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2009年10月25日 (日)

かわいい菊五郎狐

1023日 芸術祭十月大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
夜の部再見の続きを。
「吉野山」
09102501yosinoyama 前の演目に力がはいったことでもあり、また食後でもあり、どうしても覚醒がもたない。最初の10分が限度で、その後はところどころでちょこっとずつ瞼が落ちてくる。それでわかったのは、一つの演目のどこかでかなりな眠気を覚えると、その演目全体の印象が薄くなるということ。つまり、本当に意識を失っているのはわずかな時間だとしても、その前後もあまりまともな意識ではないということになる。
という言い訳で、「吉野山」の感想は、姿は一つなれど狐の菊五郎さんがとてもかわいくて(鼓を見る目が本当に親を恋うる子供の目のように見えた)、忠信の菊五郎さんになんとも言えぬ色気があって(この色気に私はいつもドキドキしてしまう)、逸見藤太は松緑さんの明るいキャラクターにぴったりだと思ったことくらいだろうか。
菊五郎さんの投げた笠、一瞬客席に落ちるかとはらはらしたが、ナイスコントロール&ナイスキャッチpaper 
吉野山にこ~んと響く鼓の音が風情を感じさせて好きだ。この鼓の音を聞くと、自分も満開の桜の吉野山にいて、狐忠信が出てくるのを待っているような気持ちになる。
「川連法眼館」
09102502kawaturahogen 時様が登場したら、なんてきれいな卵形の顔だろう、とお芝居とは全然関係のないところで(いや、女方のときより卵形が目立つ)感心しながら、じぃっと見つめてしまった。初日は、時様はやっぱり女方の役者さんだと思ったけれど、今回はちょっと癇の強いというか神経質な感じの義経がよく似合う、と見直した(ここの義経は「大物浦」の義経とはだいぶ違うぞ)。静を愛する気持ちがよく見てとれる。それは久しぶりに再会したときの時様の表情の変化が物語っている。ちょっと照れくさそうな、切なそうな、嬉しそうな。でも一方で鎌倉との確執にピリピリしていなくてはならない苛立ちも表情に表れている。
澤瀉屋の狐忠信も好きだけど、音羽屋のもとても好きだと思った。本物の忠信はかくあるべきかと納得したし、子狐のいじらしさ、親恋しさが狐の菊五郎さんの全身から自然に滲み出ていた。鼓を貰い受けた喜びも爆発するというのではなく、嬉しくてたまらない様子が愛らしく、なんとも微笑ましかった。客席の拍手も、定番として送るのではなく、その喜びの表情に思わず一緒になって喜ぶという雰囲気に満ちていた。
知盛も大変な体力を必要とするだろうが、狐忠信も並大抵ではない。ふと気づくと、菊五郎さんの首の色が肌の色になっていた。まさか菊五郎さんともあろう人が首の白塗りを忘れたわけがないよな、と思っていたら、一度姿を消した狐が再登場したときにはきちんと塗られていた(ああ、やっぱり汗で流れちゃったのか)。ところが、いくらも経たないうちに、又首の地色が見えてきてしまった。狐の白い衣裳の首の周囲が汚れてきているのも見える。大変だなあと菊五郎さんの体力を心配しつつ、あの衣裳って、終わったらすぐに洗う(汗を落とす)のだろうか、なんて余計なことを考えてしまった。
そういえば、初日はあちこちの場面で笑いが起きていたけれど、今回はそうでもなかったような気がする。あるいは同じように笑いがあっても私もそこに同化していたのだろうか。
今月は、たっぷりと濃かった割に疲労感のない夜の部だった。体も心もすんなりと芝居を吸収したのだと思う。

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コメント

こんばんは!
お嬢さまと楽しい時間をお過ごしですか?

私、昨日歌舞伎座に行ってまいりましたが
その前に芸協らくごまつりで体力を相当使っていたので絶対寝ると思っていましたが
寝ませんでしたねぇ。。。
内容濃いのに疲れがない、というお気持ち、よくわかりました。
渡海屋/大物浦を泣き泣き観てさらに体力を消耗しましたが、最後まで完走です。
寝ずに吉野山を観たのは初めてですよcoldsweats01
寝なかったうえに、意外とこの場面おもしろいのでは…と思えました。
ちょっと成長です(←自画自賛)

以前猿之助さんが四の切の早替わりのタネ明かしをしていたのを見て以来
そのポイントに大注目しながら見ていますが
今回はそういう派手(?)な部分以外の子狐の心情的なところも
じっくり見ることができました。
これはもう一度観たかったですね…ってなんか毎月同じようなことを言ってますがdown

投稿: あねご | 2009年10月27日 (火) 00時22分

あねご様
落語と歌舞伎のはしご、お疲れ様でした。歌舞伎座は千穐楽をご覧になったのですね!!
「吉野山」をばっちりご覧になったのは素晴らしい。<成長>と自画自賛なさるに値しますよ~。私も未熟ながら「吉野山」の面白さを少しずつ感じるようになってきました。頻繁に上演される歌舞伎の演目って、面白いからかかる頻度が高いんですね。

菊五郎さんの狐には、親を慕う心情が切々と溢れていましたね。こういう舞台を見ることができて、幸せだとしみじみ思います。

娘が帰国すると、とたんに娘べったりになる母親です (^-^;

投稿: SwingingFujisan | 2009年10月27日 (火) 01時31分

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