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2010年3月29日 (月)

3月歌舞伎第三部再見:千穐楽

328日 御名残三月大歌舞伎千穐楽第三部(歌舞伎座)
こちらも二度目なので、やはりさらっと。
「道明寺」
立田の前の哀れさが前回より心に響いた。ワルい頭の働く父親に、悪だくみを「思い『切った』」と言わされたちょっと頭のまわらない立田の夫・太郎。なぜかそんなおバカな夫を愛している立田は「思い『切った』」の本当の意味を知らず、これで元の舅・嫁、夫婦になれると喜んだのに、邪悪な太刀を浴びたその哀れさ。さすがに夫の太郎はなかなか思い「切れ」ず、その背中を押したのは父親であった。とはいえ、その後は自分の意志であり(一度タガがはずれると、突き進むしかないのだ)、覚寿ならずとも腹わたが煮えくり返るような怒りと悔しさを覚えた。
真犯人に気づいた時の玉様・覚寿の表情が見事。水奴を犯人に仕立てようという騒ぎの中で、立田が咥えた布の切れ端を見てはっとあることに思い当たり、それをじっと確認する。絶望と怒りと悔しさと娘哀れの混じった表情に涙が出た。玉様の覚寿はリアルに感情が表れていて、深い共感を覚える。忘れがたい覚寿である。
しかし太郎はどうしてあんな暑苦しい衣裳なんだろう。
トッテンコーは客席に大受けだった。
二枚目の錦之助さんが化粧で三枚目に。意外と似合っている。こういう丁寧な三枚目って好き。
別れの場面の仁左様は頬に涙が伝っていた。苅屋姫に対する父親の心情、姫の父親に対する気持ち、それが頂点に達する檜扇の場面、私もたまらず泣いた。花道の引っ込みでも仁左様の目から涙が伝う。その仁左様の引っ込みをたっぷり味わったあと、温情溢れ凛々しい我當さんの輝国が引っ込む。我當さんの目にも、今にもあふれ出しそうな涙が浮かんでいるようであった。
松島屋3兄弟に玉三郎さん、追善の主役4人に泣いた「道明寺」であった。

「石橋」
前の「道明寺」で高まった感情のまま帰りたい人が多かったのか、千穐楽最後の演目だというのに、けっこう空席ができた。私は前回寝てしまったので帰るわけにいかない。帰らないでよかった。
幸四郎さんが出てきたとたん、「お、染五郎か」とまでは言わないけれど、一瞬似ている、と思った。
鷹之資クンが格段によくなっていた。と同時に、鷹之資クンが必死に堪えている姿勢や動きを富十郎さんが楽々とこなしているのをさすが、と思った。鷹之資クンもやがて平然とそういう動きや姿勢を取るようになるのだろう。矢車会の「勧進帳」を追ったETV特集を思い出し、ちょっとウルウルした。
錦之助さんと松緑さんの間狂言が楽しかった。2人とも姿・形がきれいでとくに松緑さんの踊りに表情があるような感じを受けた。錦之助さんの震え方がすごく細かくてきれいでうまい。
スッポンから再び現れた鷹之資クンは文殊菩薩としての風格が感じられてびっくりした。
ところで、第三部の席は花道のすぐ脇で、スッポンの中で機械が動くような音が聞こえ、お、鷹之資クンが出るな、と事前にわかってしまう。また、「道明寺」では花道を引っ込んだ役者さんたちが舞台裏へ帰る音なのか、ばたばたという足音や話し声が聞こえてくるのが興醒めのような面白いような…
3
月、4月は通常では取らないような席が当たったが、これもなかなか悪くない。何でも角度を変えて見るというのは大事なことだと思った。

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