« 「召しませ歌舞伎」著者インタビュー | トップページ | 全編血塗られた「ヘンリー6世」 »

2010年3月18日 (木)

初日とは大違いの感動・興奮:そめさま再見

317日 「染模様恩愛御書」昼の部(日生劇場)
先日の歌舞伎座第三部からここへくるまで2つ飛ばしているのだけど、とりあえず興奮が醒めないうちにこちらを。
初日に大阪の初演に比べて感動が薄く、ちょっと消化不良気味な、という感想をもったので、実はこの日はパスしようかと迷っていた。でも行ってよかった。
初日とは全然違って、感動感動、実に面白かった。
友右衛門と数馬の出会いは、数馬の恥じらいドキドキ感がはるか2階席(初日とまったく同じ席だったのだぁ)にも伝わってきて、ちょっとときめいてしまった。
2
人の思いにも、友右衛門の男っぽさ、忠義心(染五郎さんがほんっと、カッコイイ)にも、細川の殿様の大きさにも、奥方の思いやりにも、涙が滲むほど感動した。
初日に何となく安っぽく聞こえた音楽も今日は芝居にマッチしていると思ったし、上滑りしているようだった講談もしっかり芝居に入り込んでいて、とくに火事の場面では緊迫感を大いに盛り上げ、わかっていても展開にハラハラさせられた。
客席の反応もよく、初日同様たしかにラブシーン(濡れ場だけでなく、見つめあう場面など)には笑いが起きていたけれど、たとえば刀を首に当てられても動じず死のうとする友右衛門(袖助)の潔さ・胆力に細川越中守が感心して「あっぱれ」と褒める場面に、また「絶えずして流るる水を見渡せば 上は細川下は大川」の一首に、客席から期せずして大きな拍手が湧いたのには、共感と喜びを覚えた。
猿弥さんの悪役ぶりがますます冴えを見せていた。刀というのは時に武士の人生を狂わせるようだ。事情は違えど「ぢいさんばあさん」の伊織もほしい刀を手に入れ、大きな代償を払った。また、「祐定は切れるなあ」というセリフに、武士ではないが佐野次郎左衛門のセリフが重なった。
女方では芝のぶちゃんの薄幸の美女は哀れながら芯の強さを感じさせ、かつ愛らしく、春猿さんのあざみには恋する女の悲しさが滲み出ていた。

ちょっとツッコむと、欣也さん(質屋)のギャグは古すぎでしょbleahYes, we can.」「イナバウアー」は言うに及ばず、浅田真央ちゃんの銀メダルも今となってはちょっとズレる。とはいえ、この質屋さんはお富にからむ番頭・藤八みたいな感じで場を和らげた。
それから、友右衛門と数馬が義兄弟の契りを結ぶ場面で、初日はたしか傷口を覆う手拭をそれぞれが1枚ずつ裂いて使っていた、つまり手拭を2枚使っていたような気がしたけれど(記憶違いだったらごめんなさい)、今日は1枚を半分ずつ使っていた。
あとは千穐楽に火の粉を浴びる席で見るのだけれど、その前にもう一度見たいかも、なんて思いながら帰ってきたのでした。

|

« 「召しませ歌舞伎」著者インタビュー | トップページ | 全編血塗られた「ヘンリー6世」 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

おはよ~ございます。

やっぱり日に日に良くなっていますよね。よかったぁ。初日は心配しましたよね・・・あの大阪での感動はどこに?って思いましたよね。私も12日に見た時には、感動しました。最前列で見たからかなぁと思いましたけど、2階にも伝わっているのですね~。

>染五郎さんがほんっと、カッコイイ

ほんとに、ほんっとにカッコイイですよね。また会いたくなってきた♪私はまだあの音楽(ピンク&紫の照明も)には違和感があるのですが、次はいけそうな気がしてきました!欣也さんのギャグは確かに古い!でも臆することなく堂々とやってのける欣也さんが好きです。

友右衛門と数馬が義兄弟の契りを結ぶ場面の手拭、初日は確かに、それぞれが1枚ずつ裂いて使っていましたね。しかもあまりうまく裂けてなかったような。でも12日の段階ですでに、1枚を仲良くシェアしていました。そのほうが距離が近づく感じで良いですよね。キュンとします。

私は、結局あと2回行くことになりそうです。計4回。。。

投稿: aki | 2010年3月18日 (木) 11時27分

こんにちは。

わたしは二日目・7日に観に行きましたが
契りの場面,たしか手ぬぐいは1枚でした。
1枚を分けて使うほうがやはり契ってる感が強いから
そちらのほうがいいですよね!

色っぽい場面のピンクの照明はそのままなんですね…。
あの照明にはかなり度肝を抜かれたけれど,大丈夫かな…。
わたしは22日に観に行ってまいります。
ステキなお二人の姿,しっかり観ておきます!!

投稿: あねご | 2010年3月18日 (木) 12時25分

SwingingFujisan様
 こちらにも、コメントします。日生劇場、初日に比べ随分良くなっているとのこと、三連休に見にゆく小生は楽しみです。最初のレポ、やや、舞台の温度が低そうで、心配だったのです。染五郎は新作(復活物?)が上手いですからね。
 今日は、歌舞伎座第3部、三連休に国立(国立、あまり評判よくないですね・・・)と、歌舞伎三昧の日々(今週は年休消化で数日休みなのです。)です。

投稿: レオン・パパ | 2010年3月18日 (木) 12時32分

私は、愛之助丈の恥じらいのある色気にやられっぱなしでしたlovely猿弥さんも無事復帰してシッカリと憎々しい敵役を演じてくれて嬉しい限りnotesただ、物語としても面白いのにあまりに短くカットされていたのがちょっと残念でした。非常に美しいお2人だし、前回の長さでも見てみたい!

2人が初めて結ばれる(帯を解かれてクルクル回る染五郎さん。笑)場面を見たあざみが散々悔しがった後に、客席から「頑張りやぁ〜」と声がかかって劇場内が大爆笑でした。春猿さん、よく笑わなかったなぁsmile

投稿: 林檎 | 2010年3月18日 (木) 21時14分

aki様
aki様も2度目には感動されたんですね!! 
せっかくのchallengingな作品なのですから、初日のままでは残念な気がしていましたが、初見の方々の評判はよかったので、大阪公演と比較するのがいけないのかなあと思っていました。でも、東京公演再見のほうが感動したというのは、やはり大阪と東京では違う公演であり、日に日に芝居が進化していっているということですね。

欣也さんはいい役者さんですね。古風な感じが好きです。

手拭、やっぱり初日は2枚使っていましたか。どうしてそんなことをするのかしらと違和感を覚えましたが、きっと役者さんの間でもそういう疑問が出たのでしょうね。

私も、行けたらもう1度行きたいですわ~heart04

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月18日 (木) 23時39分

あねご様
手拭を2枚使ったのは初日だけだったのですね。2枚使う必然性がわからなかったのですが、役者さんの中でも反省が出たのかもしれません。

ピンクの照明はそのままでしたね。あの場面がなかったらどうかとも考えてみましたけれど、あそこまで悪びれずにやるというのも面白いと思います(何度見ても、ちょっとテレてしまいますが)。

座席にかなり余裕があるのが残念。もっとたくさんの方に見ていただきたいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月19日 (金) 00時00分

1回しか観ないので比較できませんが、面白かったです。特に門之助丈が良かったです。「良きリーダーのもとに良き部下有り」を地でいく芝居ですね。
但し、幕間1回のこの上演時間は物足りないという気分は否定できません。最近、「時間当たり単価」が上がっていますよね。国立劇場も同様。スピード化のご時勢ですので止むを得ない面もありますけど。

投稿: うかれ坊主 | 2010年3月19日 (金) 01時15分

レオン・パパ様
せっかくこれから見にいらっしゃる方のためにも、再見で感動・興奮を覚えてよかったと思います。
ただ、男性はこの芝居をご覧になってどういうご感想をお持ちになるのでしょう。女性の間ではBLというジャンルがある程度確立されているような気がしますが、男性はどのように感じられるのでしょうか。ご覧んあられましたら、またご感想をお聞かせくださいね。

国立は渡辺保先生の評によると、脚本が悪いようです。私の理解力の問題かと思いましたが、安心しました。

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月19日 (金) 01時32分

林檎様
愛之助さんの色気もよかったですねえ。この作品、染五郎さんの役はある程度年齢がいってもやれそうだけれど、さすがに数馬には年齢制限があるだろうと思い、では誰が愛之助さんに代われるだろうと考えました。でも現時点では誰も思い浮かばないのです。数馬=愛之助なんです。題名にも「愛」が入るのが頷けるほど、このコンビがぴったりですよね。

「頑張りやぁ~」。わかりますね(^^) 一方で友右衛門と数馬の愛を応援し、その一方であざみの気持ちも理解できる。これは大阪での観劇時にはなかったことです。春猿さんの演技が深くなった証しだと思います。

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月19日 (金) 03時17分

うかれ坊主様
男性の目にこのお芝居がどう映るのかしらと心配していましたので、面白かったというご意見、嬉しく存じました。
門之助さんの細川公、よかったですよね。門之助さんはこういうお役が本役なんだろうなと思いました。
上演時間はおっしゃるように短すぎます。大阪での時間がどれくらいだったか、自分でも記録していないのでわかりませんが、初日の満足感が不足したのはそのせいもあるかもしれません。あんまり簡潔に手際よくまとめられると物足りなさが残りますね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月19日 (金) 03時26分

私も昨日、二回目行ってまいりました♪初回と同じ火の粉席でも、昨日はさらに花横でお芝居に没頭?でき、ほけ~っとしました☆
そめさま、あいさまはもちろん、他の役者さんが皆さん素晴らしくて、それがまた感動でした。どなた、と取り上げはじめたらキリがないですね。
(数年前、浅草に七之助さんの春興鏡獅子を見に行って、忠兵衛の愛さまにメロメロになった私なので、ニンとかわかっちゃいないんですけど)愛さま数馬、すごくよかったです!見る前は年齢的にもきびしいかな、と心配していたのですが、とんでもないおせっかいでしたね…さすが愛之助さんですね!数馬にはホント泣かされました~
そして昨日はあざみちゃんにも感情移入して、あざみちゃんの最期に泣けたとです。

SwingingFujisanさまのおかげで二回見ることができてホントによかったです!!勝手に二回にしましたが、どうもありがとうございました♪♪♪

投稿: 七子 | 2010年3月22日 (月) 11時18分

SwingingFujisan様
 今日、日生劇場の昼公演行ってきました。率直にいって、肩がこらず、なかなか楽しめました。先般、話題の二人の濡れ場は、女性客のしっかりした笑いが起こっていました。おそらく、男性客はあまり笑ってなかったですね。こういう場面は、演じる側として、照れないのが一番なのでしょう。歌舞伎という演劇が、女形を容認しているわけですから、衆道の物語も歌舞伎の大きな枠に入ると思えば、それほど抵抗があるとも思えないのですが。
「細川の血達磨(実際は血達磨というより火達磨ですよね?)」は昔、狂言名題のみ聞いたことがありましたが、こんな筋書きだったのかと興味津々でした。関西の古いやり方は結構こってりしたやり方だったと思われますが、今回のやり方は現代人向けにスマート(屋根を使わない装置、さまざまな色の照明、竹本ではなく講談の挿入、和楽器主体ながら演歌風の挿入歌、等の新演出)なやり方で、これはこれでありでしょう。主役二人は大熱演でした。染五郎の階段落ち、凄かったですね。染五郎の役が、もっと男性的な役者(例えば海老蔵、松緑)、愛之助の役が女形主体の役者(例えば菊之助)であれば、もっと生々しさがでたかもしれません。今回の二人がちょうど程の良い感じです。他の役者さん達もそれぞれ適役ですが、芝のぶの愛らしさ、声の良さが気に入りました。こういう、御曹司ではなく、研修生あがりの(おもだか屋以外の)役者に良い役がつくことは、歌舞伎の将来のためには本当にいいことです。
 公演時間は私も短いと思いましたが、日生劇場という劇場には、あっているのでしょう。歌舞伎座であれば、少なくとも、もう1演目、できれば舞踊(主役2人の「競獅子」や「三社祭」など)があれば、歌舞伎を見たと満足するのですが・・・。

投稿: レオン・パパ | 2010年3月22日 (月) 18時14分

七子様
ご丁寧なコメント、ありがとうございます!! 
七子様のご観劇ライフのお役に立てたようで、大変嬉しく存じます。
花横のお席とは羨ましい。花道度がけっこう高いですものねぇ(染さまの書き損じラブレターほしいっbearing)。
愛之助さんの数馬は、初日の感想に書きましたが、私は大阪よりよかったように思いました。年齢は大阪より高くなっているのに若々しくて(出会いの場など初々しい)、ステキですよね。感情表現も適度に豊かで、ラストの悲しみなど本当に心を揺さぶられます。
あざみちゃん、可哀想。数馬と友右衛門の幸せを願いつつ、一方であざみの気持ちも理解できる…春猿さんがあざみの心情をよく表していましたね。しかも春猿さん、めちゃめちゃ綺麗happy02
悲劇ながら後味もよく、かなり思い入れることのできる舞台で、千穐楽の興奮が今から楽しみです。

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月22日 (月) 18時19分

レオン・パパ様
詳しいご感想、ありがとうございます。
男性の目にも好もしく映ったのは、「そめさま」ファン(ええ、もうすっかりこのお芝居のファンです)として嬉しい限り。
おっしゃるように、染・愛の配役がよいのでしょうね。濡れ場は、お2人とも確信犯的にテレずに思い切りやろうという考えのようですね。変にテレたり曖昧にするほうがイヤらしくなるかもしれないので、あれでいいのだと思います。
また、確かにこってりしていないのが大方に受け入れられる要素なのかもしれませんね。演出もそうですが、ここでも主演の2人の特質が大きいような気がします(染五郎さんの清潔感、愛之助さんのクドくない色気)。
芝のぶちゃん(どうしても「ちゃん」づけで呼びたくなってしまうのです)の活躍は嬉しいですね。研修生出身の後輩たちの励みにもなりますし、御曹司たちにも刺激を与えるのではないでしょうか。

そうですね、お芝居には劇場の特性も影響しますね。初演の松竹座では3時間ほどの上演だったそうですが、日生と松竹座、それぞれに合った時間なのかもしれません。

火達磨の染五郎さん、素晴らしい身体能力ですね。初日には「千穐楽までもつかしら」と心配になるほどでしたcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2010年3月22日 (月) 19時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/33825585

この記事へのトラックバック一覧です: 初日とは大違いの感動・興奮:そめさま再見:

« 「召しませ歌舞伎」著者インタビュー | トップページ | 全編血塗られた「ヘンリー6世」 »