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2009年11月19日 (木)

仮名手本昼の部再見

1118日 顔見世大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
初日以来2度目の昼の部。忠臣蔵は何回も見ているから1度でいいかなとも思ったのだが、初日は雰囲気を楽しみに行くようなところもあるから…。
そういう意味で言えば、大序に至る空気は初日のほうがぴーんと張り詰めた感じが強く、十分雰囲気を楽しんだ。またその一方で、芝居を鑑賞するという点でも、初日はいい意味の緊張感があったなと思った(今回は今回なりの緊張感があったんだけど、あくまで自分の中での比較だから)。切腹の場は、さすがに劇場全体が厳粛な空気に包まれた。今日は女子高生が大勢観劇していたが、「泣けた」という声も聞こえてきて、きっと何か伝わるものがあっただろうと嬉しく感じた。
「大序~明渡し」
まず、前回とくに触れなかった人について。
梅玉さんの桃井。挨拶しているのにそのたび師直にそっぽを向かれる苛立ち、怒りが手に取るようにわかる。こっちも「ちっ、師直のヤツ」と言いたくなった。
孝太郎さんの力弥。若々しくてよく似合っていたし、なかなか到着しない父の姿を必死で求める思いもひしひしと伝わってきた。
伴内の橘太郎さん。軽妙な味と、こまごまと師直の世話をする甲斐甲斐しさが独特な世界を見せる。
加古川本蔵の菊十郎さん。正直、初日はちょっと違うなと思ったが、本蔵らしさがかなり板についてきていた。
仁左様の石堂。判官の切腹、ぎりぎりで間に合った大星に、検視役の石堂が「そちが大星か。苦しうない。近う、近う、近うっ!!」と急かす場面。仁左様のあまりのカッコよさに、思わず拍手をしそうになってしまった。判官への同情と温情で心の中はいっぱいだけど幕府の役人でもあることを自覚してその場を後にする仁左様は、大星以上に判官への思いが溢れているようで、後姿がとても悲しかった。

富十郎さんの師直はねちねちと、実にいやなヤツだった。初日聞き惚れた美声は今日も変わらず惚れ惚れしたが、ねちっこさに拍車がかかっていたような気がする。穏やかな顔をして、ひどい罵詈雑言を浴びせる。判官のプライドが傷つけられ、一度は耐えて詫びを入れたものの、饗応役を桃井にやらせるとの一言で理性の糸がぷつんと切れてしまったことが痛いようにわかった(心を抑えて詫びる苦しさになく判官と一緒になって泣いていた私には、糸の切れる音が聞こえるみたいだった)。
ところで、兜改めの席での師直の顔世に対する気持ちというのは、足利直義も、判官も桃井もだれも顔世に顔を向けていないのに、師直だけが顔世のほうを向いているということで表現されているのかと、初めて気づいた。敢えて表情にやさしさをのせなくても、それでわかるのだ、きっと。
勘三郎さんは、時々勘太郎クンに激しく似ていて、将来勘太郎クンが判官役者になることを予言しているみたいな気がした。とにかく勘三郎さんの判官は良い。
幸四郎さんの大星は、初日のほうが好きだった。これはあくまで私の好みの問題だが、どうしても幸四郎さんの大星には泣けないのだ。判官の切腹に涙がこぼれたのに、その後は涙が乾いてしまった。切腹刀を判官の握り締めた手から取るところで冷めてしまったんだなあ、思うに。でも、別に忠臣蔵だからと言って泣かなくちゃいけないわけじゃなし、無理に泣くこともないんだわ。とてもいい場面もあったんだから、それでいいか。

「道行」
菊五郎・時蔵コンビの愛に溢れたひと時が微笑ましく切ない。後悔に駆られ、死んで詫びようと思い続けている勘平は、お軽の説得に思い直して生き延びる決意をする。それは取りも直さずお軽への愛が強いことの証ではないだろうか。お軽が勘平に惚れ切っていることは明らかだが、勘平の表情にも優しい愛が溢れているのを見て、時様ファンの私は安心するのである。
2
人にとって、最後の楽しい時間だったかもしれないこの道行は、照明も明るく、また剽軽な伴内との遣り取りや伴内一味との立ち回りがあって暗さを感じさせないが、でもその先には悲劇が待っているのだと思うと、バカップルでもある2人が哀れで仕方ない。

伴内はここでは團蔵さん。実を言うと、團蔵さんも初日はちょっと違うと思った。元々伴内という人物には丸っこい印象をもっていたので、未だに團蔵さんという感じはしないのだが、初日よりはずっと伴内として認識できるようになった。最後、手下の背中に膝立ちして遠眼鏡を目に当てる場面は、初日はどうしても立てなくておんぶのような格好になってしまい、菊五郎さんが苦笑していたが、今日はちゃんとできていた。
ところで、時様、ずいぶんスリムになったみたい。顔も一回り小さくなったし、腰のあたりがほっそりして見えた。うらやましいゾ。

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