抜」で観た壱太郎くん。スタイルがよくて可愛いらしいおかちを思い出します。梅川いいですね♪
この巡業観に行きたくなるようなレポでした!
台風の被害は大丈夫でしたか。

投稿: かりん | 2009年9月 2日 (水) 10時51分

読んでいて観たくなりましたー。ありがとうございます。

投稿: urasimaru | 2009年9月 2日 (水) 12時26分

かりん様
8月31日まで歌舞伎を見て、もう9月初日ですよ!! 幸せですhappy01
壱太郎クンはこれからの上方歌舞伎の担う女方のホープですね。背が高いので、膝を折るのが大変でしょうが、姿はとてもきれいだと思います。顔もかわいいし、声もかわいいですね。年齢の近い梅枝クンなどといい意味のライバルとして伸びていってほしいです。

台風は大丈夫でした。風雨は強かったのですが、1カ月くらい前だったかの集中豪雨のほうが強烈でした。害がなかったのは本当にありがたいことです。福岡はいっとき大変でしたでしょう。

投稿: SwingingFujisan | 2009年9月 2日 (水) 17時56分

urasimaru様
ありがとうございます!!
見てよかったと思いました。
もうこの先、関東での公演はないんですよね、残念なことに。

投稿: SwingingFujisan | 2009年9月 2日 (水) 18時00分

こんばんは!
アツい8月を締めくくるアツい舞台だったようですね。うらやましい!
これ、首都圏では2回しかやらないうえに平日ばかり。。。
わたしの中のツートップ(?)、愛之助&亀鶴ご両人、
そして最近気になる壱太郎くんが出るので行きたかったんですけどね~。
こちらのお家も親子三代でご出演ですしね。
(成駒親子+愛之助さんの三人、永楽館から続いてますね・・・。)
愛之助さんは関西弁ネイティブだし、八右衛門を大好きな役だとおっしゃていただけあって本人もノリノリなのが伝わりますよね。
先日の博多座で(忠兵衛は扇雀さん)見たとき、やっぱり憎たらしかったけれどとても楽しく拝見しました。

今日、職場の最寄り駅に突如、九月歌舞伎座のポスターが貼り出されていました。もう秋ですね・・・。

投稿: あねご | 2009年9月 2日 (水) 21時52分

あねご様
そうなんですよ、しかも首都圏は最初の2日だけ。もうこの後は巡ってこないんですものね。ご覧になれない方がたくさんいらしたのではないかしら。私はたまたま地元でラッキーでした。
永楽館にいらっしゃったあねご様ですから、よけいご覧になりたかったのではないかしら。
八右衛門が好きな役というの、わかる気がします。見るほうにとってもかなり魅力的だと思うんですもの。
昨日は暑さがぶり返しましたが、このまま秋になってしまうのかしら。日の落ちるのが早くなったなと夕方つぶやき、今年の夏は短かったな、とちょっとしんみりしました。
秀山祭もよかったですよ。

投稿: SwingingFujisan | 2009年9月 2日 (水) 22時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/31201968

この記事へのトラックバック一覧です: 近松座公演:8月最後まで歌舞伎を楽しむ:

« 巡業直前ハムレット気分 | トップページ | 顔見世演目 »