« 10月国立劇場賞、おめでとうございます | トップページ | 心配な段治郎さんの体調 »

2009年10月28日 (水)

「京乱噂鉤爪」千穐楽:恩田の次は…

1027日 「京乱噂鉤爪」千穐楽(国立劇場大劇場)
09102801kokuritu 2
度目のせいか、たとえば大子の違和感がなくなったり、松吉実は鶴丸実次の存在感が増したり、2人の間に通う愛情にも納得がいったりして、初日より感動を覚えた。
なるべく初日と重ならないように、簡単に感想を。
人間豹こと恩田に人間性を与えたのは、いい悪いは別として、原案を考えた染五郎さんの恩田へのオマージュだったかもしれない。そういう方向にもっていったのは乱歩モノとしての甘さが指摘されるだろうし、私自身もそう思わないではないけれど、読者が自分の想像力と好みで恩田像を作り上げる小説とは違って、舞台なんだから、そういう解決法も悪くないかもしれない(「五重塔」で大工十兵衛の性格を原作から少し変えたように)。
大子は初日以上に、よく転がっていた。最後で弾けていたのかな。大子は体はやたらデカいけれど、とても可愛い女の子であった。初日は松吉(翫雀さんはお公家さんが実によく似合う)の求婚があまりピンとこなかったけれど、今回はよくわかった。あそこで殺されてしまったのが残念でならない。
人間豹の染五郎さんは構えがかなり低くて獣っぽさを表していた。吹替えの役者さんがとった姿勢が高かったので、染五郎さんの低さがとくに印象に残った。
梅玉さんにはこれからも悪役をやってほしいと思うほど、マッチ感があった。羅城門で、明智が恩田を必死で諭しているとき鏑木が言う「まるで父親のような言い草だな」に、客席からクスクス笑いがsmile
きはものやの女房が、あれずいぶん若返っている、鐵之助さんじゃないぞと思ったら、やはり代役であった。病気のため休演だそうだ。代役は伊助さん。鐵之助さんのような年季の入ったしたたかさ、味は求めるべくもないが、商家の女房らしい雰囲気はとてもよく感じられた。鐵之助さん、お大事に。
それぞれ違う個性で名演技を見せた梅丸クン、錦成クンが国立劇場賞特別賞に決まったのは昨日のエントリーで触れたが、もちろん千穐楽も感動の2人であった。

<カーテンコール>
染五郎さんを除く全員が舞台に揃うと、スッポンから恩田の染五郎さんが登場。全出演者に対するひとしきりの拍手の後、染五郎さんが「言いだしっぺの私が(この芝居の立案者ということだろう)代表してご挨拶申し上げます」と口を開いた。そんなご挨拶があるとは思っていなかったから、これは嬉しい。
昨年好評だった乱歩歌舞伎の第2弾としての本公演は、父の演出、梅玉のおじさん、翫雀のお兄さんはじめ皆さんのご協力でできあがった。千穐楽まで多くの方々にいらしていただいてありがとうございます。恩田はこれで死にましたが、来年第3弾があるとかないとか。今後とも古典、新作ともに応援をお願いいたします。
と、ざっとこういう内容のご挨拶。けっこうカミカミのご挨拶だったけれど、それが染五郎さんの用意された気持ちではないことを表しているようだったし、幸四郎さんが嬉しそうに染五郎さんを見つめているのが微笑ましかったhappy01 この後、舞台の全員が上手、下手、真ん中、二階三階へと顔を向けてお辞儀。幸四郎さんと染五郎さんの2人が全員のリズムと外れていて2人で「あれれ」という感じで顔を見合わせたりして、なんだか可愛らしかった。
大きな拍手の中、定式幕が引かれる。でも拍手は鳴り止まない。しばらくすると、定式幕が開かれた。舞台には誰もいない。すると間もなく染五郎さんが1人で現れた。にこにこと客席に手を振って名残惜しそうに引っ込んだ。
3弾があるとかないとか、ってことは、ある可能性が強いってことだよね、と心はもう来年に期待している私coldsweats01

|
|

« 10月国立劇場賞、おめでとうございます | トップページ | 心配な段治郎さんの体調 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/31971184

この記事へのトラックバック一覧です: 「京乱噂鉤爪」千穐楽:恩田の次は…:

» 乱歩NO.78・・・乱歩歌舞伎「京乱噂鉤爪―人間豹の最期―」(国立劇場) [飾釦]
乱歩歌舞伎「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎつめ)―人間豹の最期―」 ■日時:2009年10月18日(日)、12:00〜 ■劇場:国立劇場 ■原案:市川染五郎 ■脚本:岩豪友樹子 ■演出:九代琴松 ■出演:市川染五郎、市川幸四郎、中村梅玉、中村翫雀、他 “市川染五郎宙乗り相勤め申し候”、前作の江戸川乱歩の「人間豹」を題材にした歌舞伎「江戸宵屋闇妖鉤爪」において、明智小五郎への皮肉もたっぷりのそして見るも鮮やかな染五郎演じる人間豹・恩田の宙乗りで終わりました。実際その場面はボクに鮮烈な印... [続きを読む]

受信: 2009年10月28日 (水) 22時21分

« 10月国立劇場賞、おめでとうございます | トップページ | 心配な段治郎さんの体調 »