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2010年4月29日 (木)

最後の千穐楽の歌舞伎座:鑑賞篇2

428日 御名残四月大歌舞伎千穐楽第二部(歌舞伎座)
全体に、役者さんも特別に気合が入っただろうし、大向こうも目いっぱいかかっていた。私のそばにお1人、とても美声の大向こうさんがいらして、事前に「役者さんもいっぱいいっぱいで頑張っているし、心をこめてかけさせていただきます」とおっしゃっていた。間近で聞く大向こうもいいものですなあ。
「実録先代萩」
宜生クンが前回に比べてずいぶん成長していて、感心した。声に哀れさが感じられ、セリフがぐっとよくなった。千之助クンの若殿には幼いながら上に立つ者の風格が感じられる(顔がおとうさんに似ている)。とはいえ、それでもなぜこの演目をかけたのかやはりわからなかった。
「助六」
海老蔵さんが登場すると、盛んに声がかかる中、野太い声で「えびさま!!」と聞こえてきたのには場内笑った。海老ちゃんは千穐楽とあってかちょっと緊張しているようにも見えた。
10042904katobusi ちなみに、本日の河東節出演者の中に「船曳建夫」の名を発見。あの「知の技法」の船曳先生ですか!! 多才ですな、皆さん。
助六の大仰な世界は、まるで夢を見ているようで、ああこれぞ歌舞伎、歌舞伎座本公演の最後にこれを見られるとは幸せそのものと感慨に浸った。次々と登場する豪華な出演者。どの役者さんもみんな好きだと思った。とくに市蔵・亀蔵の兄弟が出てきたのは嬉しい。
盛り上がる助六の世界で、満場の笑いを誘いかつしんみりさせたのは勘三郎さんである。茶化しは前と変わらないが、千穐楽バージョンなのか團十郎さんについてもう一つ、と紹介したのが、「千ダラー」のエピソード。アメリカで両替するとき「センダラー、プリーズ」とやったんですって。「え?え?」と戸惑う相手に團十郎さんは「セ・ン・ダラー」。勘三郎さんも1度目はわからなかったのだけど、2度目には「にいさん、それは日本語ですって」smile う~ん、長嶋茂雄の世界だぁ。
なんという素敵な大らかさ。遠かったので細かい表情まではわからなかったが、團十郎さんは股を広げたまま、鷹揚に聞いている。勘三郎さんはこのエピソードを紹介すると、懐から小布を取り出し客席に見せる。成田屋の三升の布である。これを頭にのせて團十郎さんの股をくぐる。
一難さってまた一難。今度待ち構えているのは菊五郎さん。「遅ればせながらしのぶちゃんおめでとう」は前回と同じだが、「今日は本人も来ている」と客席に目をやる勘三郎さん。他にも何か色々言っていたけれど、よく聞こえなかった(客席の笑い声や拍手とかぶるのだ。菊五郎さんも笑っていたように見えた)。これまた前回と同じ、菊五郎さんの股を臭がって香水をあたりに吹きかける。そして先ほどの三升の布を再び取り出し、おもむろに裏に返すと、おおそれは緑色の音羽屋の紋にかわっていた(前回もそうだったっけ?) 
勘三郎さんのうまいのはそういう小道具を出す間である。布を出し、香水をふりかけ、布を裏返し…絶妙の間である。
さて、股くぐりの<ダブルヘッダー>の後、花道にさしかかった勘三郎さんは「さよなら、さよなら、さよならって本当のさよならだよ」「夢を見せてもらった」「寂しい」「新しい歌舞伎座でも夢を見せてもらおう」「それまでお2人、お元気で」。私は笑いながら泣いた。
今の歌舞伎座のこういう空気が新しい歌舞伎座でも再現されるかどうかはわからない。でも、新しい歌舞伎座の空気を作っていくのは歌舞伎を愛するみんなである。役者さんもスタッフさんも観客も。物事には始めと終わりがある。終わりを避けることができないなら、それをしっかり見届け、再び始まる日を待とう。そして次の歌舞伎座を私たちみんなで作っていきたい、と思った。
山川さんが代表して叫んでくれたように、「歌舞伎座、ありがとうsign03

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

昨日は第三部だけですが、千穐楽に居合わせることのできた喜びと感謝の気持ちでふわふわしておりました。
SwingingFujisanさまもあねごさまや皆さまもこの中にいらしてるのだなぁとまた違ったカンゲキもありつつ、(mamiさまもいらっしゃれて本当によかったです!心配してましたので…)最後の最後をしっかり見届けました。
ところで、勘三郎さんですが、菊五郎さんに前日に無理やり?ご馳走になったそうで、そのお礼言ってました。菊五郎さん笑ってしまって、客席もそれ見てまた笑って。
なんだか笑いと涙で幸せなんだか悲しいんだかよくわからない夜でしたが、あの場にいられてよかったです!
最後はカーテンコールを期待して、というより、感謝の気持ちでずっと拍手しちゃいました。

私もあねごさまが明日見れると聞き、嬉しい気持ちでいっぱいです。

投稿: 七子 | 2010年4月29日 (木) 22時07分

千穐楽の雰囲気篇~鑑賞篇2まで、すっかり楽しんじゃいました。ありがとうございます!! おかげで、今月見たお芝居のあれこれや、好きな絵をはじめ歌舞伎座内部の様子を、いま頭の中に思い描いてしみじみしています。
「知の技法」の先生は、実は着物雑誌に袴姿で登場されてたりも。本じたい、私はちょっと懐かしい思い出があるので(今日、その編集者に会ったし)、ネタ違いながらくいついてしまいましたbleah
明日は閉場式ですね。あねご様はほんとにスゴイ。愛だなぁ。
またレポを楽しみに(岡山で)待ってます。夢心地で転ばないよう気をつけてsmile

投稿: きびだんご | 2010年4月29日 (木) 23時20分

七子様
昨日そばにいらした方が「我々は歴史的瞬間の中にいるのだ」と強調しておられました。何をもって歴史的瞬間とするのかわかりませんが、時間が瞬間の積み重ねであれば、まさに私たちは昨日歴史的瞬間の中にいたわけですね。なんという幸せでしょう。
千穐楽にしても閉場式にしても、限りある人数しか入れないのですから、演舞場なり東劇なりでパブリックビューイングでもやればいいのに、と思わずにはいられません。

勘三郎さんのアドリブ情報、ありがとうございます!!!
よく聞こえなかったものですから記憶から抜け落ちちゃったのですが、そういえば、そんなようなことを言っていたと思い出しました。菊五郎さん、苦笑のような嬉しいような優しい顔で笑っていましたね。

最後は歌舞伎座らしい終わり方だったような気がします。明日が終わったら実感が湧いてくるのかな…。

あねご様を皆さまが応援なさっていらっしゃるのが、あねご様がチケット確保できそうだということと同じくらい嬉しいですhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2010年4月29日 (木) 23時37分

きびだんご様
きびだんご様が歌舞伎座にいらっしゃらないのは残念ですが、さばさばと諦められた潔さに感服。そういうきびだんご様が私は好きです。私のレポで少しでもきびだんご様が楽しんでくださったのなら、こんな嬉しいことはありません。

「知の技法」(本の制作に関わられた?)は当時早速飛びついて、例のごとく途中でツンドク組へ。落ち着いたら読みたい本がたくさんあるけれど、これも読みたい本リストへ戻しておきましょう。船曳先生のそういう姿は全然知りませんでしたので、河東節連中の中に名前を見つけてビックリ。でも、袴姿で雑誌に載ってらしたとお聞きして、なるほどと頷きました。学者さんのこういう趣味はいいですねえ。

明日が近づくにつれ、なんだか緊張してきました。夢見心地よりも緊張してまた転びそう。さっき見たら、両膝に青アザができていましたcoldsweats02

お母様、お大事に。

投稿: SwingingFujisan | 2010年4月29日 (木) 23時54分

私は結局、第1部・2部と見る事ができました。
2部はFujisan様もいたようで、お目にかかりたかったです〜!

全歌舞伎ファンの涙雨であろうドシャブリで電車が遅れまくりで
11時開演のギリギリで入る事ができました。
だんまりの海老&菊コンビにウットリheart02
前の席にバレエダンサーの西島千博さんと真矢みき夫妻が座っていて、絶世の美男美女カップル!真矢さんは一生懸命に筋書きを見ながらカンゲキしていました。(西島さんブログに書いてらっしゃいますね)
「待ってましたっっ」の連獅子では劇場中大盛り上がり!!
本当に中村屋さんへの拍手の量って違いますよね!
花道に親子三人が出てきて後ろ向きに一度引っ込んだ時や
足を踏みならしたり3人の息の合った豪快な踊りに前の2人も「うわあ」とため息したり驚いたり、ジャンルが違えどプロのダンサーであるお2人でも感動するほどなんですよね〜♪(どっちをカンゲキしてたんだ?!と思われそうですが、仲も良くて本当にステキなお2人だったのですぅlovely
毛振りは100回いくかと期待しましたが、なんと86回!
後でクラクラじゃなかったかしら?汗
幕が閉まっても5分以上拍手が鳴りやまず、皆カーテンコールを期待したのですが(西島さんも両手を高く上げてずっと拍手してました)そこはやはり歌舞伎座。。。叶いませんでした。
とにかく感動と興奮で落ち着かないまま2部へ。。。
なんだか1部の感激でチョット薄れてしまった感はありますが、
三人吉三を再び見れて充実した一日でした。
(やっぱり團十郎さんはデッケェ〜〜☆)
3部の戻りが出ないかとチケット売り場でネバったりしたのですがやはりダメで、とっても悔やまれますが(Fujisan様のレポで楽しみました♪)素晴らしい舞台に本当に感謝の気持ちでイッパイです。
まさに「歌舞伎座、ありがとう!」「歌舞伎、いつもありがとう!」です。
そう言えば、鈴木治彦さんに初めてお会いしたので「芸に生きる、いつも楽しみに見てます!」て話しかけてみたらとても喜んで握手をしてくれて、名刺も頂きました。その時の熱い反応で、歌舞伎への熱い愛を感じました
皆の想い、愛が詰まった歌舞伎座。本当にありがとう!
今日の閉場式は行けないので、レポ楽しみにしておりますconfident

投稿: 林檎 | 2010年4月30日 (金) 10時51分

林檎様
第一部のアツいレポ、ありがとうございます!! やはり一部も見たかったなあと興奮しながら思いました。
真矢みきさんと西島千博さんが前にいらしたなんて、スゴイスゴイ。そりゃあ、そちらもカンゲキしたくなってしまいますよねwink 
ほんと、ジャンルは違っても踊りには違いなく、お2人も連獅子の素晴らしさに浸ってどんなにか感動なさったでしょうね(西島さんのブログ、あとで見てみます)。
連獅子の毛振りも最高回数ですね、きっと。全力を振り絞っての毛振りでしたのね。勘三郎さんは第二部の戸浪という大事なお役の前に素晴らしいですね。ファンを大切にする勘三郎さんの心に感動です。
鈴木治彦さんもいらしていたのですね。「芸に生きる」は鈴木さんの歌舞伎愛と知識がゲストの人間性や歴史を引き出して、私も好きな番組です。お声をかけられてよかったですね。
閉場式が近づくにつれ、緊張してきました。まだ自宅にいていいのだろうか、こんなことで遅刻したりしないだろうか、なんてね(千穐楽の朝は大変でしたね)。

投稿: SwingingFujisan | 2010年4月30日 (金) 11時25分

4/4の第3部の河東節連中には、なかにし礼さんがご出演されていました。
千秋楽はまさに劇場全体が「狂騒」状態でしたね。
第3部のみの拝見でしたが、その場に居られたことを心の中にしっかりと留めておきたいです。
助六ではカーテンコールがなくて良かったです。(普通に終わっていただいて良かった。)

投稿: うかれ坊主 | 2010年5月 1日 (土) 13時05分

うかれ坊主様
そうですそうです、私も同じ日に第三部を見ましたが、なかにし礼さんのお名前が出ていましたね。何日だったかはG・M・ナイルさんもご出演なさったそうですよ。意外な方のご趣味・才能を知るのも楽しいですね。
千穐楽の最後、歌舞伎座らしくてよかったと私も思いました。時間通り始まって時間通り終わる、そういう歌舞伎座らしさを最後まで貫きましたね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月 1日 (土) 15時10分

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