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2010年2月 4日 (木)

2月歌舞伎昼の部1・爪王

23日 二月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
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「爪王」
三階席を取ったのは、他の席が高すぎるからというのが一番の理由だが、「俊寛」は上から見るに限るというのもある。そうしたら、この「爪王」も上から見て正解だった。
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年ぶりの上演ということだから、もちろん初めて見るし、こんな作品があるのを知らなかった。どうしてこの作品を?と思ったら、過去2回の上演で鷹を波乃久里子が演じ、2回目には鷹匠・先代勘三郎で親子共演をしていたからだったのね。先代の追善に、よく知られた演目だけではなくこういう珍しい作品をもってきたというのも、面白い。
さて、闇の中、上手に長唄囃子の山台が浮かび上がる。演奏がややあって、舞台が明るくなると、中央に鷹匠(彌十郎)と鷹の吹雪(七之助)がいる。雪の中の鷹匠の家。私は鷹と狐が戦うという程度の予備知識しかなかったし「爪王」なんていう勇猛な題名から、自分で勝手に鷹は勘太郎さんだろうと思い込んでいた。それが若い娘の姿をした七之助さんだったからビックリした(鷹って、雌のほうが体が大きくて狩に向いているらしい)。
こういう踊りはイメージが一番大切だと思う。七之助さんを見ていると、若々しく羽ばたき、鷹匠に甘え、雄々しく戦い、痛々しく傷つく鷹がまさに目の前に現れたようであった。
吹雪は2度狐(勘太郎)と戦う。庄屋(錦之助)の依頼を受けた1度目は、まだ若すぎて老獪な狐に負け、瀕死の大怪我を負う。七之助さんの吹雪は私も鷹匠の気持ちになって思い入れができるほど愛おしく、心配して探し回る鷹匠の元へ戻ってきた時にはちょっとうるうるした。
キズも癒え、2度目の戦いに挑んだ吹雪は今度は勝つ。つまり吹雪は成長しているのである。ひとつにはぶっ返りの衣裳がそれを示すが、踊り手自身もまだ未熟な若さと、その後の成長を見せなくてはならない。2度目の戦いの七之助さんは毅然として一回り大きくなっていたような気がする。狐に勝って大空を舞う七之助さんの顔には誇らしげな笑みが浮かんでいた(この笑みが、玉三郎さんが時々見せる笑みを思い出させた)。
悪さをして村人を困らせるという赤狐は獰猛な古狐をイメージしていたが、勘太郎さんの狐は身軽で若々しく見えた。
舞台は鷹匠の家も雪山もとてもシンプルで、それがかえってしんしんとした雪の風景をイメージさせる(踊りだけではなく、舞台装置もイメージが大切)。狐との戦いの場面では、舞台に映る2人の影が幻想的かつリアルに死闘を見せる。セリやスッポンも効果的に使われている。スッポンからは狐が現れ、口の開いた左右に長いセリは深い谷底である(1度目の戦いで鷹はここに落ちる)。
朝一番の踊りだから、パスする人もいたようだが、ちょっともったいない。
夜はタイミングよく又雪が降り積もり…。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

節分の昼の部レポ、うらやましくも楽しく読ませていただきました♪
昼の部は一回目を来週にしましたので、こちらを読ませていただき、早く見たい~!待ち遠しいです、、、
私は今日は夜の部をかぶりつきで見てまいりました☆
次郎左衛門ではないですが、八ツ橋にタマシイ持ってかれました~!花魁道中なんて、ありがたくって涙出ました!美しすぎる!
でも、玉様の八ツ橋は美しいだけじゃなかったです。うまく言葉が見つかりませんが、なんともいえない、心を揺さぶられる八ツ橋、という気が致しました。
SwingingFujisanさまの夜の部レポが早く読みたいです♪心待ちにしております~♪

投稿: 七子 | 2010年2月 6日 (土) 22時20分

七子様
コメントありがとうございます。
奮発なさった甲斐がありましたねgood かぶりつきのお席からは、モナリザならぬ玉様の微笑みがよくご覧になれたでしょう。登場しただけで見とれるのに、あの笑みを向けられたら、次郎左衛門ならずとも魂をもっていかれますよね。私は3階2列ですので、ギリギリ見えるかどうか(戻りで3階1列のいい席が出ていたのですが、日が合わなくてweep)。心を揺さぶられる八ツ橋、楽しみですわ~。

「爪王」の七之助さんも、ご期待くださいね。歌舞伎座のさよなら公演、しかもおじい様の追善公演で、初役であれだけの表現ができるとは、どれだけ研鑽を積まれたことでしょう。見事です。

投稿: SwingingFujisan | 2010年2月 7日 (日) 02時50分

SwingingFujisan様
 お早うございます。昼の部のレポ楽しく拝見しました。口上の各俳優のセリフを、よくこんなに詳しく記録されましたね。私は、口上はいつも喜んだり、感慨をもって聞いたりしますが、終わると殆ど忘れてしまいます。
 私も、昨日夜の部、観劇しました。ともかく「籠釣瓶」が最高です。主役三人の均衡が素晴らしく、歌舞伎座の大舞台そのものでした。満員の観客も固唾をのんでみていて、その緊張感が凄かったように感じます。玉三郎の八つ橋は歌右衛門とは別の次元に達する傑作だと思います。細かい演技、心中に秘める役づくりが、かなり異なるように思います。見染めは、歌右衛門の場合、足先の揺れからはじまり、それが上半身にうつり、あの拡大、スローモーション化した顔の笑いにつながりました。福助はこれを受け継いでいます。ところが、玉三郎の場合は、「春の光をあびた菩薩のごとき笑い」(あの淀川長治さんの評です。ヨドチョーさんは玉三郎大贔屓でした。)です。
縁切りの心持も、見ていてかなり違ったように思います。どちらも、次郎左衛門にすまないと滲ませますが、表現方法がかなり異なりました。
 Fujisanさんの夜の部レポ楽しみにしています。
 

 

投稿: レオン・パパ | 2010年2月 7日 (日) 09時13分

レオン・パパ様
おはようございます。
コメントありがとうございます。
レオン・パパ様も昨夜ご観劇でしたか。
「籠釣瓶」は私にとっての歌舞伎の原点とも言える演目ですし、レオン・パパ様、七子様お二人のご感想を伺って素晴らしい舞台を頭に思い浮かべ、早く見たいと胸膨らませております(一応、明日見る予定でいます)。
あの微笑をこうして解説していただくと、不思議なことに玉様ではなくて福助さんの笑みが思い出されて、そこから確かに歌右衛門さんの笑みが甦ってくるような気がします(そこまではっきり覚えているわけではないのに)。

口上は私も聞いたそばから忘れてしまうので、自分の記憶のためにも必死でメモしましたcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2010年2月 7日 (日) 09時32分

こんにちは。
こちらにもお邪魔いたします。

昨日は珍しく夫と2人で観劇。彼はこの演目が一番おもしろかったと申しておりました。勘太郎くんの踊りに魅了されたようです。舞台がシンプルだったせいか、転換の時間も短く、勢いがそがれることなく進んでいったのもよかったのかなと思いました。

あまり演じられることのない演目のようですが、いろいろな若手の方の踊りでも見てみたいと思いました。

もう一度見たい!と思ったけれど昼の部はほとんど真っ赤で涙をのんだからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2010年2月 8日 (月) 12時38分

からつぎ様
こちらにもありがとうございます。
ご主人様が一番面白かったとおっしゃる「爪王」、私も同感です。短い時間の中で、吹雪と鷹匠の間に通う感情、吹雪の成長、戦いの凄まじさ、すべてが見事に表現されていたと思います。勘太郎さんの踊りも力強くてメリハリがあって、素晴らしかったですね。実は、私も「爪王」見たさににもう一度、という思いはあります。機会があったら幕見でも、とは考えているのですが、朝イチというのがちょっと…。
チケット、今は真っ赤っかでも、時々戻りが出るみたいですよ。

投稿: SwingingFujisan | 2010年2月 8日 (月) 13時11分

SwingingFujisanさまにほめていただいて(って、別に私がほめられた訳ではないのですが、勝手に喜んでおります)
楽しみにしておりました爪王♪まずは最前列から☆
本当に愛おしい吹雪でした!一度は敗れ、傷ついて、瀕死の重症を負い、痛々しい吹雪…でも、二回目に狐に挑む時には一回り大きくなって、自信を持って闘っている、という表情で、どちらもぐっときました。
せっかく教えていただいたのに、上から見る機会がないのが残念です…(お恥ずかしながら、幕見はまだ経験がないのです…)

そうそう、四月のも少し詳しい配役が大間にあがっておりました!
Swingさまご贔屓の海老サマは朝イチのだんまりにご出演のようです。こちらに菊之助さん、松緑さん、染五郎さん、獅童さん、中村屋兄弟も。
あと、梅枝くんは三人吉三のおとせです。
あと、助六のところに海老サマ口上となっておりました!初心者の私にはよくわかりませんでスミマセン><

投稿: 七子 | 2010年2月11日 (木) 17時06分

七子様
最前列でご覧になる吹雪と狐の戦いは迫力があったでしょう。瀕死の状態で必死で家に戻った吹雪は本当に愛おしかったですね。
強く成長した吹雪の誇り高さにも胸が熱くなりました。
好きな役者さんの活躍はできるだけ近くで見たいもの。私だってそうですよ。表情もよく見えるし。今月、一度は最前列で見たいとは思ったのですが…。

4月の情報、ありがとうございます!!
時様ご出演の「だんまり」、豪華花形がどっと共演とあって、ますます楽しみになりました。
「助六」の口上は、幕開きにこの芝居の由来を簡単に述べた後、「河東節の皆様、お始めくださりませ」とか言って、そこから河東節の演奏が入ります(と思います。私も「助六」って1回しか見たことないんですcoldsweats02)。
海老ちゃんは、口上だけなのかしら。それはもったいないなぁ。
千穐楽第三部のチケット、がんばるぞっdash

投稿: SwingingFujisan | 2010年2月11日 (木) 21時29分

教えて下さってありがとうございます!!そして、だから河東節だから成田屋だ、と皆さんおっしゃってたのですね!そんなの由縁江戸桜ってなってたら成田屋じゃん、って(心の中で)突っ込んでた無知が恥ずかしいです…
あれ~?こないだ南座で見た時は口上とかなかったよな~とキョトンとしちょりました、、、ありゃりゃ

何はともあれ…四月ますます楽しみになってきましたね♪

今日は俊寛からぢいさんばあさんまで泣きっぱなし。仁左サマかわゆらしかったですね~☆

投稿: 七子 | 2010年2月11日 (木) 22時06分

七子様
いえいえ、私も何しろ1回しか見たことがないので、全然詳しくないんですよ。えらそうに書いたのは、前回見たときの自分のブログを読み直したり、筋書きをひっぱりだしたり、古い録画を見たりして、なんですcoldsweats02
口上は河東節が演奏される場合に入るそうで、河東節は市川團十郎家に限り使われているとのこと。南座は確か仁左様でしたよね。だから河東節もなく、口上もなかったのではないでしょうか。
間違っていたらごめんなさいね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年2月11日 (木) 22時58分

今日は16列から見てまいりました☆
前回は近すぎて(それも見たい!んですけど)迫力と美しさに目と心を奪われましたが、今日は客観的に見ることができて、更にもう一回見たくなってしまったほどです!!
あとは千穐楽まで平日ばかりで再見はかないませんが、今日のお舞台をしっかり心に焼きつけておきます♪
やっぱり勘太郎さんは上手ですね…二人で戦うところがまたよかったです。
今月は今の歌舞伎座で七之助さんをたくさん見れたので、幸せでした♪

投稿: 七子 | 2010年2月21日 (日) 18時12分

七子様
二月の歌舞伎座を思い切り楽しんでいらっしゃるご様子、こちらまで嬉しくなります。
16列目というのは、私は未経験だと思いますが、舞台までの距離がありますから、その分客観的になれるのかもしれませんね。
また、視野が広くなり、全体が見渡せるのも客観性を増しますね。
どこで見ても素晴らしいと感じられる演技は見事ですね!!
4月の連獅子が楽しみですねshine

投稿: SwingingFujisan | 2010年2月21日 (日) 23時47分

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