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2010年4月24日 (土)

素敵な「四谷怪談忠臣蔵」千穐楽:鑑賞篇

423日 「四谷怪談忠臣蔵」千穐楽(新橋演舞場)
二度目なのでさらっと。
今頃気がついてものすご~く恥ずかしいのだけど、発端はまさに東海道四谷宿だったのね。新田義貞の霊が高師直に乗り移る場面はわかっているのにドキドキハラハラした。右近さんの見得の首の動かし方がとてもサマになっていて(これも今さらという感じだけど)、素敵だった。
発端の後の口上では「無事千穐楽を迎えることができて」という一言が入った。前回、大星が九寸五分についた判官の血を口にする場面は感情移入がむずかしかったと書いたけれど、今回は彌十郎さんに迫真の感が強くあり、けっこう感動した。
両国橋の場のパロディはよくできている。お槙(猿紫)と伴内(笑三)の道行、暁星五郎の鉄砲玉、斧定九郎の衣裳(肩に斧、裾に猪の絵柄)と、思わずニヤリとしたくなる。その定九郎に惚れているお軽(笑三郎)は、定九郎が暁星五郎実は新田義貞の息子鬼龍丸と対決しに行くのにどうしても一緒に、とくっついて行く。定九郎の「(しょうがねえなあ)来い、来い、来い」に笑三郎さんの返事「あ~いheart01」は千穐楽の力が入っていて、思わず客席からも笑いが起きた。
砂村隠亡堀の場で毎回ちょっと気分が悪くなるのは、直助権兵衛がお岩さんの櫛を拾うところ。土手で展開される芝居に目をやっていればよいのだが、ついつい気持ちの悪いほうに注意がいってしまう。髪の毛がついた櫛を拾うこと自体気持ちよいことではないのに、櫛に絡みついた髪の毛を取るなんてshock
いっぽう、この場に後から登場する門之助さん(与茂七)が髪にしみこんだ水を払うところが色っぽい。ところで、これもいつも不思議なのだが、与茂七はどこにいたの? 木の水門みたいなのを開けて出てくるけれど、川の中にいたの?

直助権兵衛が死ぬ場面は右近さん渾身の演技に泣いた。悪いヤツで同情の余地もないのに、罪を悔いて死ぬというのは心に訴えかける。では、伊右衛門の死はどうか? 小林平八郎になっちゃった伊右衛門はお岩さんの怨みを受けて死ぬが、見る側はそれを当然の報いとして受け止める。本家「東海道四谷怪談」で伊右衛門はどうなったのかとコクーンの筋書きをめくってみたら(伊右衛門の最期を忘れてしまったのだ)、お岩さんの亡霊に悩まされた挙句与茂七に殺されるらしい(らしい、というのは、筋書きは「与茂七に追い詰められ、遂には…」で終わっているから)。
「東海道四谷怪談」が歌舞伎で上演される時「三角屋敷」はとばされることが多いようだが、「三角屋敷」があるとないとでは、印象が全然違う。なければお岩と伊右衛門中心の話、あればお袖と直助中心の話に思える。だからよけい、直助の死に思い入れ、伊右衛門が平八郎になろうがなるまいが伊右衛門の死の印象が薄くなるのだ、私の場合。
ともかく、忠臣蔵表の「仮名手本」と裏の「四谷怪談」とをこんなふうにくっつけてしまう猿之助さんのアイディアは素晴らしい。そして適材適所、どの役者さんも力量を見せたこの公演そのものも素敵だった。

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