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2010年5月14日 (金)

五月花形歌舞伎夜の部・2

512日 五月花形歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
桟敷席には新橋の芸者さんだろうか、きれいどころがずら~っと並び、遠くからだが目を楽しませてもらった。「助六」がかかると、このきれいどころがより華やかに見えていいのよね。
「助六」
<口上>
先月髭の意休をやった左團次さんが口上という豪華さ。そして先月口上の海老ちゃんが助六だから、なかなかだね。海老ちゃんは、魚河岸から鉢巻が贈られることを口上で喋ったと思ったが、左團次さんはそれには触れなかった。
<海老蔵>海老ちゃんがとにかくかっこいい。少し痩せたかな、顔が骨っぽく見えた。若い分勢いがあるし、華があるし、子供っぽさも溌溂として、お父さんには古風な味わいがあったけれど、こちらの助六は意休に自分がモテることを自慢して見せたり、けんかを売るところなど、とても現代っ子ぽい。そのせいか、最初のうちは揚巻がやんちゃな恋人を可愛がる年上の女に見えた。
<染五郎>染五郎さんの十郎もまた菊五郎さんの味わいに比べて現代的で、う~むなんというか、助六も十郎もスマートなのだ。江戸和事のやわらかさとは別に、人物像がスマートになっている。それはそれで、全然イヤじゃないし、こうして比較してみると、二つの味わいの「助六」を見られたことが本当に幸せに思えてならない。
<福助>福助さんはきれいで、これまたスマート(元々福助さんには都会的な雰囲気が漂う)。村娘などをやると違和感を覚えることもあるが、揚巻にはそれがぴったり。丁寧に演じているから変な顔もほとんどなく、江戸最高位の傾城の心意気というのが素直に出ていた。酔って揺れるところは自然で、こちらも酔いそうになったくらい。「これはこれは」の一言目が声といい言い回しといい玉三郎さんに似ていた。
<七之助>七之助さんは可憐。いずれ揚巻もやるだろうから、勉強にもなるだろう(ああそうか、先月は福助さんが白玉だったのだ)。2人とも打掛を見せる時間が先月に比べて短いような気がした(衣裳は先月のほうが豪華だった)。
振袖新造では芝のぶちゃんばかり見てしまったわ。かわゆかった。
<亀寿・市蔵>朝顔仙平の亀寿さんは歌六さんから勉強したのだろうか、どことなく似ていた。市蔵さんは先月に続いて田舎侍で股をくぐらされて、なんか気の毒。この侍は都会の空気に呑まれて口がきけないのかと思っていたら、本当に口が不自由だという設定らしい。

<通人>お楽しみは猿弥さんの通人。初日のアドリブはTVで見たが、今回も海老ちゃんの<新婚生活いじり>ながら、初日ほどしつこくはなかった。助六を認めてまずは、「よっ、肉食男子!」「ラーメン ツケメン イケメン」(ここは、「ラーメン ツケメン キミイケメン」とやってほしかった。そうじゃないとリズムが悪いし、オリジナルのギャグもこっちのほうが生きる)「海老蔵に似ている」とお決まりのセリフの後、「お風呂の水漏れは大丈夫か? 心配していた」と。海老ちゃん、何となく笑っているように見えた。成田屋の紋の入った袱紗を頭にのせて海老ちゃんの股をくぐると、お次は染五郎さん。
こちらには「草食男子!」「にいさんもイケメンですね」「見ごろ食べごろ染ごろう」「ジュースとコーラはどちらがお好き? あ、ジュースが好き? コーラはイヤ? こーらいやっ」で袱紗を裏返すと高麗屋の紋に変わり、これを頭にのせて股くぐり。
そして花道に出ると「吉原なんかに来ないで演舞場に行けばよかった。3年間、正確には2年と11カ月(これ、演舞場初日の櫓立てのセレモニーでも海老ちゃんが言っていたが、閉場式以来流行りなのかなsmile)、歌舞伎座はないけれど歌舞伎はなくならない。演舞場でもっと面白い歌舞伎をやりますよ」。ここで客席から大拍手。「私は市川猿弥が好き。あ、この際猿弥はどうでもええんや。海老蔵、染五郎のようないい男になりたや~っ」で引っ込み。

<水入り>若さあふれる芝居が、歌六さんの意休や秀太郎さんの満江でしまり、いよいよお目当ての水入りに。過去60回以上上演されている「助六」だが、水入りは6回しかないのだそうだ。7回目の今回は22年ぶり(前回昭和は63=平成元年1月)。一度定式幕が引かれるためか、帰りかけた人もいた(実際、帰っちゃった人もいた。時間がなかったのか、あるいは気づかずに帰っちゃったのか、いずれにしてももったいない)。
上から見たから天水桶に入る様子がよく見えた。おお、これが水入りか。けっこう覚悟して入るような様子だった(それは、海老ちゃんが? それとも助六が? 助六の覚悟だろうな)けれど、水は冷たいんだろうか。水中の立ち回りとは違うから水が飛ぶことはそうないが、桶に入る時と出る時に海老ちゃん、水をばしゃばしゃ外へかき出していた。
天水桶から出てきたずぶぬれの助六を揚巻が内掛けに隠す。豪華な衣裳が水に濡れる。衣裳の管理が大変だろうなあと思わずにはいられなかった。
最後のこの場面はしかし、江戸の華の助六が人を殺して逃げる(隠れる)という点で、私にはちょっと不満がある。同じ内掛けに隠れるのでも意休に悪さを仕掛ける前の場面とは違う。ここの助六には怯えが感じられ、な~んかなあという気持ちになったsad
<上演時間>「熊谷陣屋」85分(16301755)、幕間30分(この時間帯の夕飯は早すぎる)、「うかれ坊主」15分(18251840)、幕間20分、「助六」135分(19002115

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは~♪私もようやく5日に見た感想をアップしました。どうしても先月の超豪華舞台を思い出してしまい、なかなか書けなかったのです・・・。といっても結局は、たいした感想にならないのが常ですが^^;

ひとことで言うと、海老助六さんが、とにかくかっこいいってことですよね。もうそれだけで満足です、わたし。もちろん他のメンバーもすごく好感持てました。楽しかったです。

>丁寧に演じているから変な顔もほとんどなく、

これには笑ってしまいました。同時にすご~く同じ気持ちを抱きました。福助さん、時々やりますものね。。。

猿弥さんの通人も加減が良いですね。何度か見たいなぁと思います。色々とネタを仕入れていそう。<水入り>に関しては私もスッキリしないなぁと思いました。まさに、「な~んかなあ」です。。。

投稿: aki | 2010年5月14日 (金) 17時39分

aki様
こんにちは。
先月の興奮が残る今月は、見るほうが気持ちを切換えなくてはならず、こちらもなかなか厳しいものがありますね。

「助六」は楽しかったですね!! 海老ちゃんオーラ全開でしたものね。若手が一生懸命挑戦し、かつあまりガチガチになっていないという雰囲気がよかったですよね。

福助さんは、微笑がぎりぎりセーフ。心の中で「それ以上やらないで」と祈ってましたsmile ですのでとてもきれいでした!
海老蔵さんは通人のネタには事欠かないって感じですから、日替わりでアドリブがあるかもしれませんね。終演時刻が遅いので何度もというわけにはいかないのですが、又見たいですわ~(一応、千穐楽は押さえてありますhappy01)。
ラストはあんなに威勢がよかった助六が…でしたよね。それだけ人を斬るということは重大なことだと言いたいのかな…。
後ほど、aki様のご感想も読ませていただきますね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月14日 (金) 18時57分

SwingingFujisan様
私は昨日、夜の部観てきました。全体の印象では、昼の部より、はるかに水準が高いですね。
染五郎の熊谷、私も観るまで、線が細すぎるのではないかと懸念しましたが、しどころもそつがなく(竹本にのる物語が舞踊めくのはどの若手でも同じですが・・・)、セリフも感情がこもり、敢闘賞ものでしょう(先生は御父君ではなく、叔父様なのかな)。染五郎は仁からいえば、熊谷ではなく盛綱なのでしょうが、今後再演が楽しみな熊谷です。
松緑(「うかれ坊主」)、踊りの技量向上を再認識させてくれました。片足立ち、片足上げの振りの多い踊りですが安定感抜群です。
海老蔵の助六、初見ですが、セリフの音調が妙に浮いて現代劇調なのは、いうもの通りですが、そんなことはどこかに行ってしまうほどの、助六こうあるべきといった最適役(なまで観る幸せを味わえる助六)でした。

投稿: レオン・パパ | 2010年5月16日 (日) 09時07分

レオン・パパ様
こちらにもありがとうございます。
染五郎さんの熊谷、私も吉右衛門さんに似ていると思いました。ところどころ、「そっくり!!」と感心したりもしました。今後、熊谷は染五郎さんの当たり役になるかもしれないですね。
松緑さんの踊りの技量はおっしゃるとおり見事でしたね。もうちょっと滑稽味が滲み出るといいかなと思いました。でも、こちらも松緑さんの当たり役になりそう。
海老蔵さんには欠点を「どうでもいいや」と思わせる魅力があるんですねえ。私もこの助六をなまで観ることができて、本当に幸せ!!と思いました。千穐楽には海老助六オーラを間近で受けてきますsmile

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月16日 (日) 10時21分

私も昨日、二回目の夜の部を三階から見てまいりました。
助六初心者の私がコメントしてはいけないな~と思いつつ…、でも、とっても楽しかったです♪2ヶ月続けて成田屋さん親子で見れてよかったです!できれば今月、もう一回、夜の部追加したいくらいです!!
そして、ついつい、揚巻が七クンだったら~♪と妄想してしまいました…まだずっとずっと先ですよね、、、

昨日からかはわかりませんが、舞台写真出てました。海老蔵さん、素敵でした~♪ファンの方たちが「このショットは普段ないよね~」と盛り上がってらっしゃいました。

ところで、和光市サンアゼリアの件、教えていただきまして、どうもありがとうございます♪
調べてみましたら、ギリギリ仕事帰りに間に合いそうです!

投稿: 七子 | 2010年5月17日 (月) 12時00分

七子様
そんな「助六」初心者だからって、コメント全然問題ありませんよ~。それに、私だって偉そうなこと言って、本当は初心者みたいなものなんです(先月に続けて見たせいか、それをすっか~り忘れ、調子にのってしまいましたcoldsweats02)。私は千穐楽にもう一度見る予定なんですが、その間にもう1回入れたいほど。でも、松竹座に行くから色々な面でガマンガマンbearing

錦秋公演、全日程が出ましたよ!! 本文記事としてアップしておきますね。

写真情報、ありがとうございます!!!

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月17日 (月) 13時33分

SwingingFujisanさま☆
おはようございます。
昨日、つい夜の部も行ってしまいました!(三階を一回ずつでいいや、とか言っていたのに、気づいたら昼夜あわせて五回も…カードの請求がコワイです…)
今日、いらっしゃる前に、と思いまして。昨日、猿弥さんの鈴がいっこ取れてしまうというハプニングが。今日、そのことおっしゃるかもですね。
ではでは楽しんでいらして下さいませ~♪

投稿: 七子 | 2010年5月28日 (金) 09時08分

七子様
おはようございます。
あららら、やっぱりsmile それにしても5回とはすごいっ!! ファンというのはありがたいものですね(^^)

猿弥さんのハプニング情報、ありがとうございます!! 今日のアドリブが楽しみです。

ところで、錦秋公演は予約されましたか? Zen-Aの先行予約は本日入金分までですって。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月28日 (金) 11時09分

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