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2010年1月28日 (木)

黄金鯱、千穐楽

127日 「旭輝黄金鯱」千穐楽(国立劇場大劇場)
10012801sensyuraku

3
度目のしゃちほこ。
幕開きの茶摘の場面は何度見ても明るく華やかでよい。松也クンの好き者お殿様もずいぶん板についてきた(女狂いのお殿様がいうお家はとかく騒動が起きやすい。演舞場に続きお家乗っ取りのたくらみに繋がる)。とはいうものの、やっぱり松也クン自身のもつ清潔感が消えることはない。梅枝クンとの美しいコンビは見ていて微笑ましい。
好きな人と結ばれた後の国姫のまだ色気とまではいかぬ恥じらいが、結ばれる前の少女の恥じらいとは違っていて、その変化を表現した梅枝クンは見事だと思う。
これまで一度も触れなかったが、悪役・伊達五郎の菊市郎さんが堂々としてよく、早く殺されてしまったのが残念。
亀蔵さんも出番が少なくもったいない。市蔵さんを見ていると亀蔵さんの顔に似ていると思うことが時々あるのに、その逆がないのはどういうわけだろうsmile

今日の席は初日よりやや上手寄りだったため、菊五郎さんの大凧乗りもよく見えたし、那古野城天守閣が客席に張り出している様もかなりの迫力をもって見えた。菊五郎さんもだいぶ慣れたのか、もう怖々したところはなく、それどころか身軽にポンとジャンプしたりして、思わず「おおぉ」と唸ってしまった。
金助隠れ家の場では、村路(時蔵)が誇りと品を失わず、誕生日の国姫の心を慰めるあたりがしみじみとよく、自害は哀れで初めて泣きそうになった。ところで、プレゼントとして紅葉の枝を受け取る国姫のセリフに「すりゃ自らが誕生日を」というのがあるが、江戸時代に「誕生日」という言葉はあったのだろうか。私の感覚としては明治以降に出来た言葉のような気がして、初日からその一言が気にかかって仕方ない。
チャリ場の金鯱観音が引っ込んだ後、村人がご喜捨をするときに、客席からもおひねりがいくつか投げられたのでびっくりしてしまった。拾い集めた亀三郎さんが客席に向かって一礼したのが可笑しかった。今日の収穫(?)は橘太郎さんによれば百両と20,460円(だったかな)だそう。
百両がなくなって犯人探しの場面。金太夫(実は柿木金助:菊五郎)が万斎(実は鳴海春吉:菊之助)に罪を着せようとして詮議の役目を引き受けると、すかさず菊ちゃんが「この間も京都で詮議を受けたような」と呟いた。南座の顔見世のことだと思うが、行った人が少なかったのか意外とウケなかった。私も行ってないから、よくわからない。
その後の團蔵さんのアドリブ、今日は「この間も京都で先斗町、○○町(どこだか忘れた)をうろつき歩き、いくらトラ年でもタイガー・ウッズじゃないんだから」。これでやや間があった後客席がどっと沸き、「だから海老に先を越されるんだ」は笑いの中に没したかも。菊ちゃん、そんなに遊び歩いたの? 可笑しそうな顔していたけど。

男寅クンは、またちょっとキンと掠れる声に戻っていた。金太夫に間違えてチューされそうになり「餃子くさい」とけなされるのはかわいそう。
菊五郎さんは柄の長い箒をギターがわりに弾いてみたり、どの辺だったか招き猫の手まねをして、そこに流れるのが三味線に合わせた「♪まねきねこダック~♪」
鯱との闘いは千穐楽バージョンかどうか知らないけれど、ビニールシートについた水滴が初日に比べてずっと多かった。もちろん、菊ちゃんは確信犯的に水を客席に飛ばしたわけで、シートを頭からかぶりながらきゃっきゃっ喜んでしまう私たち。初日は膝が赤くなったりして気の毒だったけれど、今日はそういうことも気にならず、ただただ勇ましく美しい菊ちゃんの体と動きに見とれていた。ついに鯱を仕留めた菊ちゃん、下から吹き上げる噴水を浴びて何と男らしかったことheart04 
とかく金鯱観音や、大凧乗り、本水の格闘が話題になりがちだったこの芝居だが、時代物の要素もあり、歌舞伎として大変面白かった。
1月はそれぞれの座にそれぞれのよさ、楽しさがあって、
大満足。
さて、歌舞伎はこれで全部見終わったが、私の1月はまだまだ終わりませぬ。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

連日の千穐楽観劇、お疲れ様でした(^-^)

「すりゃ自らが誕生日を」、私もテレビで見てすごぉく気になりました。ミミから入ってきて、妙に違和感があったのを覚えています。少しだけ調べてみたけど、あの頃って数えでしかトシをとってなかったんではないでしょうか。ま、いいんですけど(笑)。

「この間も京都で詮議を受けたような」、南座へは行ったけれど記憶になしm(_ _)m筋書きをひっくりかえしてみました。う~ん、『一条大蔵譚』のお京のことかなぁ。

それよりも「私の1月はまだまだ終わりませぬ。」が気になるからつぎでした(^_^;。

投稿: からつぎ | 2010年1月28日 (木) 08時21分

からつぎ様
おはようございます。
ありがとうございます。

やはり「誕生日」という言葉はお耳につきましたか。心地よく聞いているセリフの中で、あの瞬間だけが「おや?」と違和感をもって入るんですよね。
しかも、そうそう、概念として誕生日という感覚があったのか。確かに、当時は数えで年を取っていたんですものね。まあお芝居ですから、そこをツッコむのはナンセンスかもしれませんが(とくに、あの場面は姫の扱われ方、村路の優しさがわかるところですから)。「誕生日」というセリフが他の言葉で置き換えられていたら全然気にならなかったと思います。

南座の件、私もネットで演目を確認してみましたが、よくわかりませんでした。

1月は少し無茶なスケジュールを立ててしまいました。実は、今日も…smile

投稿: SwingingFujisan | 2010年1月28日 (木) 09時04分

おはようございまーす。明るい気分の千穐楽、お正月狂言らしさを満喫した1月・国立でした。
私も同じく「誕生日」には若干引っかかる、というか、当時はみなお正月がくると一つ年を取ってたんですよね? そういえば、もっと昔から、貴人の誕生日ってどうだったのか、すっごく調べたくなりました。
あっ、「京都で詮議」の件ですが、私には「どこぞで詮議」みたいに聞こえて、偽勅使vs.先の春永のことと思ってました。でも、かなりアヤシイ耳でして、タイガー・ウッズのあたりは名前のほかはよくわかんなかったし・・・。いいですよね、その瞬間にいろいろ楽しめれば(と、いつもの居直り)。

投稿: きびだんご | 2010年1月28日 (木) 09時13分

きびだんご様
やはり「誕生日」は皆さんも引っかかるところなんですね。私もからつぎ様にご指摘されるまではただ言葉だけが気になっていたのですが、当時は年が明けると1つ年を取るということになっていたんだなと思い出しました。でも、おっしゃるように貴人はもしかしたら違っていたのかもしれませんね。

「京都で詮議」は、私もはっきりとは自信がありません。「どこぞで」だったのかもeye どっちにしても、あそこは客席がよくわかっていなかった雰囲気でしたよね。

本当に楽しい千穐楽でした。ハッピーな気分で帰れれば、それが一番ですものね!!

投稿: SwingingFujisan | 2010年1月28日 (木) 11時48分

こんにちは。私も昨日は「3度目のしゃちほこ」でした♪あ~楽しかったです。でも終わってしまって寂しいぃぃ。

>市蔵さんを見ていると亀蔵さんの顔に似ていると思うことが時々あるのに、その逆がない

同意!私もそう思います。素顔は似ていないのに、ちょっとした表情とかで、おっと思うことありますね。

昨日は上手寄りのエコノミー最前列、せり出しの舞台にギリギリ隠れない位置でした。 どこかにSwingingFujisanさまがいるはずと思ったのですが、お目にかかれず残念でした。。。

私も「すりゃ自らが誕生日を」、気になります、皆さん同じところで違和感を覚えていますね。チャリ場で、客席からもおひねりが飛んでいて驚きましたが、役者さんもお客さんも嬉しそうでしたね!亀三郎さんも橘太郎さんのナイスなアドリブ^^

菊ちゃんの詮議の場面、「どこかで詮議を受けたような」・・・と言ったセリフは前の場面を受けてのことかと思ってましたが、いかがでしょうか。先斗町の件も、菊ちゃんはお笑いでしたね。それ以上に亀三郎さんが爆笑していたのがおかしかったです。

菊五郎さんの「♪まねきねこダック~♪」かわいいですよね。くすねたお金を隠そうとする場面ですね。金鯱観音もアンコールしたいくらい楽しみました。劇団メンバー、息ピッタリ☆

そして、菊ちゃんの立廻り。何度も足を蹴り上げて、水を飛ばしていました。私は全くかからない位置でしたが、真ん中あたりのお客さんがうらやましかったです。いぃ~なぁ~。

と、自分のブログに書こうと思っていたこと、ほとんど書いちゃいました。。。

投稿: aki | 2010年1月28日 (木) 15時24分

aki様
ご自分のエントリーになさろうとしていたこと、ほとんどこちらにお寄せいただいて、ありがとうございますhappy02
やっぱり、昨日いらっしゃったのですね!! 私、一瞬だけ、ほんとにチラッとお見かけしたのです。こちらも食堂へ急いでいたので声をおかけしなかったのですが、その後はお見かけすることもなく、残念でした。しかも、最前列、せり出しギリギリのお席とは、そんなに離れていなかったのに。

「誕生日」は皆さん違和感を覚えていらしたことがわかって、思い切って書いてよかった!!

親子、兄弟、役者さんって、やっぱりどこかしら似ていますね。今回は、彦三郎、萬次郎、権十郎の3兄弟を同時に見られたので、ずいぶん見比べましたsmile 萬次郎さんと権十郎さんは絶対似ている、彦三郎さんと権十郎さんは時々似ている、萬次郎さんと彦三郎さんは、う~ん、どうでしょう。

菊ちゃんの詮議のセリフは、「京都で」ではなかったのですね。自己分析するに、後の「京都」に記憶が引かれてしまったのでしょう。まったく、私の記憶ってwobbly

菊五郎さんって、深く重厚な面も見せたかと思うと、あんなにお茶目なところも見せて、そのサービス心には本当に頭が下がります。首をちょんと横に曲げるのがかわいいnotes

菊ちゃんも精一杯のサービスでしたね、あの水かけ。足を蹴り上げたり、手でばちゃばちゃやったり、口からぷ~っと吹き出したり。水の中で大奮闘して、すぐその後に爽やかな表情で駆けつけてくるのが若さだなあと感心しました。

こうしてお喋りしていると、昨日の楽しさが甦ってきますhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2010年1月28日 (木) 19時13分

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