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2009年10月 5日 (月)

さらば人間豹

104日 「京乱噂鉤爪」初日(国立劇場大劇場)
09100501kokuritusyoniti 大変な稽古だったらしい。幸四郎さんをはじめとするその熱意が実を結んだかのような、新作の初日にしてはいい舞台であった(稽古の模様は梅之さんのブログに詳しい)。日が経つにつれ、テンポももっとよくなり、もっと面白くなると思う。
とにかく初日なので、ネタバレしない程度の感想にとどめておく。
まずは、遅刻しないで!!
開幕するとまもなく場内が真っ暗になる。ドアを開けたときはまだ照明がついていても、席を探しているうちに暗闇になる。舞台が落ち着くまで、入り口にとどめておくとかしないと、危ないと思う。
芝居のことでは、最初に子役の2人について言っておきたい。
錦政クン、かわいくて逞しくていじらしくて、錦弥さんとの<番頭はんと丁稚どん>コンビには泣かされた。この2人がほんと、いいのよ。
進境著しい梅丸クン、難しい役だが、見事な演技で素晴らしい(先月の太刀持・音若に続き、じっと同じ姿勢を取っている時間の長い、そして台詞のない役であるけれど、とてもとても重要な役)。
恩田学はよく飛ぶ。最長飛行は斜め宙乗りだが、これがすごい。身体能力の高い染五郎さんだからこそ、の見もの。チケットを取る時に宙乗り小屋がないなあ、と思っていたら、2階上手に特設の宙乗り小屋が作られているようで、花道からそこへ飛ぶ(松緑さんの崇徳院のときはどう飛んだんだったかしら)。よく飛ぶけれど、結局恩田の居場所はこの世にはなかった。最期の叫びが魂の解放を求める恩田の気持ちを表していて、恐ろしい獣のようなヤツだけど、実は一番人間の愛を必要としていたのだと、哀れを覚えた。
染五郎さん、もう一役の大子(だいこ)。なんて名だ、と呆れたけれど、その由来がわかって納得。ただ、大子ってとてもかわいい性格ではあると思うのだけど、声が馴染めないし、キャラクターが何となく摑み切れなかった(よく転がっていた、大子はbleah)。そのため、松吉(翫雀)との間もピンとこなかった。でも、大子は馴染めば、けっこうハマるかも。翫雀さんは、松吉実は…という役にぴったり。
前回あやしいおばばだった鐵之助さんが再び登場。ただし、今度は一見実直そうな錦吾さんとがめつい夫婦役。歌江さんの尼さんが嬉しい。高麗蔵さんは今回も悲しい女。
こういう役(明智小五郎)の幸四郎さんは実にしっくりくる。人間豹に「お前も何もかもお見通しの自惚れ屋の1人だな」「もうおめえの説教ともおさらばだ」と言わせる説教臭さもそのとおりだ(褒めている)。明智の部下としての松江さんの実直ぶりも安心できる。
梅玉さんが意外な役で面白い。二枚目ばかりでなく、こういう役もいいではないか!!

一幕目は歌舞伎らしい展開だった。ええじゃないかで踊り狂う人々に象徴される政情不安な空気(「竜馬がゆく」でも「ええじゃないか」だった。この辺も梅之さんが触れている)、上方の商家での滑稽なやりとり(もうちょっと雰囲気が出るといいかな。日々進化していくと思う)、洪水(見事な見せ方。名題下の役者さん総出だそうだ)、セリ上がり、宙乗り等々、歌舞伎の面白い要素がたっぷり。二幕目はやや現代劇風になる(とくにラストは。…いかにも幸四郎さんらしい)が、群舞、早替り(吹替えも使っている)、立ち回りなどの趣向が楽しめる。
カーテンコールがあった。緞帳が上がり、19期研修生も含めて役者さん全員が登場。さかんな拍手を浴びていた。
今日は大向こうが多かった。
<上演時間>第一幕95分(12001335)、幕間30分、第二幕50分(14051455
おまけ:食堂「向日葵」のお魚洋食セットを幕間にいただいた。美味しかった。1000円という、お値段も内容もお手ごろなランチあ。本当は1700円のミニ懐石御膳を狙っていたのだけど、完売だった。

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コメント

SwingingFujisan さま

こん♪♪は。

今日「京乱噂鉤爪」を観てきました。第一部の歌舞伎の味付けや趣向には満足したのですが、第二部はどうも理屈っぽくなりいささか退屈しました。加えてエピソードが有機的につながっていないことが不満でした。

それでも染五郎さんのパワーアップした斜交いの宙乗りや国立劇場の舞台機構を活かしたせり上がりや洪水シーンはさすがでした。ちなみに『貞操花鳥羽恋塚』でも松緑さんの崇徳院が同じように斜めに飛んでいました。

梅丸くんの人形花がたみには感心しました。最初は誰だか分からなかったですよ。錦弥さんと錦成くん(今年6月の部屋子披露で錦政⇒錦成に変わりましたよね)の番頭はんと丁稚どんはとてもよいコンビでした。

http://www.kabuki.ne.jp/meikan/members/actors/a1178_kinsei.html

投稿: 六条亭 | 2009年10月 7日 (水) 22時12分

六条亭様
こんばんわ。
おっしゃるように、歌舞伎としては第一幕のほうがずっと楽しめましたね。第二幕は私もやや退屈し、少し寝ました。

梅丸クンは本当に見事でしたよね。まだ13歳というのに、あんな難しい役を見事に演じきっていて、感動すら覚えました。

錦成クン、そういえば改名したんでしたっけね。すっかり忘れていました。初めて見て「この子、誰?」と衝撃を受けた印象が強かったので、未だに当時の名前が頭に残っていてcoldsweats01

松緑さんが斜めに飛んだのはよく覚えているのですが、上手から下手へ、だったのか、今回のように花道から上手へ向かったのか…私は花道の上方に宙乗り小屋があったように記憶しているのですが、ちょっと自信がありません。
来年1月には菊五郎さんも飛ぶそうですから、どの辺に席を取ったらいいのか、思案中です(大凧宙乗りというから、やっぱり斜めに飛ぶのかしら…)。

投稿: SwingingFujisan | 2009年10月 7日 (水) 22時51分

SwingingFujisan さま

早速の返し、ありがとうございますm(__)m。

『貞操花鳥羽恋塚』の松緑さんの崇徳院も、花道から上手に飛んだように記憶しています。調べましたら、HineMosNotariさんのブログでもその記事があります。

http://blog.goo.ne.jp/hm_notari/e/3928b1c85fdfaef0433892d0975ac4ea

照明がつくと観客席の上に松緑さんがいて、それから一旦花道へバックしたことをこの記事で思い出しました。

菊五郎さんの大凧の宙乗り、たしかに席の選択で悩みますね。

投稿: 六条亭 | 2009年10月 7日 (水) 23時20分

六条亭様
わざわざ調べてくださったのですか!! ありがとうございます!!!
そうでしたか、松緑さんも花道から飛んだんですね(私の記憶はやっぱりアテにならない)
。そうそうそう、照明がついたら松緑さんがいきなり上にいたこと、私も思い出しました。花道のほうにバックしたことも。
しかし、Notariさんのこの記事によりますと、国立では3種類の宙乗りが可能だとありますから、菊五郎さんは3つ目のナゾの宙乗りという可能性も考えられますね。宙乗り小屋の分の座席が減っているかどうかで選ぶことにしますゎ。

投稿: SwingingFujisan | 2009年10月 8日 (木) 00時57分

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