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2009年11月21日 (土)

見ごたえあった国立劇場・2

1119日 「外郎売・傾城反魂香・大津絵道成寺」(国立劇場大劇場)
「傾城反魂香」
團十郎さんは私が歌舞伎を見るようになって間もなく倒れられたので、復帰後の舞台しか知らない。だから又平のような役は初めて見た(と思う)。荒事の團十郎さんが、大きさ・大らかさがあっていいのは十分わかっていたが、又平もまたよかった。こういう團十郎さんの姿もあるのかぁ、とある意味驚いた。吃音での喋り方も実にもどかしそうで、それが作った演技ではなく自然に感じられ、言いたいことが言えないつらさで全身の力をこめる姿にこちらも手に力が入った。浄瑠璃(このときは谷太夫だったかな)も大熱演であった。
そんな又平がおとくから筆を渡されると途端に絵師の顔に変わる。うかれ坊主様がくださったコメントの通りであった。
土佐の名前を許された後の團十郎さんはスキップなんかしちゃってかわいかった。裃をつけた又平はとても若々しくてきれいだった。
2
3日前にあんまり疲れてたっぷり睡眠を取ったら、2晩眠れなくなった。この日の前夜はとくに眠くなくて、困ったなあと思いつつ4時過ぎまで仕事をしてしまった。その皺寄せが予想通りここへきて、藤十郎さんのおとくの見せ場でついに陥落。もったいないことをした(けっこう、周囲も寝ていたけど)。
以前に見た彦三郎さんの将監は又平に対してひどく冷たいような気がして、夫婦とのやりとりからもピリピリする空気が伝わってきた記憶があるが、今回は絵筆で功績を遂げよ、絵の技術によって自信をもてという愛の鞭的な思いが感じられた。私の勝手な見方であり、本当のところ将監がどう思っていたのかはわからない。でも、そういうふうに見えた将監は大きな、良い将監だと思った。
さて、お目当ての亀鶴さんheart04 前髪立ちの姿も若々しく、きりっとして、動きも美しい。又平に対する同情心と、師に認められた自負心と、師の命令は絶対だという服従心との間で揺れる苦悩のようなものが私には感じられた。これまで見た修理之助は人間像が摑めないでいたのだが、私の考え方が合っているかどうかはともかくとして、初めて修理之助の性格付けが自分の中でできたように思う。
ところで、「傾城反魂香」は今月、澤瀉屋さんの巡業で通し公演が行われており、私は日程上断念したが(2年前に三越で見たから、今回はガマン)、urasimaruがご覧になって、その先の話を見つけてくださった。さらにはこの物語に登場する名古屋山三にまつわる話がとんでもなく広がっていることも調べてくださった。それで、「傾城反魂香」と「浮世柄比翼稲妻」(「鞘当」と「鈴ケ森」が有名)が関連しているということがわかった。面白いけど話はひどくごちゃごちゃしていて、頭が混乱してくる。

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コメント

国立劇場、私の気持ちの中では歌舞伎座や演舞場ほどの勢いもなく、なんとなくという感じで見に行ったのですが(そういう時に3階のお値段はありがたい)、見応えがあって「こんな態度でスミマセンbleah」なのでした。「外郎売」がなければ行ってないと思うので、見逃さずにすんでよかったと思ってます。
と言っても、同じくおとくの見せ場とか、大津絵道成寺なんかで時々sleepyになりつつ、ではあったのですが・・・。道成寺の鬼の化粧にはビックリしました。なんか漫画チックなんですもの。でも「きもかわゆい」世界ですかしらん(嫌いじゃないの)。帰りの劇場バスで乗り合わせた老夫婦が、いろいろ感想を喋ってる中で、ご主人の「あの鬼の顔はいただけない。『(縁日なんかの)売れ残りのお面』みたいだ」と言ってらしたのが、ちょっとツボでした。

投稿: きびだんご | 2009年11月21日 (土) 11時02分

きびだんご様
わかります~。国立は、私も同様でしたもの。ものすご~く見たいというほどでもなく、でも「外郎売」は魅力だし、「傾城反魂香」は團十郎さんの又平に興味があったし、「大津絵道成寺」は歌舞伎教室で亀鶴さんがちょっと触れていたので面白いかなと思ったし(結局、見たかったんじゃないかcoldsweats01)、で3階の申し訳ないくらい安い席を取りました。安い上に見ごたえある芝居を私も時々睡魔に勝てず。ほんと、「スミマセン」ですよね。
鬼の化粧、不評なようですね。大津絵だから漫画チックな化粧でいいのか、それとも歌舞伎としてそれなりの化粧にするべきなのか、意見の分かれるところかもしれません。私は元々明るめの茶色系の隈取があまり好きでないので…。しかし、あの化粧をすると誰でも顔が倍大きく見えるのはなぜでしょうbleah

投稿: SwingingFujisan | 2009年11月21日 (土) 11時24分

こんにちは。国立はいい席も空きがあったりしましたねー。ファンもあちこち忙しいですから…
私はあの鬼は面白くてアリかな。押し戻しと親子で同じ顔なところが歌舞伎…^^
ども又(放送禁止用語?)は、石を通り抜けた自画像、巡業は裃姿で、国立は普通(?)だったり、微妙に違うのが面白かったです。
主役が東西の重鎮なので、修理之助の亀鶴さんがたっぷり感情をだしても邪魔にならないバランスだなー、と思いました。

投稿: urasimaru | 2009年11月24日 (火) 12時27分

urasimaru様
比較的よく入っているなとは思ったのですが、おっしゃるようにいい席に空きが目立ったような…。国立の場合、かなり上でもよく見えますしねぇ。
あはは、親子で同じ顔--urasimaru様のコメントに思わず吹き出してしまいました。

澤瀉屋さんのども又(歌舞伎では放送禁止用語が飛び交っていますから)の衣裳はそうでしたか。三越劇場でどうだったか記憶がないのですが、そういう違いが見られるのも歌舞伎の面白さですね。

亀鶴さんの修理之助、よかったですねえ。なるほど、バランスですね。

投稿: SwingingFujisan | 2009年11月24日 (火) 17時04分

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