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2010年4月 5日 (月)

4月歌舞伎座第二部・1

44日 御名残四月大歌舞伎第二部(歌舞伎座)
2
月末以来の疲れのピークか、体調が悪く、よほどパスしようかとも考えたが、チケットが真っ赤っ赤の状態でそれは申し訳ないもの。
「寺子屋」
あの連獅子で幼いながら役者根性を見せた金太郎ちゃんが菅秀才として登場。いわゆるお芝居としては初めてのお目見えになるが、容貌といい雰囲気といい菅秀才にはぴったりだったと思う。
高麗蔵さんの涎くりは小柄なこともあったのか、まったく違和感なく、子供たちに溶け込んでいた。錦政クンが子供たちの中で自分なりの演技をしている感じで、やっぱりこの子は上手だなあと思った。
何回か見ている「寺子屋」なのに仁左様の武部は初めてだ。これまでで印象に残っているのは梅玉さん、勘三郎さんとやわらか系。仁左様はちょっと武張って見え、こういう人が悩むのはよほどのことだと思う反面、そんな悩みたちどころに解決してしまいそうな感じもした(それは、私が仁左様のスーパーマン的な要素に感じるもの)。
勘三郎さんの戸浪も初めて。はじめのうち、高い声が掠れるのが気になったが、芝居が進むにつれ、気にならなくなっていった。
彦三郎さんの春藤玄蕃は、久しぶりに憎らしい玄蕃を見たという気がした。これまでは、子供たちの首あらための間、割とやさしい表情になっている印象を受けることが多かったから。
菅秀才の首実検が終わって、松王と玄蕃が帰った後の武部夫婦のほっとした様子は、「筆法伝授」を見ていたからよりよく理解できた。あの花道で戸浪が菅秀才を背負い、必死の面持ちで落ちていく様を見ておいてよかった。
唇も真っ白、紅を差さない玉様(千代)はとてもきれい。武部に斬りかかられ「小太郎はお役に立ちましたか」と声を振り絞るようにした千代のこの一言で、私はどっと涙が出た。この後もずっと涙が止まらず、時には声を立てて泣きそうになったりもした。周りでも泣いている人がかなりいたと思う。
幸四郎さんの松王丸は、時々台詞が口の中に籠もることはあっても、菅丞相に「梅は飛び 桜は枯るる世の中に 何とて松のつれなかるらん」と詠まれた苦悩(松竹梅3兄弟の就職を斡旋したのは菅丞相であり、松王が藤原時平に仕えることになったのも菅丞相のはからいであり、たまたま時平と菅丞相は敵対関係に陥ってしまっただけのことであり、松王は時平の家来としての務めを果たしているだけだと思うから、この歌は松王にとっては気の毒な気がする)、にっこり笑って死んでいったと聞かされた時の思いが切々と胸を打った。幸四郎さんの松王は好きなのだ。弁慶よりずっといいと思う。ただ、桜丸を不憫に思ってなく場面ではどういうわけか、涙が出なかった。

「寺子屋」を見るたびに気の毒に思うのは、小太郎の遺骸である。首のない遺骸を弔う両親の気持ちは如何ばかりか。ここでもどっと涙が出るのである。
この芝居の園生の前(時蔵)は、あまり表情がなくて冷たいとさえ思うことがあるのに、今回初めて人間らしい悲しみの表情を見たような気がする。
武部を演じられる人が戸浪を演じ、松王丸を演じられる人が武部を演じ(吉右衛門さんもそうだ)…歌舞伎ってすごいな、面白いな、と舞台とは直接関係のないことを思ってしまった。そして勘三郎さんの戸浪や玉三郎さんの千代に泣きながら、なぜか思い出すのは芝翫さんの戸浪であり千代であった。ところが、後で上演記録を見たら、私が見るようになってから芝翫さんは戸浪をやっておらず、千代も1度しかやっていないのである。ビックリ。
それにしても、第一部では熊谷一子小次郎の身替り悲劇、第二部では松王一子小太郎の身替り悲劇、そして第三部では浅岡の一子千代松の母との別れと、最後のさよなら公演は涙を出させる演目が揃っている。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan様
 おはようございます。昨日、第一、二部観劇してきました。どの演目も充実の配役で、なごりの歌舞伎座堪能してきました。それにしても、客席、売店の込み方すごいですね。
 印象に残った役は、まず、富十郎の弥陀六です。本行に戻ったセルフとのことで、初めて聞くセリフが多いのですが、要所をかっちり締めていました。あと、中村屋の戸浪です。ぼってりとした、やさしさを感じさせる、良い戸浪だったと思います。
 私が、歌舞伎を見始めたころの、大顔合わせの「寺子屋」は、誰が他の役をやろうとも、殆どの戸浪は芝かんでした、知的で気が利き、情もある良い戸浪で、この優の千代よりも印象があります。
 ところで、「連獅子」、ダイナミックで興奮させられますが、勘太郎の毛ぶりをカウントしました。舞台袖が7回、雛壇に上がってからは63回でした。凄いですね。但し、「連獅子」は、独りをカウントすると、ほかの優がみられなくなるので、止めたほうがいいですね。

投稿: レオン・パパ | 2010年4月11日 (日) 07時45分

レオン・パパ様
こんばんは(になってしまいました。早朝にコメントをいただいたのにすみません)。
通しの場合、一部・二部のご観劇は正解ですね。私もそうすればよかったと思っています。
さすがに最後の月とあって、役者さんの演技にも凄みさえ感じるようなところがありましたね。富十郎さんもそうでした。弥陀六の複雑な胸のうちが富十郎さんを通して痛いように伝わってきました。
勘三郎さんの、愛敬を封じた楷書の役はいいですね。独特のまろやかさがやさしさを感じさせるのでしょうね。

そうですか、レオン・パパ様にとって、芝翫さんは千代より戸浪ですか。芝翫さんの戸浪を見ていない私が見たような気になっているのですから、実際にご覧になったレオン・パパ様の印象に強く働きかけているのはわかるような気がします。私は芝翫さんに特別な感情をもっているわけでもないのに、気がつくと、あの役は芝翫さん、この役も芝翫さん、と記憶に残っていることが多いのが不思議です。

連獅子の毛振り、私も数えようと思っていたのに、踊りに引き込まれてしまって、数え忘れました。でも、数えなくてよかった。おっしゃるように、ほかの2人が見られなくなりますものsmile しかしあわせて70回も振るとはすごい!!(そういえば鏡獅子の海老蔵さんは50回前後でしたね)

投稿: SwingingFujisan | 2010年4月11日 (日) 18時30分

SwingingFujisanさまfuji おはようございますsun
昨日、第二部を見てまいりました。行く前にもこちらを何度か読ませていただき、予習はバッチリ!
私も武部源蔵は梅玉さんのイメージが強かったのですが、お芝居が始まったらどんどん引きこまれてしまいました。ホント、声を出さないように泣くのに苦労しましたよね…。
泣いたと思ったら幕間になると舞台写真へ走るゲンキンな私。売り場はものすごいことになっていますね!なんとか七之助さんと玉サマを数枚ずつ購入できましたが、昨日の時点でもう売り切れが出ていました!
そして三人吉三も本当に素晴らしくて、第二部を一回だけにしてしまったのが悔やまれます…
大川端の場、今回すごいよくて、見れてよかった~と思いましたが、通しだったらやっぱり菊之助さんのお嬢でまた見たいな~lovelyと思いましたheart04

投稿: 七子 | 2010年4月18日 (日) 11時40分

七子様
おはようございます。
「寺子屋」はやはり名作ですね。親の思いが切々と伝わって泣かずにいられません。武部源蔵は本来は武士らしい武士なのだとか。そうすると、仁左様はぴったりのお役かもしれませんね。
泣いたばかりで写真を買いに走るのは、誰でも同じですよ、きっとsmile 売り場の混雑状況はすさまじいですね。ウンザリしながらも、やっぱり売り場に突進してしまいます(^^)
三人吉三は、演舞場の若手が印象的でしたものね。でも團菊コンビも素敵!!

第二部、時々戻りが出ますよ。

投稿: SwingingFujisan | 2010年4月18日 (日) 11時52分

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