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2010年1月21日 (木)

歌舞伎座夜の部

120日 初春大歌舞伎夜の部(歌舞伎座)
今月は昼夜1回ずつしか見ない歌舞伎座。ということは、今日が今月歌舞伎座ラストだったんだわ。ちょっと寂しい。
「春の寿」
雀右衛門さんの出演は、最初から疑問符付きではあったけれど、休演が明らかになってからは、千穐楽のみの登場かなと思っていた。それなら最初から諦めがつくけれど、1日前の19日だったとはね。実は、千穐楽と思う陰で、後半どこかで出てくるんじゃないかと秘かに期待していたのだ。しかも絶対20日と踏んでいた(大安だし、キリがいいじゃない)。それが1日前とはshock 2日続きはないだろうし(ジャッキーさんの新聞写真を見た。重い鬘と衣裳をつけ、座っているだけで体力が相当消耗されることは父と重ねてよくわかる)、ガッカリでしたwobbly 19日観劇の方、超ラッキーでしたねっshine
というわけで、雀右衛門さんに宛てて作られたような舞踊(長唄の歌詞に「京屋」云々というのがあったし、梅之さんのブログによれば、やはり今回のために構成された作品だとのこと)は、主役不在の寂しさは拭いきれないものの、華やかでそれなりに楽しめた。でも、友右衛門さんが魁春さんの手を取ってエスコートしたときには、本来ならここで親子共演が見られたんだよなあ、とか孫の廣太郎・廣松クンと一緒に舞台に立っているところを見たかったなあとか、やっぱり残念に思った。
福助さんと梅玉さんは、「蝶の道行」のコンビだったっけ、とふと思い出したりもした。
この舞踊では、廣太郎、廣松、米吉、種之助(種之助クンは、私は初見)という、しばらく歌舞伎から遠ざかっていたジュニアたちが登場。種太郎クン、隼人クンも加えて、若い芽が揃ったのは、まさに春の寿。目出度い目出度い。
「車引」
ジャッキー不在の夜の部の最大の目玉はこれ。噂に違わずよかったsign03
80
歳を超えての初役、隈をとった芝翫さんの顔がとても立派で、まずそれに感動した。若々しく、意外と線が太く、それでいてとてもやわらかくて、どうしてこれまでこの役を演じなかったのかしらと不思議に思った。
吉右衛門さんの梅王がまた若々しくて稚気に満ち、「賀の祝」で松王とケンカする梅王までが目に浮かぶようであった。
幸四郎さんの松王は、私としてはどうしてももう少し大らかさがほしくなってしまうのだが、吉右衛門さんとの対峙は見ごたえがあった。
さて圧巻は富十郎さん。評判の青隈なしの時平は見事というしかない。青隈がない分きれいで、それでいてめちゃくちゃ不気味、ほんと、怖かった。周囲に妖気が漂っているのが見えるようだった(えっ、富十郎さんも初役だったのshock イメージ的には何度も富十郎さんで見ているような…)。
幸四郎さんも吉右衛門さんも、どちらかというと、外に開くのではなく内へ内へとマグマが籠もっていく感じを受けるのだが(その度合いは幸四郎さんのほうが大きい)、富十郎さんは開放的で(「大らかな」というのはそういう意味だ)、それが私は好きだ。3階の席からは時平が塀の後ろからこっそり出てきて牛車に乗っていたように見せるところが丸見えだったけれど、富十郎さんの堂々たる「乗っていたふり」が又素晴らしくよかったsmile
芝翫さんが一際小柄なので、3人の体の大きさのバランスがどうかと思ったが、意外にも全然気にならなかった。芝翫さんがそれだけ大きく見えたのであろう。しかも、芝翫さんと富十郎さんの大きさに吉右衛門さんがいつもより小粒に見えてしまった。面白いことに、幸四郎さんにはそれを感じなかった。
車引でいつも思うこと。杉王が梅王と桜丸につっかかり、足をばっと開いてぐっと腰を落とし拳を固めた右手を上げた形をしばらく取り続けるが、これは相当苦しい姿勢ではないだろうかと、毎度、杉王役の役者さんを心配していた。今回の錦之助さんは途中でじりじりと足の開き加減を小さくしていた。それに従って腰の位置も少し高くなり、いくぶん姿勢が楽になったのではないかと思った。
満足な「車引」でした。

「京鹿子娘道成寺」
あれだけ大勢の所化さんが出てくるとやはり華やかな感じがする。所化の中で、鶴松クンが勘三郎さんの踊りを食い入るように見つめていたのが印象的であった。また、筋書きに小山三さんの名前があるのに見当たらない。小山さんも休演なの?と心配になってきた頃、おお、三方に烏帽子を載せて登場したではないか。烏帽子を無事勘三郎さんの手に渡したときはちょっと胸が熱くなった。でも、双眼鏡をずっと覗いていたので拍手し損ないましたゎwobbly
踊りは、手拭踊りのところでちょっと眠気が差してきたけれど、あとは食後(食事の時間が早すぎる)にもかかわらずちゃんと見て楽しむことができた。勘三郎さんはふっくらとして豆狸みたいな(失礼bearing)愛らしさがあって、清姫の怨霊との差が際立つ。
押戻しは花道がほとんど見えなかったので残念だったが、本舞台で再び團十郎さんを見られて幸せ。
舞い尽くしも、とう尽くしも、初場所開催中の大相撲のことをちょっと入れていた(「強い力士は取り口がうまい。負ける力士は脇があまい」。とう尽くしのほうは何だったかな)。とう尽くしではマックカフェのことも言っていたように思うけど、よく聞き取れなかった(最後は「フライドポテト~」)。
「与話情浮名横櫛」
見染の場はしっかり見ていたのに、源氏店は与三郎と蝙蝠安が強請りに来たあたりから大半、寝てしまった。歌六さんの場面も、登場と引っ込みは目覚めていたが、間が抜けている。それが自分としては残念。蝙蝠安の彌十郎さんは見た目がばっちいけれど(今までの安で一番汚く見えた)、芝居は自然でよかった。ま、思うに、この芝居、それほどは好きでないのかも知れぬ(寝ていた言い訳coldsweats02)。まともな感想にならず、あいすみませぬ。

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コメント

与話情浮名横櫛はどちらかというと市川家ゆかりの演目なのに、團十郎、海老蔵親子が与三郎がニンじゃないのが残念ですよねえ。今や仁左衛門のイメージが強い。今月もその雰囲気を持つ染五郎がよくやっているから持っていかれそう。

投稿: takako-tk | 2010年1月22日 (金) 10時04分

takako-tk様
「与話情」って、市川家ゆかりの演目だったのですね。そういうことには疎い私、知りませんでした。ありがとうございます。
海老蔵さんの与三郎も一度見ているはずですが、記憶にある与三郎は、5年近くも前になろうというのにやはり仁左様。でもの染五郎さんもニンだし、いい与三郎で(大半、寝てしまったのがもったいない…)、持っていかれそうというお気持ち、わかります。
海老蔵さんでもう一度見て、どうなのかしらと確かめてみたいですわ。その時には市川家をもっと意識して見たいし。

投稿: SwingingFujisan | 2010年1月22日 (金) 13時49分

SwingingFujisanさまのレポを何度も読ませていただき、今月も幸せだったな~と思い返しております。
チケット代もお高いし、浅草リピートで手一杯だから、今月は歌舞伎座お休みしちゃおうかな、とも思いながら、最後のお正月だし!と、行って本当によかったです。
昼の部も満腹、満腹♪夜の部は心が満タンになれました♪
「車引」素晴らしかったですね!すごいもの見れたな!って見てる最中に涙が出てしまい困りました。
切られ与三も私は楽しみました。染五郎さんかっこいい♪

投稿: 七子 | 2010年1月24日 (日) 17時00分

七子様
ありがとうございます!!
歌舞伎座、思い切って行かれてよかったですね!! どの演目も役者さん入魂の出来でしたが、中でも「車引」は今月随一の素晴らしさでしたもの、ご覧になれたこと、私も心から嬉しく存じます。ああいう見事な芸を見ると、有り難く思えてくるから不思議ですよね(私は昨年の富十郎さんの「とうとうたら~り」があまり有り難くて涙が出ました)。
与三郎、寝てしまったのが悔やまれますcoldsweats02 染五郎さんステキでしたものね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年1月24日 (日) 22時15分

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