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2009年11月17日 (火)

輝く1800年前のエジプト女性

114日 エジプトに生きた女性たちの肖像(ルーヴルDNP
ルーヴルとDNPコラボの美術展も第6回目。毎回、最後のアンケートでこれまでの展示でどれがベストかときかれるのだが、それぞれに作品のよさ、展示の工夫があり、順位はつけ難い。今回も順位をつけろと言われても困る素晴らしい展示である。
今回は、紀元2世紀に描かれたエジプトの女性たちの肖像画が取り上げられている。「ファイユームの肖像」と呼ばれるこれらの作品は木板に描かれたもので、その人物の生前に作られ、死んでミイラとなった後に棺に取り付けられた。ファラオが黄金のマスクをつけるように。
こうした作品は約1000点も発見されているそうだが、その中から54点がデジタル画面で鑑賞できる。そしてさらに厳選された3人の女性の肖像画の実物が目の前に現れるのである。当時の流行として、肖像画の人々はほぼ無表情である。いや、無表情なのではない。ある者は真面目な顔をしてまっすぐ正面の私たちを見据えている。またある者は憂いを秘めた大きな瞳をやや下に向け、私たちに視線を向けることはない。彼らの瞳は一様に大きく、無表情と言うにはあまりに生き生きとしている。「あなたは何をそんなに見つめているの?」「あなたの目には何が映っているの?」と問いかけたくなるような親しみを覚える。
じっとこれらの肖像画と対峙していると、私自身が彼らの世界にタイムスリップするような、あるいは前世の私が彼らと隣同士で暮らしていたような気がする。当時の文化や生活ぶりを無視すれば、私たちはマンション的な団地ではなく小さな芝生の庭がある団地に住んでおり、そこでは幸せな生活が繰り広げられているいっぽう、幼くして病に倒れた子供たちもいて、親が深い悲しみにくれている。そういう子供の肖像はどこか寂しげである。
しかしどの肖像画も修復されたものとはいえ、色彩は鮮やかである。女性たちは美しい。とくに、ここに選ばれた3人の女性の美しさ、高貴さには感動すら覚える。中でも、「ヨーロッパの女性」と呼ばれる1枚の気高い美しさは、首に巻いた金のマフラーとも相俟って輝くばかりである。
体験型コーナーでは、肖像画の写真に触って、細部を観察することができる。指で触れた部分がルーペを当てたようにアップになるのである。線や色の使い方がくっきりと強調される。また別のコーナーでは、この女性たちの肖像画がどのようにして描かれたものなのか、それを目の当たりにすることができる。つまり、完成された絵画をバーチャルで一層ずつ分解していくのである。まず修復された部分を取り除く。次に、ミイラの形に合うように切り取られていた肖像画を元の長方形の板に戻す。そして、埋葬されるときに施された金箔や、最後に描き入れられたアクセサリー類を取り除く。衣裳、背景、顔のパーツ、顔の色、顔のシルエット、髪というように消していく。すると、画家が最初に塗った地塗りの色(肖像画によって黒であったり茶色であったりする)が現れる。それすらも消してしまうと、何の加工も施されていない板(ヒマラヤ杉やイチジク)1枚になるというわけである。
こうして分析した結果、なんと、画家は下絵をまったく描いていないことがわかったそうである。すごい技術ではないか!!
09111701femmeenegypte ここでは触れないが、こうした肖像画が作られた時代背景の歴史も面白かった。
最後にお気に入りの女性について印象を3つ選ぶと、その女性の写真がプレゼントされる。
チケットは、自宅に帰ってからそこに打たれたIDナンバーをHPで入力すれば、自分が観覧したコーナーを追体験できるようになっている。
とにかく一つの作品が6カ月も展示され、その間こんなに間近でじっくり対峙できる美術館はそうはない。それだけではなく、体験型の楽しみ方もできる。音声ガイドもこれまでに比べて使いやすくなったし、

予約が必要で、ふらっと立ち寄れないのが難であるが、絶対お勧めである。

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